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イスラエル、5月9日をビクトリーデーにする

2017-08-23 22:48:45 | 欧州情勢複雑怪奇

イスラエルのネタニヤフ首相が、モスクワを訪問してプーチンに会っている。

西側報道としては、ネタニヤフはプーチンに、シリアにおけるイランのプレゼンスが大きくなっている点について懸念を伝えて圧力をかけたのだ~とかいう話がメインのように見える。

Netanyahu to press Putin over Iran's Syrian foothold

http://www.straitstimes.com/world/middle-east/netanyahu-to-press-putin-over-irans-syrian-foothold

 

まぁそれも言ったでしょう。でもって、TASSによればネタニヤフはもっと直接的に、シリアにおけるイランのポジションは全世界にとっての脅威だと語ったとある。あいかわらず大きなことを言うね。

Netanyahu calls strengthening Iran’s positions in Syria 'a threat to the entire world'
August 23, 12:52 UTC+3

http://tass.com/world/961532

 

それはそれとして、ネタニヤフ率いるイスラエルとロシアとの間では、こっちの方が重要ではなかろうか。西側的にはまったく重要でない(ってことはないと思うが)と無視するんだと思うが。

それは、イスラエル議会は、5月9日を対ナチスの戦勝記念の日として祝日にする法案を承認したという話。

On June 26 the Israeli parliament approved in the third, final reading a bill on celebrating the day of victory over Nazi Germany. As follows from a statement published on the Knesset’s website, the day of victory over Nazis in World War II will be officially marked in Israel on May 9 and included in a list of public holidays.

http://tass.com/world/961608

ロシアで「ビクトリーデー」と言われている5月9日に決めたという点も重要ですね。欧州域は5月8日が対ナチ戦勝の日。

で、ネタニヤフは、プーチンとの会話で、

私たちは、そして私個人としても、ナチズムの打倒においてロシアとソビエト軍が果たした歴史的役割を決して忘れません。私たちはこれをどこででも言っています。最近私たちはこれをイスラエル立法府で宣言しました。

Benjamin Netanyahu: We, and I personally, will never forget the historic role that Russia and the Soviet army played in defeating Nazism. We say this everywhere, at all venues. We recently declared this in the Israeli Knesset. 

http://en.kremlin.ru/events/president/news/55399

 

で、どうしてこんなことをわざわざ言うかといえば、ソビエトこそ敵の帰結としてのナチス賛美を是認しがちな人たち、つまりまぁウクライナのネオナチと一緒になる気はない、とイスラエルは決意したって話だと思う。

これはウクライナ危機をきっかけに露出していったことですね。結果的には、事実としてポーランド、ウクライナあたりのナチの手先みたいな人たちに殺されたり迫害されたユダヤ人からしてみたら、ウクライナのネオナチもそれを支援している西側のリベラルもおかしいだろう、って話になっていった。

そして、それらポーランド、ウクライナの一部の音頭に乗って、適当な「歴史」が作られようとしていることに、イスラエルに住む東欧、ロシア出身のユダヤ人たちは懸念を示し、ネタニヤフ個人はどう考えるか知らんが、ネタニヤフも選挙で選ばれる存在である以上それを無視できない。ユダヤの将来にとってもよろしくないだろう、って話でしょう。

ぶっちゃけていえば、そもそもグローバル支配の手先としてのユダヤ人と一般ユダヤ人は異なる、って話が下敷きにあるわけですけどね。

つまり、

良いナチ、悪いナチ:米リベラル帝国主義の断末魔

で書いたような成り行きで適当にお説を使いまわしするのは、これらアングロ・シオニスト・アメリカのリベラル帝国主義者にとっては別に本当に心が痛い話ではないからとも言えるでしょう。しかし、ロシア領内にいてその後イスラエル他の各国へと散らばった本物のユダヤ人の子孫にとってそれは本当のファミリーヒストリーに係ることなので、いい加減にはできない、と。

 

で、この話はもう一歩進んだ方がいいと思うな。つまり、ホロコーストなるものを真空に置いたことが間違いだ、ということ。ユダヤ人殺しは、ナチスドイツの東方侵略の構想とその実施過程で盛大に起こった、という点を無視してる。結果的に、ナチスの壮大な取り組みがすべてユダヤ人の絶滅(または追い出し)が目的であったかのようなおかしな歴史観がまかり通っている。

現地の事情はこのへんで書いた通り。

「西側ではナチズムが生きている」カナダ編

で、どうしてこんなへんな、あたかもナチスの目的がユダヤ人殲滅でしかないような物語が生まれたかというと、要するに冷戦問題でしょうね。

ドイツがソ連領(または旧ロシア帝国関係地)に侵略していったことで、2700万人もの人間を殺害したというこの犯罪的な行為を、西側総出で庇ってるんだと思う。その代わりとして、どこに住んでいたかを限定しないユダヤ人を相手に、その人たちに謝罪する、金を出すことで話をチャラにした、と。一般ユダヤを出汁にしてグローバル支配層が儲けたみたいな話。

しかし、よく考えればわかると思うんですが、ドイツ領内のユダヤ人人口は少ない。そして東欧域にユダヤ人の国はない。ではどこにそんなに多数のユダヤ系の人がいたのかと言われれば相応に人口の多かったポーランド、ウクライナあたり。つまり、ドイツが第一次、第二次とロシア側に侵攻していく過程で発生した現地人殺しのうち、ユダヤ人に対する殺害のみを取り立てて問題にしている、というのがホロコースト問題ではなかろうか。だから、考えようによってはその他のスラブ系、ロマ系に対する処遇を大幅に無問題化した、ある意味差別主義者の物語とさえいえそう。

で、もう一つの仕掛けは、ドイツは放っておけばスターリンに攻撃されるはずだった、ドイツもソ連も同じように悪いのだ、というポーランドが国をあげて流布しているお説。

その中心にあるのが1939年。このへんが現在の世界史のタブーの中心の一つでしょう。

で、それについてロシアは去年、相当なボリュームのドキュメンタリーを制作した。

ロシアのドキュメンタリー「ヨーロッパの解放」

 

流れから見ると、ロシアは結構着実な成果をあげているような気がしないでもない。


 

 


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2 コメント

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『バルバロッサ作戦の被害者連帯』 (ローレライ)
2017-08-24 06:52:58
『ロシアとイスラエル』が『バルバロッサ作戦の被害者連帯』を確認した。『ナポレオンの同盟国ポーランド』などは『バルバロッサ作戦の加害国側』となる。
結構すごいと思う (ブログ主)
2017-08-24 08:08:52
ローレライさん、
ナイスなフォローありがとうございます。そうなんですよ、被害者連隊なんですよ。これが出来ちゃったって結構凄いことだ。アングロ・シオニスト的にはどうするつもりなんだろうかと、そのへんが楽しみ。

でも、ヒューマニティーから見たら当然だと思います。正しいことは続く、と信じたいと思います。

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