DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

WMD再び (5):G7+湾岸、外相会合@イタリア

2017-04-10 18:18:05 | 欧州情勢複雑怪奇

イタリアで、G7外相会合が開かれそこでシリア問題について議論される成り行きらしい。

G7外相会合 今夜開幕 シリア情勢が主要な議題に
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170410/k10010942651000.html

G7=主要7か国の外相会合が、日本時間の10日夜からイタリアで開かれます。シリアのアサド政権に対するアメリカの軍事行動を受けて、シリア情勢が主要な議題になる見通しで、アサド政権や、その後ろ盾となっているロシアに対して、どのようなメッセージを一致して出せるかが焦点です。

NHKはすでに、アサド政権が悪者で、それをバックアップしているロシアも悪者なので、みんなでどうやってとっちめようかと善人が集まる、みたいなノリ。呆れる。

しかしシリア問題の会合は、G7だけでなく、トルコ、UAE、サウジアラビア、ヨルダン、カタールの外相も呼んだ、特別セッションとなるようだ。

Italy convenes special meeting on Syria at G7 summit
http://tass.com/world/940420

ROME, April 10. /TASS/. Italy’s Foreign Minister Angelino Alfano has convened a special extended session on Syria with participation of top diplomats of Turkey, the United Arab Emirates, Saudi Arabia, Jordan and Qatar during the ministerial meeting of the Group of Seven (G7).

 

はっきりいって、これは、シリア問題、アルカイダ・IS問題の主犯格の会合。

この会合になぜイスラエルが含まれていないのか謎だが。

これらの国々が自分たちに都合がいいからと、アルカイダを放置してというより作って、使って対テロ戦争などという自作自演を世界スケールで起こしたことがまず根本的に問題でしょう。いうまでもなくそれは911をきっかけとして広まった。

そして、この宴をどうやって収集したらいいのかわからなくなっている。これが要するに現在のG7たらいう犯罪者同盟の現状ですね。先進国が聞いて呆れる。

違うというのなら、なんで米軍はシリアという主権国家にづかづか入り込んでいるんだとまずそれに答えろよ、って話。リビアはなんで国を失わないとならないのか言ってみろよ、だしイエメン人を見殺しにする気なのかと考えてみろよという話。

結局、これらG7+湾岸が、反政府軍だの穏健派だのという名前の集団を暴れさせることによって、その領域を正当な支配構造、つまり普通に言って国から、支配が及ばないところを作っていっているだけ。これは単なる侵略行動です。

この作戦のモデルケースは、コソボでしょうね。コソボを切り取った流れをモデルに考えるとシリアで起こっていることの理解も進むって感じ。

 

■ ラブロフとティラーソン

一方、米国務長官ティラーソン氏は予定通り11日、12日にモスクワ訪問。

米ロ外相が電話会談 シリア攻撃めぐり意見交わす
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170409/k10010941951000.html?utm_int=detail_contents_news-related-auto_001

ロシア外務省によりますと、ラブロフ外相とティラーソン国務長官の電話会談は8日、アメリカ側の提案で行われ、アメリカ軍が行った、シリアのアサド政権の軍事施設に対する巡航ミサイルでの攻撃について意見を交わしました。

この中で、ラブロフ外相は「テロと戦っているアサド政権に対する攻撃は、過激主義者を有利にするだけであり、さらに世界と地域の安全に脅威をもたらす」と述べ、アメリカによる攻撃を批判しました。

ただし、プーチンに会う予定ではない。これはクレムリン側がスケジュールにありませんと明言してる。

 

■ 何が出てくるのか

じゃあG7で何が出てくるのか。多分、ロシアにさらなる制裁を、じゃないですかね。

イギリスのボリス・ジョンソンが、制裁だ~と騒いでいる。

Boris Johnson calls for tough new sanctions on Russia over Syria
https://www.rt.com/uk/384177-johnson-syria-russia-sanctions/

これだと、事実上何も起こらないけど、G7犯罪者同盟の顔は立つ。

要するに、G7犯罪者同盟も、さすがにシリア(と北朝鮮)を巡って、中露と全面戦争をしたいとか思ってる国はない。

だから、ロシアは悪い、ロシアは悪い、アサドも退陣すべきだ、そうだそうだというスローガンはあげたまま、でもなんか、どうしよう・・・・という恰好。

 

興味の焦点は、その上で、シリアで化学兵器が使用されたとされる事件について、誰がどのように使用したのか、客観的な調査をするべきだという文言が含まれるか、ではなかろうか。

本当は、客観的な調査をするべきだ、と認識するなら、誰がやったのかまだ特定されていないんだから、シリアとロシアに制裁を、はまったく意味が通らないのだが、ここを追及すると、調査も行わらず主権国家に空爆して喜んでるトランプ政権を批判しないのとならないので、そんなことはG7犯罪者同盟にはできない。この同盟にはモラルなどというものは存在しない。

西側メディアは、あたかもあの空爆されたシリアの空港(ホムス県)にサリンがあったみたいなことさえ言ってるけど、そんな証拠はまったくない。問題はアルカイダ(もしくは西側支援の反政府軍)の巣窟イドリブ県。

冷静な頭のある人なら誰でも心配になる成り行きなわけだけど、どこの国の首脳も、まず調査したの?と言えないでいる。

と思ったら、ドイツ外相が、シリアのガス攻撃の調査を訴えている模様。

German foreign minister calls for immediate probe into Syria gas attack
http://www.dw.com/en/german-foreign-minister-calls-for-immediate-probe-into-syria-gas-attack/a-38357243

「国連とOPCW(化学兵器を防止する団体)の専門家が直接アクセスして、妨害なく調査できるようにすることが重要だ」

だそうだ。

というわけで、調査すべきだ、という文言を認められるか否かはかなり大きい。

これが入ったら、意図するところは、トランプの攻撃は間違いだったことの間接的な認識になるし、じゃあ誰が・・・という疑問を投げかけることにもなる。

入らなかった場合どうなるのか。まぁ、国連機関が調査してはいけない法はないんだし、ロシアを中心に、なんのかんのと調査が進んでいくだけでしょう。

2013年のシリア化学兵器問題も、報告書内には誰がやったのかは書かれていない妙な報告書になっている模様。私自身は未読なのだが、数日前、イギリスのジャーナリスト、ヒッチンズが読んで、少なくともシリアがやったと断定されていないのに、なんでメディア上ではあたかもそうであるような言論があふれかえっているんだ、と疑義を呈していた。

でもって、ドイツには国内政治的にも国際政治的にもこのへんで理性的に振る舞うことには、大きな便益がある。連立政権の片割れであるドイツ社民党にとってはメルケル批判になるし、ドイツの地位としては、こういうことの積み重ねが、G7だがちゃんとした人々だとロシア、中国を含むG7以外の世界にアピールできることになる。掛かっているのはロシア戦線だけではない、ドイツ人の将来の評判だと考えれば踏ん張る意味はある。

メルケルに51%の支持を与えて、米が強硬な限り、あるいは米がくたびれるまでいつまでもメルケルに裸踊りをさせて、残り49%で次に備えてるのがドイツって感じがする。伝家の宝刀のような「酷くこなれた不誠実主義」が功を奏するのか。

 

■ オマケ

シリアと化学兵器の話は、アメリカのCIAの現場からも批判があがっているらしい。情報をいい加減に扱って、トランプ政権とメディアがびっくりするような結論に達している、と憤慨している捜査員もいると調査ジャーナリストのRobert Parryが書いている。

Trump’s ‘Wag the Dog’ Moment
https://consortiumnews.com/2017/04/07/trumps-wag-the-dog-moment/

で、ロシアが提示しているイドリブにアルカイダ、ISがたまっててそこが化学兵器を作っててイラクの仲間に売ったりしているというのは概ね正しいと米のラジオで公言している人もいる模様。

 


 

 

 

 

 

 


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« WMD再び:二度目は茶番 (4) ... | トップ | ミサイルを撃ったら支持に回... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
イスラエル不参加 (パプリカ)
2017-04-11 01:21:07
TAKUMI様、はじめまして、いつも興味深く拝読しております。

例のG7のイスラエルの件ですが、シリアと国境を接しているので(ゴラン高原)自国の安全保障を、ロシアに頼り始めているように感じます。クリミア併合についても何も非難していないと記憶しています。

で、ゴラン高原のシリア側には、シーア派民兵が拠点を作っていて、シリアとの国境地帯に緩衝地帯を作りたいのでしょう。この件に関してはアメリカには力がなく(特にミサイルをぶっ放しちゃったから)間違いなく必要なのはロシアの協力でしょうね。

アメリカ軍産複合体の利益と、イスラエルの利益が合致しなくなってきているのでしょう。民主党がイスラエル批判を強めてきているのも同じ軌道上にあるとみて良いと思います。
娘婿コネクション (私は黙らない)
2017-04-11 06:23:06
娘婿がよくない。大統領選で逆風の中、トランプ支持で一貫していたギングリッチ、ジュリアーニ、クリスクリスティが政権入りせず、フリンがやめた。ヒラリーのあまりの人気のなさに、裏の権力は、トランプに乗り換え、娘婿を通じた傀儡政権を狙ったのではないかと思えてくる。ギングリッチとかジュリアーニが政権入りしていたら、もっと違ったのではないかと思う。
もう、トランプ政権に期待するのは止めだ。ロンポールやハワイの女性議員のような人がいることが、せめてもの救いだ。
化学兵器で亡くなった双子がトランプに決心させたのだそうだが、又子供か。海岸に打ち上げられた難民の子の遺体、シリア政府の攻撃にあったという血まみれ男児の映像、お願いだから、子供をプロパガンダに使うのはやめてくれ。
昨日は、サンダース支持のシールをまだ貼っている車を見かけた。寒々しい。希望がない。
『バノンのカゴイケ化』 (ローレライ)
2017-04-11 07:11:00
『バノンのカゴイケ化』があれば凄い爆弾になる!『米軍のシリア軍飛行場空爆、ロシアが写真を公開「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年4月10日japanese.china.org.cn/politics/txt/2017-04/10/content_40592138_6.htm

希望はないのでもない (ブログ主)
2017-04-11 18:00:34
私は黙らない さん、

トランプの裏切り方はあまりにも馬鹿げているので、アメリカはまたまた混乱ですね。

だけど、トランプ支持者で、それにもかかわらず日本の安倍ちゃん回りと違って、いいやアサドがやった証拠もないのに空爆してシリア情勢を混乱させ、アメリカを戦争にひきずるのは間違っているという態度を変えない人が多いのは、私は希望だと思いました。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

欧州情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事