DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

北朝鮮:中露のいないバンクーバー会合

2018-01-15 17:14:26 | アジア情勢複雑怪奇

何をするつもりなのか知らないけど、北朝鮮対応で米・カナダが主催する会合がバンクーバーで15、16日行われる。

北朝鮮核、包囲網を強化=16日にカナダで外相級会合-日米など

http://www.afpbb.com/articles/-/3158456?cx_position=20

【1月14日 時事通信社】カナダ西部バンクーバーで16日、北朝鮮の核問題を協議する外相級会合が開かれる。韓国と北朝鮮の南北閣僚級会合が9日に行われ、対話ムードが広がる中、会合をカナダと共催する米国は、国連安全保障理事会の決議による制裁の完全な履行など「北朝鮮への圧力継続」(米高官)を再確認したい意向だ。

出席者は誰なのかというと、基本的には1950年にはじまった朝鮮戦争に国連軍として兵を出した国。

会合には、朝鮮戦争で国連軍に部隊を派遣した米国などのほか、当事国の韓国、さらに日本やインドなど計約20カ国が参加し、ティラーソン米国務長官、河野太郎外相らが出席する。

日本は当時はまだ独立前で、しかも、ポツダム宣言の受諾で朝鮮、台湾の放棄が決まった状態だった。にもかかわらず、実のところ日本は米軍の後方支援としてのみならず、実は朝鮮に兵を出して死者まで出してる。台湾も似たようなもの。

という、なんというかあんまりほじくられたくない過去を持った日本なのだが、こういうところに出ちゃうわけねと、私としてはまずそこにぼんやりとした不安を感じる。

で、この会合は、

ただ、北朝鮮と関係の深い中国やロシアが加わらない枠組みの会合で、効果的な対応策が打ち出せるのかは不透明だ。中ロには会合後に結果を伝達するという。

というオチが既に見えている会合でもあるわけですね。

英語版のロイターはもう一言突っ込んで、

北朝鮮が侵略への前奏だとみなす米韓軍事演習を停止せよという提案を持つロシアと中国が、この提案をかかげて会合をかき混ぜる可能性があるため両国を呼ばなかったとの専門家の発言を載せている。

Zhao Tong, a North Korea expert at the Carnegie-Tsinghua Center in Beijing, said the United States did not want Russia and China potentially distracting the discussion by raising their proposal to halt joint U.S.-South Korean military drills that the North says are a prelude to an invasion. 

で、つまるところこの会合は、チャイナの不在がむしろ強調される格好だということで、このタイトルが来たんだと思う。

China absence looms over Canada meeting on how to pressure North Korea

https://www.reuters.com/article/us-northkorea-missiles-diplomacy/china-absence-looms-over-canada-meeting-on-how-to-pressure-north-korea-idUSKBN1F30XH

 

一方、日本国内では、妙な記事が。

河野太郎外相は、去年末にはこの会合への参加を拒否していたのに、なにをいまさらなんだよ、というところらしい。

 外相会合をめぐっては、米加両政府が昨年12月の開催を打診したが、日本側は拒否した。11月29日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した直後にティラーソン氏が一方的に会合開催を発表した際は、河野氏が外務省内の会議で激怒した。同席した幹部が「外交関係もあるので、あまり過激な発言はしないほうがいい」といさめたほどだったという。

http://www.sankei.com/politics/news/180114/plt1801140015-n1.html

にもかかわらず参加となったのは、

日本政府内には、会合開催を呼びかけたティラーソン米国務長官の対北融和姿勢を懸念する声もあったが、会合全体が対話ムードに流れるのを防ぐためにも河野氏の出席が必要と判断した。河野氏は「北朝鮮に対する圧力を最大限にまで高める必要がある」と呼びかける。

だそうだ。産経の記事なのでどうなんだろうとは思うものの、まぁそうなんだろうなとも思う。

日本の場合、北朝鮮と対話したら負けみたいな路線をひた走っているんだが、これっていったいなんなんでしょうね。

シンプルに言って、アサド大統領がいないかのようにしてシリアに侵略してる状況を代表例に、サダム、ミロシェビッチの時も、こっちの都合で勝手にそこを「無主」の土地みたいに認定して侵略構想を練る、ってなある種のプラットフォームなんでしょうね。

だから、こういう会合は、北朝鮮攻撃の有志連合になる可能性もあるでしょう。ということは、この会合に招いていない中露と対決するという意味になるわけで、そんなことをやりたい国がどれだけあるんだよ、と考えていくと、会合は腰砕けか、やっぱり対話だよね、になる以外にないと思う。

とはいえあと1日あるので、河野のウルトラCみたいなのが出てくるかもしれないので、注目しておきたいと思う。

■ オマケ

とか書いていたらさっそくロシアのラブロフ外相からコメントが出てた。つか、いい加減なことを言うなのクレームでもある様子。

まず、ロシア政府は、北朝鮮に関するバンクーバー会合を生産的でないと考える、と。

Russia calls Vancouver meeting on North Korea 'destructive'

http://tass.com/politics/985075

 

それによれば、米国務省がまわした文書では、中露に相談してこうなったみたいなことが書かれているが、それはまったくの嘘。我々はその会合は有害だと最初から言ってる、だそうだ。

また嘘ついているのかアメは、みたいな気もするが、もうこのあたりは驚かない。

次。そもそも、1950~53年の朝鮮戦争に兵を出した国を集めて何をするつもりなんだ、そこには、ギリシャ、ベルギー、コロンビア、ルクセンブルグなんかが参加しているわけだが、これらの国々が一体全体朝鮮半島の問題の解決にどう関係するんだ?

と、もっともなことを言っていて読んでて笑える。

また、この会合のアジェンダは、北朝鮮に対する新たな圧力を作るメカニズムを開発すること。数週間前、国連総会の(制裁の)議決が採択された2日後、彼らはこのバンクーバーの会合の招集を発表した。そこには中露は招待されていない云々ともある。
 
 
結局のところ、中露が提案している、二重の凍結問題にもっていかせたくない人たちが、全然関係ない人まで集めて、枯れ木も山の賑わい的に意味不明な決議をして、そうだそうだ、これは国連軍の戦いなんだから引けないのだぁとか言い出してみるとか?
 
意味がわからないわけだが、多分わからなくても全然OKなのかもしれない。
 
つまり、事態は、ラブロフのこの描写の通りだなと思う。
 
既に言及した通り、米国は、軍事的解決は避けられないといわんばかりのところまで来ているわけです。こうした危険な火遊びがもたらす破壊的な結果はみんな理解しています。対話を開始できる状況がもちあがると、ほとんど間違いなく、北朝鮮の周辺でさらに大きな軍事演習をするなど、挑発的な行動が続いて、また次の緊張のスパイラルを引き起こすわけです。
 
"As I’ve already mentioned, the United States has come very close to saying bluntly a military solution will be inevitable. Everybody understands the disastrous consequences of such an adventure. In a situation where conditions for starting a dialog emerged the most often provocative actions, such as ever lager military exercises around North Korea followed only to trigger another spiral of tensions," Lavrov said.
 
 
引いてみてみれば、とにもかくにも、恥を書こうが、ケツが見えようが逃げ回って、なんとしてでもこの緊張を続けていたい、ただそういうことなんじゃないの? だってこうやって70年近くやってきちゃったんだし、その上、だって、軍、金融、情報屋といった戦争ビジネス関係者にとっての大事なネタになってるんだもの、ということ。
 
一方ではこれだしね。
ところがどっこい、この状態は不毛すぎると解決したがっている人もいる、と。で、トランプはどちらかというとそっちの側を代表しているんであろう、といったところ。
 
 


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北のミサイルはタリンも射程... | トップ | 人民元建て原油先物取引と中... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
河野外相は (えぼし)
2018-01-16 11:29:56
河野外相はオルブライトのゼミ生で、昨年夏も会ってました。北朝鮮情勢が緊迫している今、河野太郎が外相についたのもそういう線で動いているのでしょう。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事