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ユーラシア vs 西側:仲間を固めてる米

2018-05-12 17:02:19 | アジア情勢複雑怪奇

どうして南北が急に和解したりしてるのと聞かれたので、別に急にじゃないと答えた。さらにどうして今なのかというから、今なら、アメリカ様の一存で、アメリカ様のお慈悲によって、アメリカ様の理解ある態度によって、アメリカ様の平和愛好の成果として南北が和解するというストーリーが書けるからじゃないの?と答えた。

つまり2010年ぐらいのペースであの地域が進んでいけば、中露と理解しあえる経済的にも落ち着いた朝鮮半島になっていくという可能性があった。そうなったら朝鮮戦争が終戦していようがいまいが、どうにもできなくなる。その前に、ガタガタ揺らして、アメリカ様のお慈悲によって南北はできるだけアメリカよりの国として収まるというのがベストだったってことじゃなかろうかという話。

このあたりをよく見ていたのがウィリアム・イングダール。金正恩はCIAのツールだという結論に達していた。

スイスと北朝鮮と極東ハンドラー上級者

しかし、CIAも万能ではないって感じなんじゃなかろうか。というよりCIAが取り付けられるのは、指導者層の一部を寝返らせるとか、こっち向かせるとか、中央銀行作らせるとか(笑)、そういうところであって、一般国民の意思までコントロールできるかというとそこまでの力はないでしょう。

 

いやしかし、アメリカ様は強いのよ、本気になれば北朝鮮なんて一日で終わりよ!みたいなことを言う人がいたりもするわけだが、正しくない。

というかこのあたりが実のところ60年ごしの秘密みたいなところじゃなかろうかという気もする。いや別にアメリカが弱いと言いたいんじゃない。

しかし、何度も書いてますが戦争の最後を決めるのは陸軍だということ。身体をかけて行動しようとする大量の人間を味方にした方が勝つとも言える。

そして、もっと言えば一国を丸め込むのは軍事力だけではできないということ。

最近の例でいえば、イランと戦争したがってる奴らがいると言われているけど、やったらどうなるかというと長期戦になって、そこで例えばイスラエルやらアメリカが核兵器をぶち込んでもいいけど、そのフェーズになる頃にはイランがイスラエルにミサイルをぶち込むとか、重武装の歩兵が雪崩混んでるとかいう事態になっている。さてこの時、核兵器は勝敗を決することはできるだろうか?

イランにイラン人のイランこそイランだと考える人間が何千万人か残る限り、どれだけ破壊されようとイランはイランでしょう。単純に、使えない土地と貧乏なイラン人がそこにいようとも。

このへんはソ連が身をもって示して、毎年毎年みんなにリマインダーを送ってると考えることもできる。そういえばここ数年はビクトリーデーに対する中国人の関心が高まってるとマジで思うのみならず、関連動画のコメント欄に時折ハングルの書き込みも見るようになった。

ビクトリーデー@モスクワ 2018年

 

ということで、アメの目標はできれば朝鮮半島をまるごと「緑」にしたいんだが、できないとしてもそう悪くない関係の黄色にするあたりではなかろうか。

これは、2014年2月に発生したウクライナのクーデーターを受けてクリミアが独立を言い出し、そのままロシアに入れてくれと住民投票をして、ロシアが受けてクリミア帰還達成(ロシア、クリミア視点)という話に怒った西側諸国が国連に問題を持ち込み、ロシアを全世界で批判しようとして行った国連の投票行動。今から考えるにこれってとっても示唆に富んだ行動だった。

ウクライナの一体性を確保すべきと言わせて、要するにクリミアをウクライナに返せという行動を国連を使ってやりたかったのだが、世界中が一致してそう答えたとまでは言えなかった。

海老茶が反対、緑が賛成、黄色が棄権、水色が投票に参加せず

その時のこのブログのエントリー

ロシアは孤立しているんでしょうか?

 

で、今から見ると興味深いのは、北朝鮮は反対グループだった。国が作る地図でクリミアをロシアにしていたというのも去年ちょっとした話題になった。

さらに、この時ちょっとしたどよめきだったのは、イスラエルが水色、すなわち投票行動に参加していなかったこと。あれだけアメリカに命令しくさっておきながらこれかよと大騒ぎになった。

ついでにいえば、ウクライナ問題を理由とした欧州、日本、アメリカの対ロ制裁に、イスラエルは一回も付き合ってない。それどころかロシア、イスラエル間の貿易は伸びている。

 

■ ユーラシア経済連合+チャイナ

直近の動きとしてユーラシア経済連合は、イランとの間で自由貿易圏協定を仮調印してるというのは前に書いた。

強まるイランとロシアの絆

その上で、中国とも各種の協定を結ぶようだ。来週(5月17日)のユーラシア経済連合の総会で発表する模様。

Eurasian Economic Union to sign trade, economic agreements with China, Iran in Astana

http://tass.com/economy/1003879

 

■ イランに巨大な制裁を課すアメリカ

で、この動きと相関しているのが、イラン・ディール問題じゃないのだろうか。イラン・ディールを崩すトランプを、欧州各国は非難しまくっているが、果たして非難したままアメリカを無視できるのかというのは、相当疑問がつく。

できない方が highly likely(非常にありそう)じゃないかと書いておきたい。

この制裁はいつものように、アメリカが一方的にかけたものだが、いつもように、それはドル取引をする人、すなわちアメリカとの貿易をする会社にとって機能してしまうよう設計されている。ドル取引するなら、お前は俺の子分というのが隠れたルールみたいなもの。

なので、アメリカを非難し、それを無視するということはアメリカとの商売に大きな障害を抱えることになる。一方、アメに従えばイランとは取引できない。欧州の英米+独がどう対応していくのかが見もの。

しかも、これって最後じゃない。なんでもいいから適当に事件を作って(例:スクリパル親子)、それを理由として対ロ制裁をかけたら、欧州はまた引きずられる。

私の考えでは、ウクライナ問題という非常に筋の悪い問題でアメリカに従ったドイツは欧州ごと負の連鎖に引っ張ったようなものだと思う。

あそこで、プーチンやらラブロフが、あんたたち自分でどうしようもないこと(例、ウクライナのネオナチ)を理由に制裁かけたら、自分じゃ制裁解除できないんだよ、わかってやってるの?と言ったことが思い起こされる。

 

一方で、ロシアと中国はイランを孤立させないよう経済圏に入れようという話なんでしょう。イランはインドが仲がいいし、イランとの貿易に期待を寄せてるし(例、南北回廊)、トルコとイランも結構なボリューム。むしろ、ロシアとイランは貿易高は小さい。

 

■ 仲間を固めてる英米ではなかろか

で、前からちょぼら書いてるけど、現在のアメのやっていることは、田中宇さんが言うような、覇権の放棄なんてことじゃなくて(どういう理由で放棄なの?)、勃興するユーラシアに対抗するための既得権の確保、確認、つなぎ直しと、将来に向けてのイメージの改作ではなかろうか?

今のままだと悪い人のイメージがてんこ盛りなので(笑)

で、アメを悪の総大将にして後ろで、メディア、アカデミアの志向、考え方、見方の支配を通して(これがメディアの役割)、私たちが先進地域、だからユーラシア側はいずれ私たちのようになるのだ、それが運命だというご宣託を述べてきた英を中心としたグループが、このままじゃバレちゃう、大変だ、となってるという感じ。

トランプは、体制が違うからお前は死ねという路線でないことが、これらのグループからすると大弱りだと思う。

 


 


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