2018/4/20
・詩人になりたかった若者が才能にも環境にも恵まれずに自殺する話。
・あらすじだけ取り出してみると、かなり普通。
・ただし、終演後、隣のお客さん(若い男性)が、しきりに「わからねえ」「わからねえ」「わからねえ」と何度も声に出していたくらい、一筋縄ではいかない作品(でも楽しんでたと思う)。
・最初に印象的なシーンがあって、そこに向かって後のエピソードがある感じ。
・ただ、それだけだと説明できないシーンもあって、本当に自殺なのかどうかも怪しい。
・イフや妄想が入っているとか、わざと整合性をつけていないとか、いくらでも解釈できると思う。
・櫻井さんの存在も謎。そのあたりの脚本の工夫がおもしろい。
・表面的な櫻井さんの役割は、舞台上に常に存在して、そのシーンにあった役割を演じているだけ。
・あるときは銅像、あるときは父親、売れっ子詩人、霊能力者、バーのマスター。まるでトランプのジョーカーのようにめまぐるしく変わる。
・主人公の理想の分身とか、中心にある巨大な空洞とか、見る人が好きなように解釈していいと思うけど、基本的には作・演出者そのものでいいと思う。なんと言っても櫻井さんだし。
・なので自己対話の話にも見えるけど、そのわりに主人公を突き放して描いているので、確かによくわからない。
・自叙伝だと言われたらわかりやすいんだけど、作者本人が明確に否定している。
・遠藤洋平くんの猫背よかった。なんとなく、暗い役を演じる時の森山未來さんと重なった。
・空き缶をめぐる攻防とか、弟が兄をなじるところとか、会話でフックを作るのがうまいし、うまく具現化されている。
・見ていてちゃんと嫌な気持ちになるし、笑えるところも多い。
・たまたま本家MCRの公演も見ていたので、どうしても比較しながら見てしまう。(ブログで感想書書き始める前だった)
・指がメキョメキョのシーンは、記憶で補足しながら楽しむ。
・何者にもなれない若者の苦しみが暴発する話なので、全体的にもう少しはっちゃけた姿が見たかったかも。
・作り手側は、テンポやフィジカルよりも、シュールな見せ方のほうが好みっぽい。
・あと、MCRの公演が自分の記憶の中で勝手に美化されているような気もするので、まっさらな気持ちで見たら全然印象違っていたと思う。