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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山 花と歴史のハイキング(妻女山里山通信)

2016-04-28 | アウトドア・ネイチャーフォト
 27日(水)に、松代夢空間主催の「妻女山 花と歴史のハイキング」が行われました。私がインタープリターとして皆さんをご案内し、自然や歴史について話しながら爽風の吹く初夏の妻女山を歩きました。信濃毎日新聞で事前に記事が載ったため、20人募集のところが、最終的には45人にもなりました。夢空間からサポーターがついてくれたので、無事に終了しました。また、信毎の記者の方が同行取材してくれたので、翌日の紙面に載りました。

 9時集合で受付開始(左)。拙書の販売も行われました。もちろん今回のコースも載っています。最初の挨拶で、謙信の本陣は、今の妻女山(旧赤坂山)ではなく、これから行く513mの山頂で本名を斎場山といいますと説明。ほとんどの方が初耳で驚いていました。まず林道を15分ほど歩いて、長坂峠から斎場山(旧妻女山)へ(中)。円墳なので山頂は平で円形です。ここが本陣かと皆さん感慨深げでした。ここでは古代科野国について説明しました。
 その後、御陵願平にある猪のヌタ場(泥浴び場)へ(右)。前夜浴びたようで足跡がありました。

 次に陣場平へ。地理史の重要な文化遺産である菱形基線測点を説明(左)。初めて見たという人が多かった様です。貝母は残花でしたが、薬草でかなり強い毒草であることなどをお話しました。そして、堂平大塚古墳へ(中)。私有地なので本来は立ち入り禁止なのですが、今回は自前に了解を得たので皆さんをお連れしました。谷にある謙信の陣用水といわれる泉も紹介しました。妻女山へ戻ります(右)。気温は夏日で高めでしたが、時折爽風が吹いて気持ちのいい山行でした。ここのところ、晴れの日はほとんど毎日撮影や山の保全で陣場平に来ていたので、歴女やご婦人方やご夫婦などを案内しました。事前にメールとかで連絡いただければ、都合が合えばご案内できるかもしれません。左にあるサイドバーのメッセージを送るからお願いします。ダイレクトメールなので公表の心配はありません。
 【君待つと 吾が恋ひをれば 我が屋戸の すだれ動かし 秋の風吹く】万葉集:額田王
 秋どころかまだ夏にもなっていないんですけどね。春紅葉はなぜか哀愁を誘うのです。すだれが動いたので会いたいなという人が来たのかなと思うと、ただの風だったという切ない歌。いずれにせよ想いははっきりと伝えないといけません。待っているかもですよ。

 この時期に妻女山山系のあちこちで咲いている花をピックアップします。まずはイカリソウ(碇草・錨草)メギ科イカリソウ属。別名は、三枝九葉草(さんしくようそう)、生薬名は、淫羊霍(いんようかく)で強壮剤などに用いられます。年々群生地が広がっているのが嬉しいです。アマドコロはまだ蕾でした。三つ葉やモミジガサも芽吹きました。

 左はシナノタンポポ(信濃蒲公英)。花の下の総苞が太く萼片が反り返っていません。花も大きく草高があり、私が計った最高は81センチありましたと話すと皆さん驚かれていました。中はクサノオウ(瘡の王) ケシ科クサノオウ属。別名は、皮癬草(ひぜんくさ)。生薬名は、白屈菜(はっくつさい)といいますが、非常に毒性が強いものです。瘡(くさ)・丹毒(たんどく)・湿疹を治す薬効があるために、くさ(瘡)の王と呼ばれるようになったとか。茎は中空で、折ると白汁が出て、橙黄色に変化します。 北信濃では、里山の林道脇にたくさん咲くのが見られます。右はタチツボスミレ(立ち坪菫)スミレ科。ラベンダー色が美しいもっともありふれたスミレですが、白花や斑入りなど変種も多く、なかなか奥の深いスミレです。妻女山にはアカフケタチツボスミレもあります。

 上杉謙信槍尻ノ泉近くにシナノタンポポの群生地がありますが、雑種もあります。近くに咲いている黄花のクサノオウは毒草なのでご注意を。

 左と中のウワミズザクラ(上溝桜)は、バラ科ウワミズザクラ属。落葉高木。別名は、花が強い杏仁に似た香りがあるため杏仁子(あんにんご)といい、実は食べられます。果実酒にも。総状花序の下に葉がつきます。上溝とは、亀甲占いのために上溝桜に溝を掘って燃やし、亀甲のひび割れで占ったため上溝桜が転訛してウワミズザクラになったということです。右はガマズミ(莢迷)スイカズラ科ガマズミ属。葉はクスサンの大好物。秋になる赤い実は果実酒に。滋養強壮、抗酸化作用があります。

 ハイキングの前日には、久しぶりにニホンカモシカのシロに出会いました。まだお腹が大きいので出産はしていないようです。中はマルバアオダモ(丸葉青だも)双子葉植物・合弁花類・モクセイ科・トネリコ属。バットや家具の材料。別名はホソバアオダモ。招魂社の八重桜も満開になりました。花を塩漬けにすると桜茶になります。

 左はヤマツツジ(山躑躅)も満開です。中はキジムシロ(雉筵)バラ科。縁が鋸状の小さな葉が地面にべたっと広がります。春のバラ科の花は、ミツバツチグリ、ツルキンバイ、ヘビイチゴ、オヘビイチゴ、ヤブヘビイチゴなど皆似ているので同定が厄介です。下山後は、清野にある「レストラン はなや」さんで、杏おこわや手打ち蕎麦をいただきました。また、ここでも拙書をお買い上げいただき、希望者にはサインをしました。

 はなやさんの店内(左)。参加者が途中で見つけた大きなキノコ(中)。その場では同定できなかったので持ち帰らせていただきました。松の切り株などに生えるマツオウジです。食菌ですが、人によっては中毒を起こすそうです。酒と醤油をふってオーブンで焼いてみました。コリコリとした食感で美味しいキノコでした。右は謙信の陣用水といわれる蟹沢(がんざわ)の泉。
 解散後は、陣場平のヨシの新芽が気になったので切りに行きました。下山後に妻女山の駐車場で、ちょうど私が置いた不法投棄の大量の雑誌を回収中の長野市の職員の方に遭遇。不法投棄の話や、今日のハイキングの話、展望台の絵図が間違っている話などをし、拙書のパンフレットも渡しました。

 長坂峠から陣場平方面のカット。この芽吹き具合は、例年なら連休明けぐらいの感じです。季節の進み方が早すぎて撮影が追いつかなくて困っています。植物の成長も旺盛なので里山保全の作業もあります。ゴールデンウィークも妻女山山系を駆けずり回ることになりそうです。若干過労気味ですが、今の季節が撮影の肝なんです。妻女山や斎場山、陣場平などで出会った方には必ず声をかけています。拙書をお持ちの方にも既に20人以上に出会いました。感謝です。
 陣場平ではなんとウスバシロチョウも舞い始めました。4月に舞い始めたのは初めてで驚いています。5月1日は、妻女山里山デザイン・プロジェクトの面々と四阿山から根子岳縦走をする予定でしたが、28日の降雪で冬山に戻ってしまったという情報。急遽、拙書の表紙にも使われている子檀嶺岳に変更になりました。偶然お会いしたら声をかけてください。むさい男4人のパーティーです(笑)。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。平安堂書店や松代まちあるきセンターで買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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