研修医になり、4ヶ月が経ちました。2年の研修期間の12.5%が終了です、恐ろしい。そんな研修医生活ですが、大学の同級生と話すと、どうやらチラホラと「失踪者」が現れ始めたようです。いわゆるドロップアウト、というやつですね。いきなり仕事に来なくなった、「明日から行きません」という留守電が入っていた、などさまざまなようです。

今回は、ドロップアウトする先生と、医師を目指した理由について分析してみます。

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さて、皆さんは将来医者になる人(医学部生、医学部を目指す高校生)が目の前に現れ、その人と会話をするとなったら、まず何を話しますか?何をきいてみたい、知りたいと思いますか? 

それはおそらく「なぜ医者に?」であろうと思います。なぜそのような特殊な仕事につくの?世の中では大変だ大変だときくけれど、一体どうして? 医学部に入ると、この質問を何回もされるわけです。 

正直うんざりしますが、バイト先の友人、高校の友人、恋人、先輩…親しい人からそうでない人まで、様々な人からこの質問がよせられます。実は、医学部入学者なら誰しも(本音かどうかはさておき)この質問に対する回答を持ち合わせています。

なぜなら、医学部入試ではセンター試験、二次試験に加えて、面接が課せられている場合が多く、そこで間違いなく「なぜ医者に?」ときかれる事が予測できるため、答えられるように準備しているからです。

回答は本当に多種多様で、大体次のうちのどれかにあてはまります。

  • 人の命を助けたい
  • 人と関わる仕事がしたい

という優等生から

  • 昔から勉強がよく出来たし、なんとなく
  • 不況だから東大より医学部かなって
  • 親が医者だから

という特に目的意識がない生徒や

  • 人体に興味がある
  • 謎めいている脳の構造を解明したい

というサイエンティスティックな生徒も。

割合的に、僕の学年は優等生が30%弱、目的意識が無い生徒が70%、サイエンティスティックな生徒が数%といったところでしょうか。



実際僕は、入試の面接に備えて
  • 人と関わる仕事が良くて、教師と迷った結果、医師にした
  • 小学校の頃入院した経験があり、苦痛を取り除いてくれる医者という存在にあこがれた
これらの回答を用意しており、その場の空気や他の受験者の発言に合わせて使い分けていました。

しかし本音では
  • 別に特に目的無いけれど、医者って社会的地位もあるし、お金もあるし 
  • 下手に東大京大より医学部じゃん
  • ここまで勉強を頑張ってきた見返りとしてこれくらいのリターンはあってもいいだろ
くらいの気持ちでいました。上記で言うところの2番目、目的意識の薄いタイプです。僕の周りでも、結構こういう人が多いです。もちろん、そうでない人もいますが。



さて、曲がりなりにも医師になって思うのが、この職業は多分にボランティア要素を含んでいる職業です。無給の残業、患者が求める検査を探って必要性を吟味し提供する、自分の睡眠を削り食事は3分、などザラです。小さい子供がいるのに、1週間に1日しか家に帰れない先生もいます。

なので、この仕事を続けられる人は、
  • 体力が有り余っている人
  • 強い意志がある人
  • 仕事に没頭しってしまい忙しい事そのものが楽しくなっちゃう人
のどれかだと思われます。 つまり上記における、優等生(強い意志がある人)、サイエンティスティックな人(没頭できる人)、なんとなく医学部へ入ったがとにかく体力がある人(体育会系)のいずれかの3分類に、医師を続けられる 人はあてはまると考えています。僕は3番目の体力で全てを無理やり解決するタイプだと思います。

逆に、これから医師を目指す人、子供を医師にしようと思っている親御さんは、果たしてどのタイプなのかを認知しておく必要があります。

ドロップアウトする人の傾向は、僕の周りの範囲では
  • 「なんとなく」タイプで体力がない人
  • 一見「優等生」タイプだが実は「(教育熱心な親に無理やり仕立て上げられた)優等生」である人
 です(n=2)。

前者は自覚できていれば、ゆるい研修病院へ行きゆるい科に進めば解決ですが、問題は後者です。こういう人に限って、超キツい有名研修病院に行ってドロップアウトする確率が高いかと。 なので、正確なメタ認知がまずは何よりも重要だと思います。

あと、とにかくスポーツして体力をつけようという事です。ジム最高。