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なぜ女はAVに出ると自滅するか

2017-10-26 06:20:13 | 歴史

木曜

セックスはなぜ楽しいか (サイエンス・マスターズ)
 ジャレドダイアモンド
草思社

文庫化時に、改題されて今は下のようになっています。同じ本です。書店で手に取るのが恥ずかしいからという理由からだそうです。

文庫 人間の性はなぜ奇妙に進化したのか (草思社文庫)
ジャレド・ダイアモンド
草思社

内容は至ってまじめで、残念ながらエロ本のたぐいではありません。
著者は、次の本でピューリッツァー賞をうけた生物学者です。

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
ジャレド・ダイアモンド
草思社

発想は歴史的です。人間の進化を種としてとらえ、社会としてとらえています。
社会の進化は文明論になります。

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)
ジャレド・ダイアモンド
草思社



ヒトの性の奇妙さとしていくつかの点を上げていますが、私が興味を持ったのは次の三点です。(我々が当たり前と思っていることは、動物界ではかなり異常なことです)

1.ヒトは隠れて性交する。
2.しょっちゅう性交する。
3.女性の排卵は隠されており、男にとっても女にとっても、排卵日前後の受胎可能な短い時期を検知するのは困難である。

これがなぜかということです。繁殖のためには非常に効率の悪い性行動です。
いくつかポイントを列記してみます。

『体内受精を行う動物のオスは、メスと同じようには自分が親であることを確信できない』

『ヒトは、子供を片親だけで育てるのが難しい、あるいは不可能な動物だ』

『人間のように排卵がほとんど確認できないという種は、動物の世界ではごく少数派なのだ』

『ほとんどいつでもセックスしているという点でも、ヒトは変わっている。それというのも排卵が隠蔽されているからにほかならない』

『さまざまな動物のメスが排卵がわからないのを利用してオスの父性を撹乱している』

『ゴリラのメスは、よくハーレムを乗っ取ろうとすオスのゴリラに赤ん坊を殺される。実際、ゴリラの赤ん坊の死因の三分の一以上は、この子殺しによる』

『人類学者たちがかなり前から認めているように、多くの伝統社会では、子殺しが普通に行われていた』

『メスの排卵がわからず、いつでも性的に受け入れ可能だとしたら、彼女はその点をいかして多くのオスと交尾ができる。たとえ連れ合いのオスが見ていないときにこっそりやらなければいけないとしても。そうするとそのオスが赤ん坊を殺すことは避けられる。それは自分の子かもしれないからである』

『女は排卵の隠蔽を進化させ、いつでも男を受け入れることが可能になると、今度はそれを利用して、優秀な男を選び、誘惑したり脅したりしながら男を家にとどまらせ、自分の産んだ子にたくさんの保護や世話を与えさせた。』

『生物界では、性の異性間闘争は実にふつうのことである』



ここから導かれるのは、
体内受精は、メスにとって非常な負担を強いる反面、母性の確かさを増大させ、
反対に、オスにとっては、負担を軽減させる反面、父性の確かさを減少させるということです。
つまり、ヒトの出産と育児は、メスに非常な負担をかけるように進化したのです。
それがなぜなのかはまた別の問題として保留されています。

だから、子供を片親だけで育てるのが難しいメスにとって、育児にいかに多くオスを引き込むことができるか、それが課題になります。それが人類共通の課題だったのです。自分の子供が他のオスに殺されないことを含めて。
メスの排卵の隠蔽は、多くのオスと性交するためです。
そして隠れて性交するのは、そのことを他のオスに知られないためです。(著者は明言していませんが論理的にそうなります)
そしていつも女は、パートナーのオスとだけ性交したと振る舞うことによって、相手のオスの父性を確保してやることに成功したのです。

そうでないと、この子はオレの子供ではないのではないか、という疑念をオスに与えてしまうからです。そうなればメスにとっても子供にとっても身の破滅です。

排卵の隠蔽が、いつでもどこでも誰とでもメスが性交できるようにするためという点では、AV女優の方々は素直なのかもしれませんが、
性交が秘め事でなくなっている点が、人類の進化の点からはそのメスにとって大きなリスクを与えています。
隠れて性交を行うことは、オスにとってより、メスにとってのほうが格段に利益をもたらします。
メスは自分の性交を見せないことにより、オスに自分の種を宿すメスという確かさを与えることができるからです。
女にとって自分の子供ではない子供を育てることが難しいように、男にとっても自分の子供ではない子供を育てることは難しいのです。
女は子供を産みさえすれば100%自分の子供ですが、男は自分が性交した相手から生まれた子供が100%自分の子供であることはできません。
この疑念が問題なのです。

AVビデオは確かにオスの需要によって生まれているものですが、そのことはメスの出産と育児とは全く関係のないところから発生する需要であり、
オスがなぜそういうものを見たがるかというのはまた別の脳生理学的な問題です。

メスがいつでも性交可能になると、オスもそれに対応していつでも性交可能にならなければなりません。オスはそういう能力を身につけなければならなくなるのです。
そしてそれはオスの場合、肉体的な変化というよりも、多分に精神的な変化によって身につけられていったのではないか、ということを著者は匂わせています。
男のエロスの世界はそういうところから誕生したのではないでしょうか。

『昼は淑女のように、夜は娼婦のように』とは男の理想とされますが、女性はどう思っているでしょう。
『バカいわないでよ、私ゃ子育てで忙しい』というところでしょうか。
進化論的には、すべてはそのためですから。

でもウソでもいいから『昼は淑女のように、夜は娼婦のように』振る舞ってくれないと、男は立たない、というのも本当ではないでしょうか。
女は男を立てる世話までしなければならない、大変です。
男は男で、
『娯楽のためのセックスが重要な要因となり、言語や芸術や書字を発展させたのではないか』と著者のジャレド・ダイヤモンドはいっています。
男はこうやって自分の手の内を見せます。
でも女は見せません。見せてはならないものをもっているからです。
女は謎ですな。
女を知らずして、人生を語るなかれ、というところでしょうか。
でもいくら女に聞いても女は答えてくれません。女自身それを意識していないのですから。

しかし性がオープン化され、男と女が同質化していくと、そのことが与える社会的変化は、今までの人間の進化上の論理とかなり違ったものになることが予想されます。
女が産まなくなるか、男が立たなくなる社会、そうならなければいいのですが。



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