ユチョン騒動が呼び起こした「芸能事務所のアイドル育成システム」見直し論

今回のユチョンの騒動は、単にひとりの芸能人のスキャンダルというレベルを超えて、韓国社会に大きな衝撃を与え、問題意識を喚起している。これは社会問題であり、芸能事務所のアイドル育成システムを見直さなければならない、という声も上がっている。

●韓国日報 2016.06.24 午後 8:12
いつでも「第2のパク・ユチョン/ショック」は起きる…芸能事務所は人間教育のプログラムを備えるべき

ーー引用始まり

最近3年間に、兵役服務中に性的暴行で告訴されたり、軍服務規定違反で懲戒処分となって社会的物議をかもした3人、パク・ユチョン(30)、Rain(ピ)(チョン・ジフン34)、セブン(チェ・ドンウク32)には大手芸能事務所出身という共通点がある。

この3人の歌手は14~16歳で、それぞれSMエンターテインメント(ユチョン)、JYPエンターテインメント(Rain(ピ))、YGエンターテインメント(セブン)に練習生として入り、1990年代後半から2000年代初めにデビューした。

3人とも、学校より芸能事務所で青春時代の長い時間を過ごした。芸能事務所の下で、芸能生活を行い、兵役を機に芸能界の外の社会に初めて出て、「事故」を起こした。3人は誰もが知っている韓流スターだが、兵役期間中に越えてはならない常識の線を越えてしまった。パク・ユチョン、Rain(ピ)、セブンが練習生だった1995~2002年には人間教育システムを備えた芸能事務所はまったくないに等しかった。

パク・ユチョン事件をきっかけに芸能事務所のアイドル育成のあり方が改めて社会的問題として提起されている。芸能事務所のアイドル育成システムを全面的に見直さななければならないという声も高まっている。

芸能人個人の道徳性がまず問題ではあるが、芸能事務所も責任を免れない。芸能事務所の練習生たちは、人間性の土台を作る最も重要な時期である青少年期を、事務所に最も依存している。しかし、芸能事務所は、練習生たちに歌や踊り、演技などを教えだけで、成人として備えなければならない常識や判断力、人間性を育む教育を疎かにしがちだ。

芸能人の社会的地位や影響力が高まる中、スターを夢見て芸能事務所に練習生として入ってくる子供たちの年齢は低くなっている。練習生への芸能事務所による人間教育の必要性はいっそう高まっている。人間教育のシステムがしっかり構築されていなければ、第2の「パク・ユチョン/ショック」はいつでも起こりうる状況だ。

2010年代に入ると、大手芸能事務所を中心に練習生への人間教育プログラムが次々と導入されている。アイドルグループのビーストなどが所属するキューブエンターテインメントは、2010年以降、四半期ごとに外部から講師を招き、他の人との円滑な接し方や人間関係の続け方を教え、情操教育、性教育も行っている。練習生たちに日記を書かせ、自分を省みるようにさせ、毎月末に行われる評価では、歌と踊り以外に、人間性の評価もしている。

しかし、中小の芸能事務所は依然として人間教育の「死角地帯」だ。アイドルの人間教育をろくに行わない、または教育などせずに練習生を放置している。

2つのアイドルグループが所属するAエンターテインメントのある関係者は「アイドルの人間教育というと、専門家ではなく、所属事務所の職員がファンとの接し方などを教えている程度」と話した。

2010年代にデビューしたある人気ガールズグループが所属するBエンターテインメントはデビューが確定していない練習生には人間教育をまったく行っていない。Bエンターテインメントの関係者は「人間教育プログラムにもコストがかかる。練習生はいつ事務所を去るかも分からない。すべての練習生に人間教育を行うことはできない」と話した。コストを理由に、練習生たちは、芸能事務所内で基本的な人間教育さえ受けていないのだ。

キム・ホンシク東亜放送大学教授は「学業を放棄して芸能人を夢見る練習生たちが増えている。芸能事務所に人間教育プログラムなどを義務化することが可能か、政策的検討が必要」と話した。

小児青少年精神科専門医ソン・ソクハン博士は「幼い時から注目されていたアイドルは周りがみな持ちあげてくれるので、自分自身をチェックする意識が欠けてしまう危険性が高い。芸能事務所は、練習生時代から多様な人間教育プログラムを行って、社会性を身につけさせることが大切」と話した。

ーー引用終わり

今、大騒動の中にあるユチョンのことは、他の記事を読んでもらうとして、Rain(ピ)とセブンのケースについて簡単に説明しておくと、まずRain(ピ)(2011年10月入隊~13年7月除隊)は、軍服務中に頻繁に休暇を出してデートをするなどして問題になった。

セブン(2013年3月入隊~14年12月除隊)は、服務中にマッサージ店(実態は性的サービスをする風俗店)に行ったことがばれて大問題となった。

彼らは、軍服務中、芸能人が務めることの多かった慰問や広報活動専門のいわゆる「芸能兵士」で、一般の現役兵からすると「特別待遇」のような身分だったのだが、服務態度に問題のある「兵士」が多く、結局、厳しい世論を受けて、この芸能兵士制度自体が廃止(1997年から続いてきたが、13年7月に廃止された)されてしまった。

●ワウコリア 2016年5月18日22時46分
「芸能兵」はなぜ廃止されてしまったのか(日本語)

ユチョンの場合は、喘息の持病があることから、現役兵ではなく、公益要員(2015年10月入所~)して江南区役所で働いているのだが、これまで、服務期間(15年10月1日~26年3月31日)の4分の1は年次休暇または病欠で休むなど、勤務態度は良いとは言えない状態で、今回、4人の女性から性的暴行で訴えられ、大騒動となっている。

Rain(ピ)、セブン、ユチョンに共通することは、記事中に指摘されている大手芸能事務所出身という点以外にも、いくつかある。

まず歌手出身ということ。それからデビューが(年齢的に)早かったこと。デビューから間もなく、一気にスターになったこと。これらの点は、兵役中に問題を起こしたことと関係が深いと思う。

俳優の場合は、大学の演劇科で学んでからデビューするなど、アイドル歌手よりは全体的に世に出るのが遅く、中高生時代は一般の教育を受けていることも多い。また、俳優の場合は、舞台や撮影の仕事を、年齢や境遇の異なるたくさんの人々と共同で行う。そのため、人とのふれあいの中で実地で社会教育を受けることができ、常識も身についていく。

しかし、アイドル歌手で幼くして成功した場合は、そういう機会のないまま、事務所の管理下、籠の鳥のような状態で、仕事に追われる毎日を走り続ける。兵役はできるだけ遅らせて、年齢制限である30歳の直前に、ぎりぎりで迎える。

ここで、がらっと環境が変わる。しかし、ふつうの生活ができるような人間教育を受けておらず、社会常識に欠け、正しい判断ができない。「自分はスターだ」といおごりもあるだろう。それで、新しい環境にうまく適応できない。時間と金はある。仕事(芸能活動)から離れ、緊張が緩んで、自分をうまくコントロールできない…。

そして、問題を起こす。

ユチョン(1986年6月生まれ)は、小学6年生の時に、韓国の経済難(韓国は1997年のアジア通貨危機で国家経済が破たんし、多くの倒産企業や失業者を生んだ)一家で渡米し、バージニア州で暮らした。言葉も不自由な慣れない環境の中、音楽に没頭し、2001年、15歳で米州歌謡祭で大賞を受賞したのを機に、単身で帰国し、歌手デビューの準備をした。最初の事務所SMエンターテインメントに所属し、 1年5カ月という比較的短い練習生期間を経て、2003年12月、17歳で、東方神起のメンバーでデビューした。

その後は一気にスターダムに駆け上がり、2009年9月に東方神起が分裂した後も、JYJのメンバーとして大きな人気を得てきた。

ユチョンのこの生い立ちからの歩みを見るに、人間教育をきちんと受けることができなかった可能性は十分にある。周りの大人たちは、ユチョン少年が社会常識や正しい判断力を身につけられるように、配慮をしてくれたのだろうか?

金のことしか頭にない大人たちによって、犠牲になってしまった、という面はないのだろうか?

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