五つの池の喫茶店

私が日々思っている事を徒然なるままに書き綴ってみました。興味のある方はお立ち寄りください。OCN CAFEに2004年9月から記載された日記をOCN Blog人に引き継ぎ、さらにこのHatenaBlogに移設いたしました。

はあ、おらがの町では秋になると・・・。

 5月ももうすぐ終わり、すぐに梅雨がやってきます。早いもので2017年ももうすぐ半分が過ぎたことになります。当地藤枝市もここ数日は雨の日が続きましたが、今週末は五月晴れのいいお天気となり、季節もすっかり初夏といった感がします。

 さて今回の記事ですが、多くの方がブログやSNS等で紹介されているので、二番煎じ、三番煎じになり、投稿するのもちょっと躊躇ましたが、「カール」のことについて考察していきたいと思います。

 お菓子メーカー大手の明治製菓は人気のスナック菓子“カール”が東日本で販売を中止にすると発表しました。産経新聞の記事からです。

 明治は25日、登場から半世紀近くがたつスナック菓子「カール」の販売を、中部地方以東で8月生産分を最後に終了すると発表した。9月に店頭から消える見通し。ほのぼのとした「カールおじさん」のキャラクターで親しまれたが、近年はポテトチップスなどの人気に押され低迷していた。関西以西では「チーズあじ」「うすあじ」の2品に絞って販売を続ける。

 カールはトウモロコシを主原料に昭和43年発売し、農作業着のおじさんキャラに加え、三橋美智也さん、和田アキ子さんら大物歌手のCMソングで家庭に浸透した。ただ、190億円前後あった年間の売り上げはジャガイモ系の菓子の伸びに阻まれ、平成27年度は60億円ほどまで減っていた。

 全国での販売終了も検討したが「当社を代表する歴史ある商品」(明治)である重みを考え、ブランド消滅は避けることにした。東西で売り上げに大差はないものの、西日本の方が生産、物流の効率が良いという。関西以西も「カレーあじ」「大人の贅沢カール」などの販売はやめる。

  子供の頃から慣れ親しんできたものが消えることは、やるせない気持ちがします。しかもそれに愛着が深ければ深いほど悲しみは大きくなります。今回の「カール」の件、「カール」の売上は全盛期の190億から60億まで落ち込んでいるとのこと。新聞の報道によれば、ポテト系のスナック菓子との競合に負けたのが理由だそうです。そういえば私も随分と「カール」を食べていなかったように思います。「カール」が買えなくなるのは福井県岐阜県、愛知県以東の東日本。私の住んでいる静岡県でももうじき「カール」が買えなくなります。そこで惜別(?)の意を込めて「カール」について調べてみることにしました。

 カールは言わずと知れた日本を代表とするロングセラー商品で、日本初のスナック菓子として1968年7月25日に発売されました。当時の明治製菓では主力のチョコレートの売り上げが落ちる夏場の対策として、“1年を通して食べてもらえるお菓子を作る”企画が持ち上がり、そんな中海外出張から帰った社員の発案で日本初のスナック菓子を作ることになります。スナック菓子の定義は曖昧ですが、一般的には軽食代わりに食べられる菓子をいい、主に芋類、豆類、トウモロコシといった炭水化物を原料とします。明治製菓は試行錯誤の末、コストや味付けのしやすさからトウモロコシを原料に決めてスナック菓子を作ることにしました。

 カールはまるでカブトムシの幼虫みたいな形が特徴ですが、開発当初はスタッフの間ではなかなか満足のいく形が得られず苦悶の日々が続いたそうです。そんな中、たまたま丸まった形で下に落ちた形が今までになく斬新で面白かったのでこの形になったそうです。そのためでしょうか、“カール”という名前も英語のcurl(巻く)に由来しています。ただ商品名は商品の登録の関係上karlとなってしまいました。ただ明治製菓のホームページによりますと、昭和30年代に流行していたカール人形を参考にしたとあります。

 カールといえば、やはりCMに登場するカールおじさんのことを抜きにして語ることはできません。カールおじさんを描いたのは、東宝東映などでテレビアニメやテレビCMのアニメーターとして知られていたひこねのりおさん。ひこねさんはのちに松田聖子の歌で有名となったサントリービールのペンギンのキャラクターも手掛けています。

 カールおじさんが初めてCMに登場したのは1974年、当初は脇役で主役は土手に座ってカールを食べているカール坊やでした。その後、麦わら帽子に被り、首に手拭いを巻いた泥棒髭のカールおじさんのユーモラスな風貌と特異なキャラクターが評判を博します。明治製菓には視聴者からの問い合わせが殺到し、ついには3作目のCMでカール坊やを押しのけ主役に抜擢されました。ちなみにカール坊やはカールおじさんの子供ではなく、遠い親戚にあたるそうです。

 カールのCMソングは「いいもんだなあ故郷は」。この歌は歌手の三橋美智也さんが歌っていることで有名ですが、CM放映当初の1974年4月ではカントリー歌手の寺本圭一さんが担当しました。三橋さんが登場したのは同年の12月からで、1993年1月までの20年にわたり31作品を担当しました。その後は林家こぶ平さん、岡村喬生さん、団しん也さん、志村けんさん、和田アキ子さん、河村隆一さんなど蒼蒼たるメンバーが歌を担当しました。どことなく長閑で、最後の「それにつけても、おやつはカール」というフレーズは何年経っても、私たちの耳から離れることはありませんね。


【明治】おらが村カールおじさんCM総集編【全20種】

 1968年の発売からすでに50年近い歴史のある「カール」。スタート時は「チーズあじ」と「チキンスープあじ」の2種類でしたが、その後は様々な味の「カール」が出現しました。今まで発売した「味」は100種類以上に上るといわれ、「チョコあじ」、「ねぎ塩カルビあじ」、「手羽あじ」、「うにあじ」、「ギョーザあじ」、「イチゴあじ」といった変わり種も多く登場しています。

 ちょっとここで話が脱線しますが、カールのことで私と嫁、娘、息子とでは認識のギャップがあることに気付きました。それはカールの生産が中止になるという産経新聞の記事をみて私が記事に違和感を感じたことから始まりました。産経新聞の記事ではカールの写真が掲載されていましたが、写真にあったのは「チーズあじ」。何で?私はカールといえば、「うすあじ」だとずっと思っていたので「変だなあ」と思い、嫁、娘、息子にそれぞれ「カールといえば何味?」と聞いたところ帰ってきた答えが3人ともそろって「チーズあじ」・・・!?私の方が少数派でした。

 九州の大分県出身の私にとっては、「うすあじ」が本家で、「チーズあじ」や「カレーあじ」が分家扱い。スーパーの店頭にも「うすあじ」がメインで陳列されていて、「チーズあじ」や「カレーあじ」はあまり並んでいませんでした。「チーズあじ」と「カレーあじ」は「カール」の新商品だと思っていたほどでした。

 嫁は神奈川県中部の出身です。私とは逆で「チーズあじ」こそが本家本元でスーパーでもメインで置いてあり、「カレーあじ」はスーパーの店頭にはあるにはありましたがそれほど多くはなく、「うすあじ」は至ってはあまり見なかったとそうです。

 今まで「カール」に地域差があるなって考えてもみなかったのですが、カールのことをもう少し詳しく調べてみることにしました。下の図は、Jタウン研究所が2014年9月に行った「おやつのカールといえば何味ですか?」というアンケート結果をグラフにしたものです。

f:id:Kitajskaya:20170528083222p:plain

 このグラフを見ると一目瞭然なのですが、東海から東にかけての地域では「チーズあじ」、関西より西にかけては「うすあじ」がそれぞれに優勢ですね。ここまで両極端に味の嗜好が分かれるのは正直驚きました。またこの表だけでは一概には言えませんが、関東と甲信越・北陸では同じような嗜好の傾向があるようですね。なお「コーンポタージュあじ」というのが出てきますが、私はこのあじは知りませんでした。Jタウン研究所のアンケートによると「コーンポタージュあじ」を支持したの東京、大阪、新潟のみであとの道府県からは全く投票がなかったそうです。

 地域別にみると、北海道ではさすがに酪農が盛んなだけあって「チーズあじ」が他を寄せ付けず断トツのトップ!!「チーズあじ」は東北、関東、東海、甲信越・北陸でもほぼ過半数を占めています。

 「カレーあじ」は北海道を除く東日本では20%台と健闘、特に東北では「うすあじ」に倍近い支持を集めています。ただ西に行くにつれて認知度が低くなり、九州ではほとんどマイナー扱いのようです。

 「うすあじ」は関西以西では「チーズあじ」に倍近い支持がありますが、西に行くほど支持率が上がるわけではないようです。やはり西日本でも関西圏と九州圏及び中国圏、四国圏では食の嗜好がかなり異なっていることが影響しているのかと思われます。ただ「うすあじ」が四国でぶっちぎりなのは正直驚きました。

 Jタウン研究所のアンケートではさらに掘り下げて、都道府県別の調査も行っていました。それによると、私の住んでいる静岡県では、アンケートの回答が「チーズあじ」と「カレーあじ」に分かれ、「うすあじ」の支持は全くありませんでした。どうりで静岡ではスーパーやコンビニの店頭に「うすあじ」が並んでいないですね。納得しました!!ちなみに昨日近所のスーパーの‘富士屋’に買い物に行きましたが、カールの棚は1種類で「チーズあじ」で、ものの見事に空っぽでした。

 「うすあじ」のトップシェアを誇ったのは京都府。ただ同じ関西でも和歌山県は「うすあじ」の支持はなかったようです。栃木県は全国で唯一「カレーあじ」がトップになりました。「うすあじ」が強い西日本でも山口県佐賀県、鹿児島県では「チーズあじ」の方が「うすあじ」より人気がありました。

 先ほどのJタウン研究所のアンケートで認知度では「チーズあじ」「うすあじ」「カレーあじ」の3つが他の「あじ」を圧倒しており、3つで99.5%とほぼ独占状態です。そこでこの3つの「あじ」についてもう少し掘り下げて書いてみたいと思います。

 「チーズあじ:「カール」発売当初、味を何にするか暗中模索の末に「チーズあじ」と「チキンスープあじ」の2つに絞られました。「チーズあじ」は子供を「チキンスープあじ」は大人を意識して作られたそうです。発売当時はチーズは多くの日本人にはまだ馴染みが浅かったため、斬新な考えだと捉えられたようです。一番新しいバージョンでは、6種類のチーズをブレンド、生地にもチーズを練りこんでコク深い味わいに仕上げています。 

明治 カールチーズあじ 64g×10袋

明治 カールチーズあじ 64g×10袋

 

 「うすあじ:「カール」発売当初は関西方面には「チーズあじ」は人気がなく、関西方面での販促強化のため、鰹だしをベースに昆布を利かせた味わいの「うすあじ」を1971年に販売しました。現在では関西以西では「チーズあじ」を凌ぐ販売を誇っています。

明治 カールうすあじ 68g×10袋

明治 カールうすあじ 68g×10袋

 

 「カレーあじ:1969年に「チーズあじ」「チキンスープあじ」に続く第3のあじとして発売されました。一番新しいバージョンでは11種類の香辛料を使い、煮出した野菜や肉の旨味を活かしたコクのある味わいに仕上げています。ただ残念ながら8月で生産終了になるようです。

明治 カールカレーあじ 66g×10袋

明治 カールカレーあじ 66g×10袋

 

  「カール」は国内の5か所の工場(山形県上山市、埼玉県坂戸市静岡県藤枝市大阪府高槻市愛媛県松山市)で作られています。東日本で生産が中止になる8月以降は四国の松山工場に生産を一本化するそうです。

 「カール」を作っている工場のひとつ、明治製菓東海工場は私の住んでいる藤枝市にあり、通勤で毎日この工場の傍を通ります。ただ今まで行ったことがなかったので、近くまで行ってみることにしました。

 下の写真は、東海工場を正門から撮った写真です。

f:id:Kitajskaya:20170528130552j:plain

 明治製菓東海工場はチョコレート、スナック菓子、キャンディなど約60種類の製品を生産しており、アーモンドチョコレートやチェルシーはこの東海工場の主力商品だそうです。東海工場では工場見学を行っており、「チョコレート」と「スナック」の製造ラインを見学することができます。

明治 アーモンドチョコ 88g×10個

明治 アーモンドチョコ 88g×10個

 
明治 チェルシーバタースカッチ 10粒×10個

明治 チェルシーバタースカッチ 10粒×10個

 
明治 チェルシーヨーグルトスカッチ 10粒×10個

明治 チェルシーヨーグルトスカッチ 10粒×10個

 

  正面玄関にはカールおじさんの像と看板が・・・。ただこれ以上は進めないので、ちょっと歩いた所から写真を撮ることにしました。

f:id:Kitajskaya:20170528130623j:plain

 明治製菓東海工場のすぐ裏は東海道線が走っていて、線路を横切る道路は高架になっています。工科になっている道路のちょっと高いところまで登って、工場の建物の一部を撮影しました。建物の側面にもカールおじさんの絵が描かれています。こんな所にまで「カール」への愛着があるんですね・・・・。

f:id:Kitajskaya:20170528130649j:plain

  藤枝市の小学校では小学校3年生の時くらいに、この東海工場の工場見学が社会科の教育の一環として組まれているようです。息子も小学校3年生の時にここに行きました。中でも「カール」の製造過程には感動したみたいです。おまけに帰る際にはチョコレートなどのお菓子や文房具などのお土産も頂きました。ちなみに娘は小学校4年生の時に藤枝市に転向したため、明治製菓の工場見学には行けず終い。この時ばかりは息子に羨望の目を向けていましたね!?

www.meiji.co.jp

 「カール」の生産中止の一報を聞いて、全国各地で無くなる前に「カール」の買っておこうと今品切れ状態だそうです。前にも書きましたが、近所のスーパー‘富士屋’でも品切れでした。何でも8月以降生産されない「カレーあじ」はネットでも驚くほど高値がついているそうです。

 ブランド消滅という最悪の事態は避けたとはいえ、一時代を築いたものの影響力が小さくなるのは悲しいことです。時代の趨勢といえばそれまですが、今回の件で改めて、伝統を守り抜くには極めて困難であることを「カール」が示してくれたと思います。これは食品業界のみならず、あらゆるジャンルにも言えることではないでしょうか。

 

「カール」について、詳しく知りたい方にお勧めのサイトです。

www.meiji.co.jp

参照:産経新聞 2017年5月26日付 カールおじさん お別れ 

                 中部以東、8月生産分で販売終了

   NTTコムウェア ニッポン・ロングセラー考Vol51 カール

   明日をもっとおいしく 株式会社 明治 カールおらが村

   Wikipedia 明治製菓、カール(スナック菓子)、ひこねのりお

   Jタウン研究所「カールの味といえば?」という質問で、相手の出身地がわかる

     

お恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

ランキングに参加しています。クリックして応援していただけたらうれしいです!

 


人気ブログランキング