日本てんかん学会(東京)によると、国内の患者は現在約100万人に上る。
一方、同学会が認定する専門医は全国で約530人しかおらず、専門外来も少ない。
このため脳神経外科や精神科など、病院ごとに治療を担う科が異なり、適切な診療が提供できないこともある。
これらの問題に対応するため、厚生労働省は地域のてんかん治療の中核を担う「拠点病院」の整備を行うこととし、
(1)専門医がいる、(2)診断に必要な機器がある、(3)脳神経外科や精神科など複数の診療科がある総合病院等を条件に、8病院を選定した。
拠点病院の役割はてんかんの専門知識を持った看護師や保健師などを置いた相談窓口を開設し、適切な診断や治療が受けられる最寄りの診療所や病院を紹介すること。
その他、地域の医療機関に治療上の助言をする、高度な治療が必要と診断された患者の受け入れも行うことなどが求められる。
定期的に保健所を交えた協議会を開き、効果が認められた治療例などの共有も進める予定。
また、来年度、拠点病院に集められた情報を分析する「全国医療拠点機関」を設ける計画で、より適切な治療法を検討したり、病院の連携のあり方を助言したりする予定。
全国8つの拠点病院
- 東北大病院(宮城県)
- 自治医科大付属病院(栃木県)
- 西新潟中央病院(新潟県)
- 日本医科大武蔵小杉病院(神奈川県)
- 静岡てんかん・神経医療センター(静岡県)
- 鳥取大医学部付属病院(鳥取県)
- 岡山大病院(岡山県)
- 広島大病院(広島県)