新田次郎の「槍ヶ岳開山」を読んだ。
新田次郎の作品でも、ユニークな作品と言えるかも知れない。
騒動の中で、妻を刺殺した罪の償いに、槍ヶ岳を開山した
修行僧の伝記小説なのだ。
最後の解説で、槍ヶ岳登山中のもの10人に、槍ヶ岳開山した
人物の名前を聞くと、3人はウエストン、残り7人は知らない。
と答えるとのこと。
まさか、登山家でもない、修行僧が、槍ヶ岳を開山したとは
知るすべもない。
しかし、伝記小説ながら、大きなミステリーが最後まで引っ張って
いく。それは、弥之助という、元同僚だ。
弥之助は、妻を刺殺した現場にいたのだが、その後、修行僧に
妻にそっくりの女性を近づけさせたり、墓をたてたりと、
なぜ、そこまでやるのかというほど世話を役のだ。
そのミステリーは、わからないで終わってしまうのか、それとも、
解き明かされるかは、読んだ方だけの内緒にしておこう。