当院には、『不妊治療』を目的に来院される方も多いのですが、今回は妊娠・出産・育児という女性にとって極めて大切なこと、そして私の不妊治療に対する根本的な考え方を書いてみたいと思います。

 

 

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不妊治療に関して、鍼灸師の多くはこう考えているのではないでしょうか？

 

 

女性のからだには、もともと「妊娠する力」「産む力」が備わっています。妊娠・出産はいわば、女性の自然の働き、本能です。

不妊は、その働きのどこかに問題が生じ、うまく妊娠できないのです。

したがって、その働きに悪影響を与える問題を取り除くことが大切なのです。

 

 

あるいは、

 

 

「不妊」という状態にあるからだが、無事に妊娠・出産に至るには、まずは基本的な体からだづくりをしていかなければ、いくら高度な生殖医療を受けたとしても、失敗を繰り返すことになりかねません。

畑（女性のからだ）が良くないと、いくら種（男性のからだ）が良くても妊娠できません。

したがって、鍼灸治療を受けましょう。

 

と……

 

確かに、不妊の患者さんに対する治療のタテマエとしてはそうなのですが、

はたして……

 

 

 

私が子どもの頃、よく母に、「どうしてボク、生まれて来たん？」と聞いていたそうです。

その感覚は今もあるのですが、何か外部から得た命を、たまたま自分が預からせてもらっているような感覚。その有り難さ、豊かさ。

 

鍼灸師として不妊治療に携わり、無事お母さんになられる患者さんをみていると、妊娠のホンネ、真実というものを考させられます。

そして、母が「コウノトリさんが運んできたんやで」と答えてくれたのを思い出します。

 

精子と卵子が結びついて……という科学的真実よりも「コウノトリが運んできた」という説明の方が、いまだにしっくりと来るのです。

 

不妊治療によって母体が整えられ、妊娠、出産に至る。それはそれで「事実」です。

しかし、お母さんの「いのち」の流れに乗って、赤ちゃんが生まれてくる。その「真実」も大切にしたいと思います。

 

コウノトリが赤ちゃんを運んでくるというのを嘘だと言ってしまうと、きっと何か大切なものが見失われてしまうような気がします。

 

私は、不妊治療においてその「何か大切なもの」を伝えられる鍼灸師でありたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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