人気ブログランキングに参加しています。
こちらをポチッ とお願い申し上げます。

 

 

https://news.goo.ne.jp/article/thepage/nation/incident/thepage-20170604-00000002-wordleaf.html?page=1

 

 46年前の「渋谷暴動事件」で指名手配中の中核派活動家、大坂正明容疑者とみられる男が先月逮捕されました。この逮捕で重要な役割を果たしたのが、いわゆる「公安警察」です。この男は近く殺人容疑で再逮捕され、東京に移送されて警視庁公安部の取り調べが始まると報じられています。公安警察とはどのような組織で、どんな仕事をしているのでしょうか。元公安調査庁東北公安調査局長で日本大学危機管理学部教授の安部川元伸氏に寄稿してもらいました。

徹底的な秘密主義と執念

 「お父さんのお仕事ってどんな仕事なの?」と幼気(いたいけ)な表情で子どもから尋ねられても気軽に真実を語ることができない、それが「公安」という冠詞がついた公職を生業としている人たちの実態です。職務に関する事象はことごとくが秘密扱いされ、任務遂行のために普段から血のにじむような苦労を強いられ、時には自らの健康を害し、退職や職種替えを余儀なくされることも、あるいは家族を顧みることもできずに家庭が崩壊してしまうという例も枚挙にいとまがありません。しかし、そうした影で生きる人たちの努力が報われることがあります。事件発生以来、何十年も逃亡を続けていた凶悪犯の居所をつかみ、検挙に至るというような大きな成果を上げることもあるのです。

 中核派(正式名「革命的共産主義者同盟全国委員会」)の活動家で、1971(昭和46)年に東京・渋谷で起きたデモ(渋谷暴動事件)の最中に警察官を殺害し、その後46年もの長きにわたって逃亡し、姿をくらませていた大坂正明容疑者とみられる男が広島県のアパートで逮捕されました。

 同じ公安でも、法務省外局の「公安調査庁」は強制捜査権を持たず、暴力的団体に対する調査を行い、その結果、当該団体の解散等の行政処分を同じく法務省外局の公安審査委員会に請求することを主要任務としています。一方、強制捜査権を持つ「公安警察」は、公安事件に関わった容疑者を逮捕するのが仕事です。とはいっても、他部署の警察官とは異なり、逮捕に行き着くまでにさまざまな隠密活動をとるといわれています。

 その理由は、既に逮捕圏内に置いている容疑者を泳がせ、更なる容疑者の検挙に結びつけ、相手組織を壊滅にまで追い込んでしまおうとするためです。左翼にしても右翼にしても、権力に立ち向かってくるような組織は秘匿性が強く、組織の内情を漏らすような者は裏切り者として厳しく糾弾され、命を奪われることもあります。彼らにとって天敵ともいえる公安の恐ろしさを熟知している大多数の組織幹部は、常に組織防衛こそが最重要の課題と考えているようです。

 公安警察は、捜査対象のことごとくがこのような性格の組織ですから、対象組織の構成員の用心深さ、秘匿性を更に上回るような徹底的な秘密主義と執拗さを貫かざるを得ないのでしょう。捜査の標的になっていることが相手組織に察知されてしまうと、長年積み重ねてきた捜査官の努力が無駄になってしまうばかりか、これまでに苦労して集めた情報、リソースも一瞬にして灰燼(かいじん)に帰してしまう恐れがあるのです。

 

もう一つの大きな逮捕事例

 公安警察の大手柄として人口に膾炙されている事例として、1970年代初めに日本を出国し、パレスチナやレバノンで現地の過激組織と提携し、日本赤軍を結成したとされる女性最高責任者、重信房子受刑者(懲役20年の刑を受け現在服役中)の逮捕(2000年11月)が挙げられます。日本出国以来、30年ほどを海外での活動に身をやつしていた重信容疑者は偽造旅券を使用し、密かに日本に帰国していました。しかし逮捕した公安警察も、当初は同容疑者が帰国していたことを知らなかったといわれています。

 一部マスコミによって、彼女の逮捕劇にまつわる裏話が紹介されていましたが、その裏話の真偽は別にして、逮捕に至るまでの間、考え得るおびただしい数の対象者を徹底的に調べ上げ、さらにその中から怪しいと思われる者の動向監視・内偵を行って、わずかな可能性の中から重信容疑者に結びつく情報にたどり着き、逮捕することができたのだと考えられます。この快挙を可能にした捜査官の嗅覚、勘所はまさに経験に裏打ちされ、研ぎすまされた動物的なもので、こうした一連の作業の特殊性、過酷さは一般の人にはとても理解しにくいものではないでしょうか。

 長時間にわたる尾行や定点監視活動は、単に肉体的に疲労するだけでなく、一瞬たりとも気を抜くことのできないという緊張感と、相手に気付かれてしまうのではないかという不安感で精神的にも激しく消耗します。公安警察の捜査官が、上述のように普通の市民としての安住の生活空間が得られにくいのは、こうした極限の緊張を伴う激務のゆえなのでしょう。

 しかし、相手も知恵を絞って公安の追及を逃れようとしていますので、解決できていない事件もあります。1995(平成7)年3月に発生した国松警察庁長官狙撃事件の容疑者は逮捕されないままに時効を迎えてしまいました。自組織のトップを暗殺しようとした重大事件だけに、犯人検挙を目指す警察の意気込みは大変なものであったと思われますが、相手が公安警察の上手を行っていたのか、そのほかに何らかの理由があったのかは分かりませんが、この事件の捜査を担当した警視庁公安部の捜査官は、まさに組織の体面を懸けた捜査を展開したに違いありません。

 

どんな組織で職務なの?

 公安警察の組織は、公開情報によれば、最大組織の警視庁公安部を始め、各道府県警、所轄署に至るまで、規模こそ異なれ、同様の職務を担当する機能が備えられています。その職務とは、極左暴力集団や右翼団体の捜査(公安課、係)と、外国政府による対日工作等を阻止するための捜査(外事課・係)、国際テロ関連の捜査などです。

 公安警察には、容疑者の逮捕を最重要課題とする法執行機関という側面と、対象の組織を最終的には壊滅に追い込むことを目標に掲げ、その関連情報の入手に努めるという、いわゆる情報機関としての性格も持っていると考えられます。警察の情報収集活動はあくまで捜査のためという枠組みの中でのことといわれますが、最大の組織力を擁する警察の情報収集能力には定評があるといわれています。

 しかし、一般論で言えば、米国や欧州などの先進国では、法執行機関(強制捜査権を持つ)の機能と、情報機関としての機能を明確に分けていますので、日本の例はむしろ特殊な部類に属するかもしれません。

 公安警察の職務の中でも、主に外事課が担当する敵対国によるスパイ活動を阻止するための捜査は注目に値します。 スパイ摘発という一見スリルのある捜査は、一般人の目にはまるで映画や小説のように映るかもしれませんが、スパイの証拠をつかみ、関係者の逮捕にまで漕ぎつけるためには、長期にわたって内偵を続け、他人には口外できない苦しい戦いがあるはずです。

 すなわち、相手の外国人は、それぞれの母国で長年諜報員としての訓練を受けたプロ中のプロだからです。公安調査庁にも防諜(カウンター・インテリジェンス)を行う部署は存在しますが、マンパワーの問題から、公安警察のように人員を動員して外国のスパイ活動をあぶりだすという作業には自ずと限界があります。

 スパイ天国と言われて久しい我が国ですが、現在国会で審議されている組織犯罪処罰法改正案(共謀罪の成立要件を改め「テロ等準備罪」を新設する)を含め、スパイやテロを取り締まる法律をいつまでも持てないのであれば、危険な敵対国やテロリストにとってこれほど安心して活動できる国はほかにないでしょう。公安警察の負担軽減も少しは考える時期にきているのではないでしょうか。

--------------------------------------
■安部川元伸(あべかわ・もとのぶ) 神奈川県出身。75年上智大学卒業後、76年に公安調査庁に入庁。本庁勤務時代は、主に国際渉外業務と国際テロを担当し、9.11米国同時多発テロ、北海道洞爺湖サミットの情報収集・分析業務で陣頭指揮を執った。07年から国際調査企画官、公安調査管理官、調査第二部第二課長、東北公安調査局長を歴任し、13年3月定年退職。16年から日本大学教授。著書「国際テロリズム101問」(立花書房)、同改訂、同第二版、「国際テロリズムハンドブック」(立花書房)、「国際テロリズム その戦術と実態から抑止まで」(原書房)

 

 

テロ等準備罪に反対する者にまともな人は誰もいません

 

共産党も公安の監視対象団体です

 

お読み頂き有難うございます。

最後に、こちらをポチッ とお願い申し上げます。