*東京芸術座アトリエ公演NO.40 内藤裕子作・演出 演劇集団円、演劇ユニットgreen flowers(グリフラ)の劇作家・演出家である内藤裕子 (1,2,3,4,5,6,7)が、今回はじめて東京芸術座に新作を書き下ろし、演出する。ある地方都市の消防署の一夜を描く95分だ。地元消防署にも取材を行った由。
登場するのは消防の「指令」である第一中隊長と、救命の「指令」である救命士・隊長を中心とした消防士、救命士が男女合わせて9名。加えて「消防団員」であるやや高齢の女性に、元消防団員で、軽い認知症で徘徊していたところを旧知の救命士に保護された男性の総勢11名である。
パンフレットには、消防士の消防総監を頂点とする消防士の階級が、それぞれの「階級章」とともに掲載されていたり、消防署の交替制勤務の一日の流れや、救急救命士になるために必要な学校、試験、劇中の用語説明なども記されているので、これからご覧になる方は、上演前にざっと目を通しておかれるとよいだろう。
非常に情報量の多い芝居であり、しかも聞きなれない専門、業界用語が次々に発語されるので、人物の背景や相関関係、何について話しているのかなどをじゅうぶん理解できていない面があるかもしれない。だが一口に消防士といっても空き時間は常にトレーニングを怠らない体育会系もいれば、報告書の作成や講習会の段取りなどの事務系に燃えるものもある。少ないとはいえ、若い女性もともに働く現場であるから、そこには恋模様もあり、職種のちがいはあれ、管理職と部下、事務方の地味なプライド、結婚後も仕事を続けるかどうかなど、見る人それぞれに共感できるところがあるだろう。
後半、交通事故による怪我人の救出をめぐって、消防士と救命士が大激論を交わす場面は、この舞台の白眉である。ひとつの事故、ひとりの怪我人について、何を重要と意識するか。基本的に消防士と救命士は連携して救命を行うのであるが、ときに互いの認識が食い違い、衝突し、場合によっては人命救助に支障をもたらすこともある。どちらも仕事にプライドを持ちながら、苦悩も抱えている。日ごろの不満が爆発したり、かつて父親を救命士に助けてもらえなかった過去に苦しむ者もあり、今夜一晩の議論では到底結論まで達しない重苦しい内容でもあるのだが、それでもつぎつぎに救命の指令は入り、おなかも空けば、休日の田植えや梨の花の受粉作業も大切だ。待ったなしの仕事に待ったなしの日常はつらいが、それゆえに救われるところもある。
登場人物の描き分けに、東京芸術座の俳優諸氏が老若男女、いずれもぴたりの配役で、皆生き生きして気持ちの良い舞台である。消防署の業務について、相当細かい点まで取材を行ったことが想像され、俳優は自分のことばとして発するために大変な苦労があったのではなかろうか。内藤裕子は今回がはじめての外部劇団への書き下ろしとのことだが、よいコミュニケーションをとり、しっかりと稽古が行われたことが伝わる。劇団、内藤ともに、とてもよい仕事をされた。
初めまして。東京芸術座制作の岡田と申します。
この度はご観劇、そして詳細なご感想をありがとうございました。(個人的にはリーフレットの作成に関わりましたので、言及いただけて非常に嬉しいです。)
ぜひ役者やこれからご観劇の方にもお伝えできればと思っているのですが、東京芸術座のフェイスブックからこちらのページへリンクさせて頂くことは可能でしょうか。ご検討をどうぞよろしくお願いいたします。
東京芸術座
制作部 岡田なつみ
岡田なつみさま
はじめまして、因幡屋通信/因幡屋ぶろぐの宮本と申します。こちらこそ拙稿お読みくださいまて、心より感謝いたします。facebookへのリンク、どうぞご自由にお使いくださいませ。お役に立てれば嬉しいです。
今夜はあいにくの雨ですが、ひとりでも多くの方がアトリエを訪れますよう。
さっそくのご返信ありがとうございます!
https://www.facebook.com/tokyogeijutsuza
上記にてリンクをさせていただきました。
実は先ほどこちらのブログをご覧になったという方からのお申し込みがあり、お恥ずかしながらそれがきっかけでご感想を拝見させていただきました。
お気遣い誠にありがとうございます。是非また機会がございましたらお立ち寄りくださませ。
東京芸術座
制作部 岡田なつみ
初めて出会う方々との芝居作りは、
大変なことだらけでしたが、
楽しんでいただけて、本当に報われた気持ちです!
俳優陣が、生き生きとする事を
目指して稽古に励んだので
そのような舞台になったと言っていただけた事が何よりも嬉しいです。
今年はあと2本の芝居が控えていますが
自分らしく頑張ります!
岡田なつみさま
貴劇団のfacebook拝見いたしました。
リンクしていただき、ありがとうございます。
満席の回も続々とのこと、何だかわたくしも嬉しいです。
よき千穐楽をお迎えになりますよう、お祈り申し上げます。これからも時々ブログにお越しくださいませ。
このたびはまことにありがとうございました。
コメントありがとうございます。
初めて出会う座組での作・演出は、ほんとうに大変ではなかったかとお察しいたします。でも皆さんがこの作品を大切にしていらっしゃることが客席に伝わってきて、嬉しくなりました。千穐楽まで後半も多くの方がアトリエを訪れますよう、また内藤さんのますますのご活躍をお祈りしております。