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via Perth Standlick's instagram

世界中のQSイベントに参戦しながらワールドツアー入りを目指すコンテストサーファーは数多く存在します。しかし、ワールドツアー入りは狭き門。

ごく一部を除き、大半のサーファーがワールドツアー入りの夢を諦める時期が訪れます。かつてはトップコンペティターであったオーストラリア出身のパース・スタンドリック「Perth Standlick」(27歳)もそんな一人。

今回の記事は、ワールドツアー入りを諦めたパース・スタンドリックの現在のキャリア、サーフィンライフ、プロサーファーとしてピーク時の年収などを語ったインタビュー内容をお届けします。


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オーストラリアのボンダイ出身であるパース・スタンドリック。2012年にはQSランク41位をマーク。

当時と現在ではツアー入りの条件が異なり、2012年のパースは9位差でCT入りを逃したので、現在で言うところのQSランク19位といった所。つまり、コンテスト界のエリートサーファーでした。

そんなパースがツアー入りを目指すQS生活を離れた理由について、このように語っています。

2015~2016年頃からサーフィンを楽しめなくなったんだ。お金をはたいて世界のクソ波でコンテスト出場していると、がむしゃらにサーフィンを楽しんでいた頃の喜びが失われて。

ある時、コンテストを終えてホームに戻り、アワーズ(レッドブルイベント@ケープフィアの会場)で波を当てたんだけど、その時がターニングポイントになったね。

これこそがサーフィンで(ホームのアワーズでサーフすること)、コンテスト生活はサーフィンじゃないって。

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Photo: Tracks

現在はボンダイにあるレストラン「Porch and Parlour」でシェフとしてほぼフルタイムで働きながら、出場したいと思えるQSイベントのみ参加したり、アワーズでのフリーセッションを楽しんでいるというパース。

シェフになったきっかけは、周りの友達にシェフが数人いて、その友達などと一緒に料理をする機会が多かったため。

シェフの友達の一人から、一週間ほど下ごしらえの手伝いを頼まれたんだ。結局5カ月ほど修行みたいな形で下ごしらえの仕事をして、シェフになったってわけ。

今は週に3~7日ほどレストランで働いていて、波が良ければサーフィンできるフレキシブルな環境を与えてもらっているよ。

メインの仕事はシェフとなったパースですが、元トップコンペティターであり、地元で今年出場したQS1,000イベントでは3位となったり、実力に衰えはありません。

また、今年は大好きなアワーズでのレッドブルイベントに招待されているほどビッグウェイブにも強いサーファー。ということは、ビッグウェイブサーファーの道は!?

狂気の世界に進むことはないだろうね。ビッグウェイブは好きだけど、あくまでも自分のペースで安全面を計算しつつのチャージで、仕事になったら別物になるわけだし。

もしも大金を稼げるなら考えてもいいけど、プロのビッグウェイブサーファーになったら恐ろしいだけで楽しめないだろうな。

現在のスポンサーはサーフボードブランド「DHD」で、サーフボードの提供を受けているとのこと。今回のインタビューではまた、現役時代のピーク収入まで開けっぴろげに語っています。

スポンサー料とコンテストの賞金を合わせて90,000ドルほどだったそうです。おそらく過去最高ランクとなった2012年の翌年あたりだと思うので、当時のレートでおおまかに換算すると日本円で840万円弱ほどでしょう。

ですが、QSイベントに出場するために世界を飛び回るので、手元に残るのはごく僅かというのが現状だったそうです。

プロサーファーにシェフと全く異なるキャリアを歩んでいるパースですが、どちらの仕事も学びながら成長する点は似通っていると言います。唯一の違いは、毎週給与をもらえるかどうかという点だけで、その点が精神的に大きいそうですが(笑)。

プロサーファーとして夢を追い求めるか、確実に給与をもらえる堅実な道を選ぶか、どちらが正しい道なのか答えはありません。一度きりの人生なので、比較することはできませんし。

ただ、プロサーファーとしての道を離れても、なおサーフィンを追求しようとするパースのインタビュー記事を読むと、サーフィンの懐の広さを感じるのは私だけではないでしょう。

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参照記事:「WHAT HAPPENS WHEN THE WCT DREAM IS OVER?