櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

安藤忠雄展にて

2017-12-15 | アート・音楽・その他



安藤忠雄展がもうすぐ終わりですが、見応えがありました。

展示の多くは模型や図面や文字資料ですが、やはり初期から現在までを鳥瞰的に知る経験になり、安藤氏の一貫したそして膨大な仕事の軌跡から、すごく力強いメッセージを感じました。

たとえば絵本美術館は非公開ながらぜひ一度たずねてみたいですが、写真を見ていても子どもたちがうらやましくなるような建物ですし、以前ここに書いた小海町高原美術館 にしても、僕には安藤氏の建築は非常に落ち着いた、居心地への配慮を感じます。コンクリート建築では自由な造形性や素材感を感じることは多いけれど、安藤氏の建築の内部では他にはあまり感じたことがない温かみと自然な柔らかさを感じるのです。コンクリートは元が柔らかいから設計者や施工者の人柄を反映するのでしょうか、本当に様々な表情をしています。しかし安藤氏のように、たとえ大きな建物でさえコンクリートが暖かく人肌のように感じる建築は珍しいと思います。
住まいを沢山つくられて、暮らしまわりのことや家族のことに、しっかり向き合ってこられたからでしょうか。
根にはご自身のとても強い意見があるのだとは思うのですが、それが主張されなくて、こちらには優しさのほうがより強く届くように感じるのです。

展覧会のなかで特別な経験を与えてもらえたのは、やはり茨木春日丘教会いわゆる「光の教会」の実物大の再現です。

大阪に用があったとき見学を申入れたことがありますが何ケ月もの順番待ちでした。関西近くでもなければ大変ですが、それが見れますし内部に入って時を過ごすことができます。

インスタレーションと解説はありますが、それは完全に建築です。感動しました。
そして今回の展示では当初の構想のごとく、正面壁に開かれた十字架のスリットにはガラスがはめ込まれていません。だから、光だけでなくて、風が入ってくるのです。刻一刻と変容する「光と風」を肌で感じながら座っていると、わたしたちと時の流れが一体であることを改めて思いますし、大切になります。
新しい光の教会が、この六本木に出現したと僕は思い込んでしまいました。なんとか永久展示にならないものなのか、と思います。
晴れの日は特におすすめです。

展示は乃木坂の新国立美術館で18日まで。

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