またやぶけの夕焼け:高野秀行著のレビューです。
◆「ただいまー」「行って来ますー」。昔の小学生は遊びに忙しかった
高野秀行さんと言えば、早稲田の探検部在籍していたころから、
破天荒な冒険の様子を綴った作品が有名で、自分が絶対出来ないであろう
旅に魅せられることが多い。
本書はそんな好奇心旺盛の高橋さんの子供時代が存分に楽しめる内容。
高野さんの冒険好きのルーツはここからかぁーと納得する
1冊でもあります。
小学生の男子の遊びって、学校では球技などが多かったと思うのですが、
じゃー放課後、彼らはどんなことに夢中になっていたのか?と考えると、
意外に謎だなぁーと。私の場合、男兄弟が居ないというのもあるから
なんですけどね。
で、そんな謎が大きく解けちゃったのがこの本。
高野さんと同年代の男性は、本書を読んだらきっと相当
入り込めるのではないかな?と思います。
70年代後半の八王子が舞台。
当時は八王子もマイナス10℃の日があったという文面から、
時代とともに変化した気候にもちょっと驚いた。
温暖化進んでいますよねぇ。
自然豊かな土地で、子供たちは様々な遊びを開拓してゆく。
朝一で行くクワガタ取り、危険を含む探検、幽霊、野球・
プロレス、そして秘密基地。
ランドセルを家に置いてその足ですぐ遊びに行く小学生。
昔はいっぱい居ましたねぇ。
高学年に混じって、低学年が一緒に遊んでいる風景もどこか懐かしい。
カッチャンというお兄さんを団長にし、5人はいつも新しい遊びに
真剣に取り組む。
毎日発見の連続で、明日が待ち遠しい生活。
これじゃー1日何時間あっても足りないわけだ。
「ただいまー」「いってきまーす」がセットになった男の子達の放課後。
こんなにも遊びに真剣になれる時期は一生にほんのわずかなわけで、
ラストは間もなく中学に上がってしまうカッチャンに寂しさを
感じている主人公。
でも、私たちは知っている。
高野さんの冒険はまだまだ続いていることを。
子供時代の冒険が本格的になった現在だって、きっと高野さんは同じ
笑顔で新しい場所へ向かっていることだろう。
さて、自分の子供時代遊んでいたあの近辺は
いまどうなっているのだろう?
そんなことも無性に気なってきちゃいました!
すごく遠く感じた場所も、大人の足で歩くと案外近かった…
そんな発見をするのだろうなぁ~きっと。