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【レビュー】筆子 その愛―世界で一番美しい涙の物語: 山田火砂子、車取ウキヨ

 

 

筆子 その愛―世界で一番美しい涙の物語:山田火砂子、車取ウキヨ著のレビューです。 

筆子 その愛―世界で一番美しい涙の物語

筆子 その愛―世界で一番美しい涙の物語

 

 

石井筆子さんの存在をもっと世の中へ

 

 

津田梅子の名は有名だが、その親友であった石井筆子の存在はあまり知られていない。

 華族の令嬢として華麗な少女期を過ごしていた筆子。日本初の海外女子留学生でもあり、才色兼備。

 

帰国後は華やかな鹿鳴館で、得意の語学を操り注目を浴びていた。何不自由なく順調な人生かと思いきや、はじめの結婚で生まれた3人の娘たちは障害を抱えていた。そして、夫も若くして死別。

 

この時代、知的障害者を授かったは親は裕福な家では外部からひた隠しにし、貧しい家になると、親が働いている間に勝手に動き回れないようにひもで繋ぐ、畑に深い穴を掘って入れておく、酷いものになると足の指を切って歩けなくするなどの処置取られていたなど、およそ人間の扱いをなされていなかったいう。

 

そんな時代であった中、筆子の苦悩を心から援助したのは梅子であり、また筆子と娘たちに生涯仕えた女中の存在がある。この女中さんの腹の括り方がもうひとつの見どころであると私は思う。まるで武士のような女中さん。筆子もそうだけど、この女中さんのプロ魂にも感動させられる場面が多かったです。この女中が、この話の合間合間に登場し、当時の筆子の生活状況を私達に語りかけてくれます。

 

 

 

後半は知的障害児の養護施設・滝乃川学園の創設者、石井亮一と再婚。亮一とともに知的障害者の福祉活動に生涯を捧げるのです。

 

とにかく、時代による考え方の理不尽さなど、いくつもの困難に出会うのだが、筆子という女性は、自らの手で道を切り開いて行く。

 

このような素晴らしい人物が、現在の私達の土台を築きあげてくれたんだと強く感じさせられたとともに、この本のおかげで筆子という素晴らしい人物の存在を知れたことに改めて感謝したくなった。

 

「世界で一番美しい涙の物語」

…本のサブタイトルの意味は最後に用意されている。