こんばんは。

僕の好きな女優さんのお一人に、佐久間良子さんがいらっしゃいます。

最近、佐久間さん主演の面白い作品を鑑賞できたので、今日はそのお話と「女優・佐久間良子」さんについて書いてみたいと思います。

佐久間良子さんは、東京・練馬の裕福なお家のお生まれです。お父様は地元でも有数の大地主の次男で軍医。戦後、製薬会社に勤務し、後に役員になられました。お母様は理科教室などに展示する人体模型を日本で初めて開発した製作所のご長女。佐久間さんは子供の頃、500坪ほどあった実家の敷地からほとんど外に出たことがなく、何不自由なくお育ちになった、文字通りの「箱入り娘」だったそうです。超お嬢様だったんですね〜。

川村高等学校在学中に、学校の先輩で東映の女優・小宮光江さんに誘われ、東映撮影所開催の運動会に出かけたところ、東映の幹部の目に止まり、スカウトされたのです。

東映の幹部は佐久間さんの自宅まで押しかけ「娘さんを東映のスターとして育てさせてください」とご両親を懸命に説得したそうですが、佐久間家の親族会議では「絶対反対!」。当時は芸能界なんて以ての外!という時代だったのでしょうね。お嬢様ですからね〜。

そのご両親と東映の幹部のやり取りを聞いていた佐久間さんは「埒があかない」と思ったのでしょうかこう宣言します。

「私きめました。1年かぎりでもいいので女優に挑戦します」と(笑)。

この時のこの一言が日本を代表する女優のお一人「佐久間良子」を誕生させたのです。自分の運命を自分から掴み取られた瞬間です。

第4期・東映ニューフェイスのオーディションで水着審査を拒否されたのですが、補欠合格し、東映へ入社されます。当然ですよね。東映から頭を下げてきたのですものね(笑)。

同期には室田日出男さん・曽根晴美さん・花園ひろみさん・後に作詞家になられた山口洋子さん・山城新伍さんらがいらっしゃいます。

1958年、映画『美しき姉妹の物語・悶える早春』の端役で映画デビューされると、次々と当時の東映の主役スター俳優の相手役に抜擢され、東京東映撮影所期待のホープ女優として頭角を現します。

1960年以降は、後援会も発足し、田坂具隆さん、 マキノ雅弘さん、山本薩夫さん、今井正さんなど、巨匠、名匠と呼ばれる監督たちに起用され、着実に東映の看板女優としての地位を築かれます。

1963年、映画『人生劇場 飛車角』で鶴田浩二さん演ずる飛車角の情婦という初の汚れ役が話題になり、続いて、『五番町夕霧楼』(サンケイ新聞社 シルバースター主演女優賞)、『越後つついし親不知』、『湖の琴』(1966年 NHK主演女優賞、京都市民映画祭賞)など、現在でも名作との評価の高い作品に次々と出演され、演技力も認められ、日本映画を代表する女優のお一人としての評価を不動のものとされたのです。

『五番町夕霧楼』は金閣寺放火事件を題材とした水上勉さんの同名小説を基に、田坂具隆監督が、京都・五番町の遊郭に売られた夕子という一人の女性をあくまでも美しく、哀しく映像化された名作です。貧しさゆえに男たちのおもちゃとして生きなければいけなかった薄幸という言葉がビッタリな夕子を、佐久間良子さんが熱演され、演技派として認められた代表作です。僕も大好きな作品なんですよ〜。

『人生劇場 飛車角』で、飛車角の情婦おとよに佐久間良子さんを抜擢し、東映の任侠映画路線の扉を開いた、当時の東映東京撮影所所長・岡田茂さん(後、同社社長)が『五番町夕霧楼』もプロデュースされたそうなのですが、岡田さんは本作で佐久間さん演じる夕子が遊郭に売られて、西陣織元の旦那・甚造(千秋実さん)に初めて抱かれるシーンを売り物にしようと考えていたんだそうです!

岡田さんらしいですが(笑)東映ニューフェイスの水着審査を拒否された佐久間さんがそうそう簡単に裸になるはずないですよね〜(笑)。女優をなんと思ってるんでしょうね(笑)。

「佐久間を裸にして欲しい」と岡田さんから頼まれた田坂具隆監督は悩みますが、監督は佐久間さんを脱がすことなく、当時の映倫が問題視したあの名シーンを撮られたのです。いいものを作るためには戦わなければいけないのです!(笑)。

映倫はカットを要求しますが監督は抵抗されます。あのシーンがあるらこそ、『五番町夕霧楼』という作品のテーマである、女性の性の悲しさが表現されているのだと思います。この話題が格好の宣伝となり映画は大ヒットとなります。

この作品のヒットを皮切りに岡田茂プロデューサーは、女性のエロティシズムは商売になると気づかれ、1960年代後半にはメジャー映画初のピンク映画「東映ポルノ」参入に至るのです。

佐久間さんが女優として脂が乗ってこられたこの時期、東映は鶴田浩二さん、高倉健さん、藤純子さんらをメインにした男性路線の任侠シリーズとエロティシズム要素を含んだ女性路線に舵を大きく切った時代です。その極端すぎる路線変更が、佐久間さんを始め、三田佳子さんや大原麗子さん、小川知子さん、多岐川裕美さんといった当時の東映出身の女優さんたちがテレビに活躍の場を移すきっかけになったのです。

日本映画界は1960年に日本映画史上で最高製作本数となる547本を製作し、ピークを迎えますが、この年以降、映画産業に翳りが見え隠れするようになり、観客動員数はこれより急激に下降し始めるのです。

1953年に登場したテレビの急速な普及のためなんですね〜。テレビは1959年の皇太子のご成婚をきっかけに一般に広く浸透し、1964年の東京オリンピックでその勢いは加速し、一般家庭に普及したのです。

僕が今回、このblogで紹介したい作品はそんな時期に佐久間良子さん主演で製作された映画です。

タイトルは『わが闘争(1968年)』です。

佐久間良子さんが初めて東映以外の映画会社(松竹)に出演された作品です。
《スタッフ》
監督:中村登さん 脚本:広瀬襄さん 原作:堤玲子さん 撮影:竹村博さん 美術:横山豊さん 音楽:八木正生さん
《キャスト》
佐久間良子さん 中山仁さん 入川保則さん 吉田義夫さん 岩本多代さん 石坂浩二さん 加賀まり子さん 香山美子さん 夏八木勲さん 吉田日出子さん 川津祐介さん

原作者の堤 玲子さんは、作家・詩人です。 岡山県の貧家に生まれ、1946年、就実高等女学校卒後、自動車組合に就職、『近代詩人』同人となられます。51年、駅売店店員となり、54年、結婚。57年、タムタム芸術集団(のち「総合芸術」)同人となり編集長・北田玲一郎さんのもとで詩を書かかれ、67年、貧困と性にまみれた自伝的小説『わが闘争』を刊行し、ベストセラーになられた方だそうです。

◎こんなストーリーです。
岡山に住む堤家の家族は、祖父の犯した過失(過去に一夜を共にした娼婦から移された梅毒)から、呪われた血の遺伝と貧困に苦しめられていました。知的障害者の姉・秋乃(岩本多代さん)を慕っていた次女の玲子(佐久間良子さん)は、姉が男におもちゃにされ何度も実家に帰ってきた姿を見て、子供心にも結婚と子供を産むことだけはしまいいと固く誓いました。

戦後、怜子は自ら“乱れ星のお怜”と名乗り、いっぱしの不良少女になっていました。彼女は三女の時子(香山美子さん)と共にパンパンの振りをしながら、米兵から金や物資を巻き上げていました。ところが、時子は玲子に処女を失ったことを告げ、商売女として自立していく道を選ぶことを言い、家族から離れていきます。

玲子は本物の売春婦たちからヤキを入れられそうになったところを、タケ(中山仁さん)という男に助けられます。タケは玲子の助けを借りて、敵対グループの店で女給をしていた妹の加代(吉田日出子さん)を連れ戻し、タケと玲子の仲は深まっていきます。ところが、タケは人を刺して警察に捕まり、加代も玲子の不注意から男たちに凌辱されてしまいます。責任を感じた玲子は加代と一緒にあの世に行ってしまおうと、道の真ん中で車に轢かれようとしますが、人情味の厚いタクシー運転手(長門勇さん)によって、もう一度人生をやり直す決意をします。

やがて、玲子は駅の売店で働き出します。時折、中原中也の詩を口ずさむ玲子は、同人誌の集まりに出席して、自分の作った作品を発表していました。 ある日、そこにいた吉岡(川津祐介さん)と飲み歩いた末に、アパートに連れ込まれ、無理矢理処女を奪われてしまいます。翌日、何事もなかったかのように玲子の売店に顔を見せた吉岡に、彼女は殺意を抱きます。玲子は近づいてきた列車に、吉岡を突き飛ばそうとしますが、偶然その場にいた印刷工の渋川(入川保則さん)に止められます。

渋川は不幸な生い立ちを苦にして、見知らぬ土地で自殺しようとしていました。玲子は渋川につき合い、一緒に心中をしようとしますが、死ぬ前に長年の夢だった美少年の童貞を頂こうとするのです。玲子は街中を歩き回り、ようやく喫茶店で学生を捕まえ、トラックの荷台で夢を叶えます。宿に戻った玲子は渋川と大量の睡眠薬を飲み、一緒の床で横になりますが、翌朝二人は目覚め結ばれます。

やがて二人は結婚し、玲子のお腹に小さな命が宿ります。ところが、時子が幼い娘に客引きさせている姿を目の当たりにし、彼女自身のもつ遺伝の恐怖に脅え始めます。渋川は自分の子供を強く望んでいましたが、玲子は堕胎してしまいます。

一方、堤家の末の妹・美也(加賀まり子さん)は美しく成長し、キャバレーのホステスをしていました。彼女に熱を上げる山本(石坂浩二さん)は、会社の金を横領し、二人で豪遊をします。しかし、美也は本気で山本のことを好きになれず、僅かな金を残して無断で帰ってしまいます。美也は自分の働いていたキャバレーに戻ろうとしますが、店は客が横領事件を起こしたきっかけとなる彼女を拒否。拒否された美也はキャバレーで大暴れをし、行く場所がなくなり、姉の玲子のアパートに転がり込みます。

玲子の留守中、美也は子供を望む渋川に、私と子供を作らない?と誘惑します。その頃、美也に置いてきぼりにされた山本は、玲子のいる売店を訪ねていました。玲子は山本を自分たちのアパートに案内するのですが、そこには、美也と渋川の抱き合っている姿がありました。渋川は自分の子供欲しさのあまり、美也を抱いたのです。山本はそんな渋川を衝動的に刺し殺してしまいます。それから間もなく、怜子と美也は、渋川が印刷してくれた怜子の詩集「わが闘争」を彼の墓前にそなえます。その時、玲子はまた渋川の子供を身ごもっていることに気づきます。一度は堕胎をした玲子でしたが、今度はどんなことがあっても産み育てると渋川の墓前で誓うのです…。

この作品は、佐久間良子さんが出演された映画作品のリストを見ていて、長い間、気になっていたタイトルだったのです。名画座などで佐久間さん主演映画の特集上映があると必ず上映リストに並んでいる作品でしたし、監督は僕の大好きな『夜の片鱗』『古都』の中村登監督だし、ストーリーを読むと絶対興味惹かれますよね〜。佐久間さんが童貞狩りですってよ〜(笑)。

なかなか長年、観ることが叶わなかったのですが、渋谷にあるシネマヴェーラで、7/9(土)~7/29(金)まで開催されていた《なにが彼女をそうさせたか ー女性旧作邦画ファンによる女性映画セレクションー》という特集上映の1本としてして上映されたのです。

この作品が紹介される時、必ず「“驚愕の問題作、カルト映画好き必見”」と書いてあります。僕の中でカルト映画といえば、1975年のイギリス映画『ロッキー・ホラー・ショー』や1972年のアメリカ映画『ピンク・フラミンゴ』や1969年、石井輝男監督の『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』などが思い浮かぶのですが、文芸映画の名匠、中村登監督、佐久間良子さん主演でカルト映画⁈と観るまではどんな作品なのかな〜と思っていましたが、観終わって僕はこの作品は稀に見る傑作じゃないかっ〜と叫びました!(笑)。

僕は平日の夜、最終回に観に行きましたが、客席は9割以上埋まっていて大盛況でした。差別用語と呼ばれるものが頻繁に登場するのでソフト化されていないのだと思いますし、こういった特集上映の時にしか観れないので「カルト映画」などと呼ばれているのかもしれません。

現代人の目からすると、この物語の登場人物は皆どこかエキセントリックで普通ではないように感じます。中村監督も意図してそういった演出をされているのかもしれませんが、現代の僕たちからすれば笑ってしまうような行動でも、この物語で描かれた時代に実際に生きた人々にとっては当たり前のことだったのではないかと思いました。

祖父が娼婦と一夜を共にしたことから梅毒を移され、巡り巡って孫の代に隔世遺伝となって表れます。長女の秋乃(岩本多代さん)は知的障害。長男の仙一(夏八木勲さん)はすぐ頭に血がのぼる感化院上がり、三女の時子(香山美子さん)は淫蕩な血を受け継ぎ娼婦となって足の不自由な私生児を産み、末の妹の美也(加賀まりこさん)はキャバレー勤めをしてボンボンをたらしこんでいます。こうした家庭環境で育った玲子(佐久間良子さん)が、近所からも厄介者と思われている、自分たち家族の血の問題をどう克服するのか、どうしたら世間に対して私という人間の真実を認めてもらえるのか?というのがこの物語の主題となっているように感じました。

僕はこの原作が発表された当時はまだ生まれていませんので、この作品が世の中にどういう衝撃をもって受け取られたかということがあまりわかってはいませんでしたが、堤玲子さんが「わが闘争」を発表された1967年当時は、終戦直後にパンパンだったとう女性はまだたくさんいたでしょうし、赤線や遊郭で働いていた女性だってたくさんいたと思います。梅毒のような性行為により発生する感染症にかかり、命を落とす人も身近にいた時代だったと思いますし、この物語に共感された女性がたくさんいたんだと思います。生きるためにはなりふり構わず、人の目など気にせず、強くたくましくならざるをえない、そんな女性がたくさんいたのではないでしょうか。

山口百恵さん主演のドラマ「赤い絆」の左幸子さんも若い頃、赤線で娼婦をしていたという過去を隠しているという設定でしたよね。

今では梅毒は薬で治る病気ですが、未だに無くならず年々、感染者が増えている病気です。乱交、売春、コンドーム不使用、危険な性行為に起因して起こりますから気をつけてくださいね。症状が消えても菌は血液の中に残ってしまいますから、ほっとくと取り返しがつかなくなりますよ〜。

この作品を制作した松竹も1960年頃から「大船調」といわれた松竹お得意のメロドラマ路線が、収益を呼べず、城戸四郎社長が辞任し、松竹ヌーヴェルヴァーグと呼ばれた助監督(大島渚さん、吉田喜重さん、篠田正浩さんなどなど)たちが相次いで監督デビューしましたが興行的には苦戦を強いられます。テレビでは見ることができない、東映のピンク映画や異常性愛路線だけが収益があるという時代でしたので、松竹も何かガツンと世間に大きな衝撃を与えるような大ヒット作品をどうしても欲しいと当時ベストセラーだった堤玲子さんの『わが闘争』の映画化に踏み切ったのかもしれません。

中村登監督も『古都(1963年)』、『紀ノ川(1966年)』、『智恵子抄(1967年)』と映画史に残る文芸映画を撮られた後で、今までとは違った新しいテーマに挑戦してみたいと意欲的に取り組まれたのではないでしょうか。重いテーマだからこそ、逆に漫画チックに登場人物を弾けさせ、ユーモアに満ちた作品に意図して作られたような気がするのです。

当時のプレスシート等を見ると、東映のスター女優、佐久間良子さんを招いて、話題のベストセラー小説を映画化!ととても力の入った売り方をしているし、ポスターのコピーがまた凄いんです!

◎悪遺伝と一握りの体毛と赤き生理…
乱れ星のお怜は死にぞこないだ!
名匠中村登がふりおろす衝撃野新作!

◎轟々たる話題に沸く衝撃小説の映画化!
呪われた家系に居直った女一匹!

◎サギ・淫売・暴行・輪姦・放火・殺人…
容赦なく人間の心をあばく…

どうですか〜。これを読んだら観ずにはいられないでしょ〜(笑)。

中村監督の作品は文芸作品が多いので、良質な職人芸の作家と思われがちですが、『夜の片鱗』という傑作を観てもらうと、それだけじゃない、人間を見つめる目の凄味は並じゃないと思われるはずです。『わが闘争』もそうですが。中村登という監督はただもんじゃないんですよ(笑)。

『わが闘争』が公開された1968年はこんな年です。
◎佐藤栄作首相、国会答弁で非核三原則に触れる。
◎全国でコカ・コーラ商品が発売される。
◎青年漫画雑誌「ビッグコミック」(小学館)創刊。
◎テレビアニメ『巨人の星』(読売テレビ)放送開始。
◎日本初の超高層ビル・霞が関ビルディングが完成。
◎西武百貨店渋谷店開店。
◎ロバート・ケネディ暗殺事件
◎集英社から「週刊少年ジャンプ」が創刊。
◎川端康成さんがノーベル文学賞受賞。
◎フジテレビの歌謡番組『夜のヒットスタジオ』が放送開始

1968年のヒット曲です。
◎帰ってきたヨッパライ(フォーク・クルセダーズ)
◎星影のワルツ(千昌夫)
◎恋の季節(ピンキーとキラーズ)
◎サウンド・オブ・サイレンス(サイモンとガーファンクル)
◎花の首飾り(ザ・タイガース)
◎恋のしずく(伊東ゆかり)
◎伊勢佐木町ブルース(青江三奈)
◎恋はみずいろ(ポール・モーリア)
◎愛の奇跡(ヒデとロザンナ)
◎ゆうべの秘密(小川知子)
◎虹色の湖(中村晃子)
◎天使の誘惑(黛ジュン)
◎花と蝶(森進一)
◎好きになった人(都はるみ)
◎たそがれの銀座(黒沢明とロス・プリモス)
◎ヘイ・ジュード(ビートルズ)

1968年のヒット映画です。
◎怪獣総進撃
◎2001年宇宙の旅
◎猿の惑星
◎黒部の太陽
◎神々の深き欲望

『わが闘争』は1968年のキネマ旬報のベスト10では47作品中19位でした。今井正監督、若尾文子さん、岡田茉莉子さん、田宮二郎さん主演の『不信のとき(21位)』より上位です!

まぁ、どうでもいいことなんですけど(笑)。

なかなか制作された当時の映画雑誌の記事や批評が今では読むことができないので、公開当時のこの作品の評判がどうだったかがわからないのですが、僕は主演の4人の女優の皆さん(岩本多代さん、佐久間良子さん、香山美子さん、加賀まりこさん)がとても美しく撮られているので、松竹さんには是非、いつの日かDVD化していただきたいなと思っています。中村登監督のまだソフト化されていない作品とともにお願いしたいです!

今回の上映も経年劣化でフイルムが全編赤く退色していたので、作品が可哀想です。もう一度、ちゃんとした映像(ニュープリントかデジタルリマスターした)で観ないことには、ちゃんとした評価なんてできませんよ。

以前、池袋の新文芸坐で観た「病院坂の首縊りの家」も赤く退色していたんですよ〜。佐久間さんが可哀想です(泣)。

《映画》
◎五番町夕霧楼 (1963年、東映)
◎越後つついし親不知 (1964年、東映)
◎孤独の賭け(1965年、東映)
◎にっぽん泥棒物語(965年、東映)
◎愛欲(1966年、東映)
◎湖の琴(1966年、東映)
◎大奥㊙︎物語(1967年、東映)
◎雪夫人絵図(東映、1968年)
◎大奥絵巻(1968年、東映)
◎風林火山(1969年、東宝)
◎戦争と人間・第二部 愛と悲しみの山河(1971年、日活)
◎病院坂の首縊りの家( 1979年、東宝)
◎細雪(1983年、東宝)
◎遺産相続(1990年、東映)
《テレビドラマ》
◎おんな太閤記(1981年 NHK大河ドラマ)
◎女たちの忠臣蔵(1979年 TBS)
◎松本清張シリーズ・波の塔(1983年 NHK土曜ドラマ) 
◎花の吉原 雪の旅(1984年 TBS)
◎天璋院篤姫(1985年 テレビ朝日)
◎風の盆恋歌(1986年 フジテレビ)
◎ドナウの旅人(1989年 テレビ朝日)
《舞台》
◎鹿鳴館(演出:石井ふく子 / 1982年帝国劇場)
◎唐人お吉(演出:石井ふく子 / 1983年帝国劇場)第9回菊田一夫演劇大賞受賞
◎鹿鳴館(原作:三島由紀夫 / 2002年 ル テアトル銀座)
◎朱雀家の滅亡(2007年 豊島区立舞台芸術交流センター)
◎姉妹たちの庭で 〜モーニングス・アット・セブン〜(2011年 シアタークリエ)

僕が今まで観て、とても印象に残っている佐久間良子さんの主演作品です。どれも一本ピンと筋の通った強さを持った女性を美しくたおやかに演じてらしたと思います。その中にまた違った魅力の作品が一本加わりました。観てよかったです。

これは僕の勝手な想像なのですが、『極道の妻たち』という大ヒットした東映の人気シリーズがありました。このシリーズは最初、当時のトップ女優たちに毎回、極妻を演じてもらおうと企画が始まったと聞きました。1作目が岩下志麻さん、2作目が十朱幸代さん、3作目が三田佳子さんでした。多分、佐久間良子さんにも極妻の出演依頼があったのじゃないかと僕は思っているのです。東映出身だし、同じ東映出身の三田佳子さんは出演されているのに。でも佐久間さんは何か理由があってお断りになられたのではないのかな〜って。

東映はシリーズ化したかったので一番人気があった岩下志麻さんに続投をお願いしたと聞きました。僕の勝手な想像なので間違いだったらゴメンなさいですが、佐久間さんの『極妻』見たかったな〜と思います。

『わが闘争』面白かったで〜す。


人気ブログランキングへ

五番町夕霧楼 [DVD]/TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

¥3,024
Amazon.co.jp

雪夫人絵図 [DVD]/TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

¥4,725
Amazon.co.jp