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【断末魔の中韓経済】習政権、株介入でデフレ状況“隠蔽” 中国経済ついに袋小路へ(三橋貴明)

2015-08-05 | 中国の歴史・中国情勢
2015.08.04

株価暴落に頭を抱える中国人投資家たち(AP)
★(1)

習近平国家主席率いる中国が、株価の暴落阻止に死に物狂いになっている。実体経済の好転が見られないなか、強引な株価維持策を続けてきたが、市場や投資家の不安が収まらないのだ。国際社会からは「株価操作ではないか」「国際標準と違う」などと批判や疑問も噴出してきた。経済評論家の三橋貴明氏が、袋小路に追い込まれた中国共産党と中国経済に迫った。

中国の代表的な株価指数である上海総合株価指数は、6月12日に5166・35ポイント(終値ベース)のピークをつけ、暴落に転じた。本稿執筆時(7月末)の上海株価指数は3705・77ポイント。すでに28%も値を下げたことになる。

実は、中国株が「バブル崩壊」状態に陥るのは、これが2度目である。1度目は、2007年。同年10月16日に、上海総合株価指数は瞬間風速で6124ポイントをつけ、その後、急落した。08年のリーマン・ショック後には、2000ポイントを下回る状況になったわけだから、半端ない。

その後、中国株はしばらく低迷を続けていたのだが、昨年春から上昇を始め、2000ポイント付近から、わずか1年間で5000ポイントを超えるところまで急騰したのである。最大の理由は、個人投資家の信用買いの爆発的な膨張だ。中国共産党が信用買いを解禁したのは10年だが、その後、しばらく「様子見」をしていたギャンブラーならぬ中国の個人投資家たちが、株式投資のために「借金をする」ことに慣れてきたのが14年という年だったのである。

中国の証券会社は、現物の10倍ものカネを個人投資家に貸し付け、投資を煽った。しかも、15年3月には中国共産党の機関紙である人民日報が、「上海総合指数は年内に4000ポイントを突破する」と報道。07年の株価上昇時もそうだったのだが、中国の人民は「共産党政府が株価下落を認めるはずがない」という、妙な思い込みをしている。

そもそも、政府が株価に介入するなど許されるはずがないが、中国に常識は通じない。共産党の「お墨付き」を得たと判断した個人投資家たちが、ますます借金を増やし、株式市場に注ぎ込んだ結果、上海総合株価指数は1年間で2・5倍にまで高騰し、その後、普通にバブルが弾けた。

今回の株価暴落が前回以上に中国経済にとって「致命傷」になりうるのは、実体経済が株価に全く追いついていないためだ。

中国共産党の発表する経済指標をそのまま真に受けるのは危険だが、「比較的信用できる」と言われている鉄道貨物輸送量は、現在は11年の水準を下回っている。鉄道貨物の輸送量が「減少」する状況で、いかなる手段で毎四半期7%前後の経済成長率を達成しているのか、神のみぞ知る。

しかも、中国の6月の生産者物価指数(PPI)は、対前年比4・8%低下。PPIの下落は、これで39カ月連続の下落である。中国経済は、普通に「不況」あるいは「デフレーション」へと向かっているのだ。

それにも関わらず、株価だけが上昇した。人民日報の記事からも分かる通り、中国共産党政府も株価上昇を煽った。なぜなのか。もちろん、株価上昇以外に中国経済の不振をごまかす術がないためだ。

中国共産党は、現在、株価下落を「介入」によって食い止めようとしているが、露骨な株式介入を継続すると、国際通貨基金(IMF)のSDR(特別引き出し権)の通貨バスケットに、人民元をねじ込むという政府目標がついえる。しかも、アメリカのルー財務長官から、株式市場への介入について「中国が経済改革を断行する上で、介入が何を意味するか、深刻な疑問を持っている」(7月29日)と、クギを刺されてしまう始末である。

だからといって、株価暴落を放置すると、最後の頼みの綱である中国人民の消費が激減してしまう。中国共産党と中国経済は、いよいよ出口のない袋小路に追い込まれようとしている。

■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『中国との貿易をやめても、まったく日本は困らない!-中国経済の真実』(ワック)、『繁栄の絶対法則』(PHP研究所)、『超・技術革命で世界最強となる日本』(徳間書店)など多数。

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