東アジア歴史文化研究会

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう
歴史の書き換えはすでに始まっている

中国軍の内部で何が起きているのか? 習近平礼賛派に交替 房峰輝、馬暁天、呉勝利、張陽と軍上層部が次々と失脚(宮崎正弘国際ニュース早読み)

2017-09-03 | 中国の歴史・中国情勢
スターリンの恐怖政治に似てきたが、これでは軍が機能しないだろう
****************************************

中国軍の内部で何が起きているのか?

房峰輝(前統合参謀部参謀長)、馬暁天(空軍司令官)、呉勝利(海軍司令官)、そして張楊(政治工作部主任)と軍人上層部が次々と失脚、あるいは拘束され、習礼賛派と交替している。軍が習のプライベートアーミー化している。

とくに衝撃をともなったのは房、馬、呉の三人は現職の中央軍事委員会委員であり、呉の場合、父親は浙江省副省長をつとめた太子党(房峰輝、張陽も太子党)であり、手を出せないとされてきた。

呉は海軍の密輸事件に絡んだと噂され、2014年頃から黒い醜聞がひろがってはいたものの、同時に「海軍の父」をいわれた劉華清の軍拡、海軍重視路線を守り、海軍を掌握してきた。

参謀部長に李作成、海軍司令員(司令官)は沈金龍。次期副主任は四人に増員される雲行きとなった。

空軍司令官は丁来杭(北部戦区空軍司令官)、陸軍司令官には韓衛国(中部戦区司令官)が抜擢された。韓は61歳、丁は中将のままで昇格した。いずれも習近平の嘗ての赴任地で意思疎通のある人脈から選ばれている。恰かも、人民解放軍は共産党従属という軍隊から習近平直属の軍隊へと変貌を遂げるかのようである。

どうも、この状況は習近平が軍事委員会から胡錦涛人脈をすべて追い出し、自分に忠誠を誓う軍人であれば、その能力を度外視しての抜擢人事であり、スターリンの恐怖政治に似てきた。これでは軍が機能しないことになるだろう。

ソ連軍は讒言や密告によってトップが連続して粛清され、スターリンに忠誠を誓う軍人が要職を占めた。したがって実戦経験に不足し、対独戦では一部が壊滅状態に陥ったほど、士気は麻のように乱れ、軍の組織に総合性を失い、軍隊そのものが烏合の衆と化した。

建設現場にたとえると或いは理解しやすいかも知れない。五本の主柱、工事現場で各班は指揮系統が明確化されていたので、各々の任務を円滑にこなした。ある日、突然、五本の柱を取りやめ、設計変更。十五の小骨に改編され、持ち場も外壁担当がインテリアへ廻され、電気系統担当が水道管など水回りに部署が交替となり、ボイラー担当がエレベータ部門に廻され、「さぁ、頑張ろう!」といわれても、全体を統括できず、各現場責任者は請け負った現場において適切な判断ができない。

組織に柔軟性が欠け、整合性を失い、全体の指揮系統が乱れる。となれば軍そのものの全体が機能せず、工事は遅れに遅れる。

▲機上の空論に近いのかも知れない軍の再編

これを現在の組織再編中の中国人民解放軍に当てはめてみると、五つの縦割り組織の元締め(総政治部、総参謀部、総装備部、総後勤部と戦略ロケット軍)が、統合参謀部、政治工作部など十五に別れ、誰が何をどうするのか、具体的な分担範囲が不明となった。

七つの軍管区が五つの戦区に改編され、自分の部隊がどちらの所属なのか不明となった。とくに北部戦区と中央戦区の山東省と河北省の地域分担が末端では不明確のまま、海軍でも北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊と海兵隊が色分け不明瞭のまま、海軍司令員には南海艦隊から人が来た。海兵隊は各艦隊から切り離されて独立した組織となった。

それでなくても軍の内部は不穏だった。軍の国軍化を唱えた谷俊山が汚職容疑で失脚し、それから三年を経ずして、中央軍事委員会副主任だった除才厚と郭拍雄のふたりが失脚となり、旧瀋陽軍管区の不満は爆発寸前となった。北京のど真ん中で軍人が抗議集会を開催するなど、習近平の軍組織再編は軍隊内部からは不評さくさくとなっていたのだ。

いや、この事態で軍を機能的に再編するというパターンであれば、毛沢東が朝鮮戦争で敵対した軍閥を前線に駆り出したように、トウ小平がベトナムに戦争を仕掛けたように、習近平に残された選択肢は、やっぱり戦争ということになる。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿