ぼくには、千紗(ちさ)と奈々子(ななこ)の従姉妹がいた。
父方の祖父母と伯父夫婦つまり彼女たちの両親が谷中に住んでいて、ぼくも小さいころからよく夏休みや正月休みになるとそこに訪れた。

千紗はぼくより三つ年上で、奈々子はぼくと同い年だった。
お姉さん風を吹かせる千紗は、いつも遊びの中心にいて、奈々子は姉の言いなりだった。
ぼくはというと、男ということもあって千紗に逆らえるはずもなく、彼女らの「ごっこ遊び」につき合わされた。
ぼくがもう六年生になるときの桃の節句に、祖父母の家に泊まりにきていたときのこと、大人たちはなぜかおらず、立派なお雛様の前で、奈々子とままごとのような遊びにつき合わされていた。
なぜか中学生の千紗も入ってきて、いろいろ指図をするのだった。
「こうちゃん、ななちゃんと夫婦なんだから、赤ちゃんをつくらないと」
「え?」
ぼくは、何を言われているのかわからなかった。
すると、奈々子が
「そうね、あなた、今夜つくりましょう」
と言う。
にやにやして千紗が、
「こうちゃん、そこに寝転んで」
言われるままに、ぼくは寝転んだ。
正直、赤ちゃんをつくるなんてどうするのかさっぱりわからなかった。
ただ、従姉妹の様子からなにやら怪しい雰囲気だったことは感じていた。
「こうちゃん…好きよ」奈々子が突然、かぶさってきてキスをしたのだ。
「ふふふ」好奇の目で笑う千紗。

男と女がくっついて赤ちゃんができる…みたいな漠然とした知識はあった。
そうして寝ていると、今度は千紗がぼくのズボンのチャックをジジジと下ろしてきたのだ。
「ちさ姉(ねえ)…何してんの?」
「これを出さないと、赤ちゃんできないわよ」
これというのはちんちんのことらしい。
ぼくはされるがままに横たわっていた。
見られたら恥ずかしいのだが、こういう遊びに儀式的な厳(おごそ)かな気持ちを感じ取ってじっとしていた。
千紗のつめたい指がぼくのパンツの中に入ってきた。
「うふ、なな、見てごらん」
「あ、おちんぽ」
従姉にさわられて、ぼくのちんちんは硬くなってきた。
自分でさわって硬くすることはあったけれど、人に触られてもそうなるらしい。
「こうちゃん、ズボン脱ぎなよ」
命令口調で千紗が言う。
ぼくは仕方なく従った。
ずっと前から千紗にはちょっと怖いところがあった。
ぼくも、奈々子も千紗には逆らえないとあきらめていたところがあった。

そんな状況にも裏腹に、ぼくのちんちんは硬く大きくなっていた。
少し毛が生えかけていて、そういう意味で恥ずかしかった。
「あらら、ちゃんと生えてんじゃん」
千紗が目を光らせて意地悪く言う。
「もう、出るのかしらね」
「何が?」と奈々子が訊く。
「あれよ。赤ちゃんの素(もと)よ」
「あかちゃんのもと?」
「奈々は、学校で習ってないの?」
「知らない。キスしたら赤ちゃんができるって、お姉ちゃんが」
「あれは冗談よ。ほんとはね…」
姉妹がぼくのちんちんをさわりながら勝手に話し込んでいる。
「ねえ、千紗姉、どうすんだよ。ぼく」
「こうやってると気持ちいいでしょ」
うっとりと千紗が言う。
「うん」
実際、なんか変な気持ちで、体に変化が起こっているような感じだった。
千紗の柔らかい指でしこしこと触られていると、体の奥深くから湧き上がってくるような感じがする。
そして短距離を走ったように息がはぁはぁしてくる。
「すっごい硬くなって、赤くなってきたよ」
奈々が小さな声で言った。
「でるかも…」
「赤ちゃんの素が?」
「ね、こうちゃん。出そうでしょ?」
千紗も潤んだ瞳でえくぼを深く頬につくって訊いてくる。
この時ほど、千紗が美しく見えたことがなかった。
彼女たちの髪の香りにさえぼくは反応した。
千紗の手に力が入り、ぼくの皮は下に強く引っ張られた。
何度も、何度も。
「あ、なんか出る」
ぼくはそう言ったかもしれない。
腰が浮き上がり、震えが来た。
びゅるるる…という感じでおしっこのようにちんちんからほとばしった。
「うあっ」
「なにこれ」
「いやぁん、きったなぁい!」
「ちょっとぉ、お雛様にかかっちゃったよ」
大騒ぎになった。
ぼくは何が起こったのかさっぱりわからなかった。
千紗が手のひらを拡げて顔をしかめている。
その手には糸を引く液体がダラダラと垂れていた。
「奈々、ちり紙もってきて。早くっ」
「こうちゃんったら、こんなに出すんだもん」
そんなこと言われたって…
ぼくは恥ずかしさのあまり泣きそうになっていた。
いや実際、涙がにじんでいた。
こんな屈辱的な遊びがあるだろうか?
二人の女の子の前で、ちんちんをさらけ出して、そこから変な液を垂れ流して、「汚い」とまで言われて…

ぼくはちり紙を分けてもらい、後始末をして、さっさとパンツをはいてズボンもはいた。
もうたくさんだった。
ここからどこかへ去りたい気分だった。

「赤ちゃんの素」を出したぼくは、大人の体になっていたのだと後に知ることになった。
その後、彼女たちと遊ぶとき、必ず射精をさせられた。
そして、ぼくの最初の女は従姉の千紗であり、二番目が奈々子だった。
彼女らにとっても、最初の男はぼくだということだった。
大人の目を盗んで、ぼくは千紗と奈々子を交互に貫き、千紗は必ず外に出させたけれど、奈々子にはまだ生理がないから中に出してもいいと千紗に言われた。
彼女たちは疲れを知らないのか、ぼくが放(はな)って柔らかくなると、どちらからでも口をつかったり、手を使ったりして、何度でも硬くさせてかぶさってくるのである。
「こうちゃんのいいわ」千紗がぼくの上で、青い乳房を揺らせて跳ねる。
奈々子が毛の生えない谷間を舐めろとぼくの顔にまたがってくる。
「千紗姉、やばいよ。出ちゃう」
「あら、そう」
そう言うと離れて、奈々子と入れ替わるのだった。
千紗の、毛でしっかり縁(ふち)どられた大人の陰部を今度は舐めさせられるのだった。
小便臭い奈々子とは違った、獣のような蒸れた匂いを放つ女の器官。
舐めていると、きつい奈々子の膣がぼくをねじ込む。
「きゃっ」
奈々子が幼い悲鳴を上げて、ぼくをきっちり収めてうっとりとしている。
奈々子の中なら思いっきり出してもいいのだった。
もう、出そうになっているぼくは、奈々子の締め付けに耐えられず、腰砕けに射精してしまった。
「やぁん」
「でちゃったよ」
「おめでとう」
千紗がおどけて言う。
「あんたたち、これで夫婦ね」
そう言って、長い遊戯は終わるのだった。
(おしまい)