コミュニケーション指導の前に | That's where we are

That's where we are

the Church of Broken Pieces
(アメリカ救急医の独り言と二人言)

「あの部屋の患者とは、

どうやってコミュニケーション取っているんだ?」

 

「医療の質を向上させる」名目で

患者サービスのコンサルタントとして雇われている会社

数か月に一回ERにやって来ては

科のチーフ・ナースを通して指導をしようとする

 

ここの会社、個人的経験からすると

「指導」というより、揚げ足取りに近いやり方で

わざわざ初めから不満だらけの患者を選んでインタビューし

「ここは改善されるべきだ」とか言ったりする

 

別の病院で働いていた時

この会社の顧問がやって来て

廊下に置かれているベッドにいる若い女性に

「なにか不満はありますか?」

一年以上の腹痛

プライマリーケア・ドクターにも行かず

何故か突然、ERに現れる

ERはER、慢性疾患を診る場所ではないので

当然、外来でフォロー・アップして下さいとなるが

患者はそれが不満

なぜ、今日、全部なんでも検査して、今日、治らないのか?

だって、適切な時と場所というものがあるから

そんな患者が不満だ、改善しろと言われても

インタビューする患者のセレクションが間違えている

 

「あの部屋」の患者はスペイン語オンリー

 

スペイン語しか話さない患者なのに

どうやって会話をしたんだ?

コミュニケーションが取れてないじゃないか、とか

イチャモン付けたいんだろうな

 

"That's his native language."

シニア研修医がニッコリ笑って答えた

 

「こちら、内科からローテンションに来ているインターン

彼はベネズエラ出身なの」

 

その後ろで、ニコニコしながら

( ´ ▽ ` )ノと手を振るインターン

 

このコンサルタント会社から来る金髪の女性

数回顔を見たことがあるが

チーフ・ナースとコソコソ話をするだけで

私達には「こんにちは」の一言もなし

 

あなたがコミュニケーションがどうのこうの

指導する立場にはないんじゃない?

 

どくしゃになってね…