救急隊に搬送されてきた患者は
大きな荷物と共にやって来た
「70代男性、呼吸困難。胸痛なし。
酸素濃度は正常です。」
買い物の際に引きずって歩くような
ショッピング・カートとでも言うだろうか?
こういうヤツ
ワイヤーカート K-44 キャリーカート
6,264円
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大きなごみ袋に包まれた何かを
2つか3つか積み込んでいて
そして、ごみ袋の上には
「ちょっと、コレ、何?」
ケージの中にうずくまる白いフワフワ
救急隊員「それ、猫ですわ」
いや、猫なのは説明してもらわなくても分かる
上から見ても、横から見ても
紛れなく猫だから
そうじゃなくって
道端でピックアップしてきた患者が
なんでケージに入った猫を連れているのか?
ベビーシッターに預けに行く途中なのだと
そう患者は説明した
大きな真っ白い猫
緑と黄色のグラデーションが入った眼
高級感あふれるキャットフードのコマーシャルに出ても
全く違和感のない綺麗な猫
「美人さんだね」と声をかけた
私の顔を1,2秒だけチラッと見て
あとはそっぽを向いてふて寝
預けに行く途中なら
その人に引き取りに来てもらえないかしら?
病院に(人間以外の)動物はいられないから
OK, I willと言いながら
患者が電話をしようとするそぶりも見せず
本当に預かってくれる人がいるのかしら?
カートに入った大きなビニール袋といい
もしかして、住んでいる所を追い出されたのか?
なんやかんやで、患者は入院が必要な状態
入院病棟にベッドも見つかった
ところが、問題はこの美人猫
盲導犬等サービス・アニマルでない限り
病棟へは犬猫の立ち入りは禁止
「預かってくれる人、いるんじゃなかったの?」
「今夜は迎えに来られないとか言ってましたよ
でも、本当にそんな人、いるんでしょうかねぇ」
そのうち、チャージ・ナースがやって来て
(ER内で患者がどのベッドへ行くか手配する係)
「ナース・マネージャー(ナースの総括)が言うには
SPCAに迎えに来てもらうか
AMAで出て行ってもらうしかないみたいです」
(SPCAはペットのレスキュー、アダプションを手伝う団体
AMA=勧められた検査、治療を拒否すること)
SPCAって...真夜中に開いてるの?
ネットで電話番号を探し、電話してみたが
『営業時間は朝8時から...』留守電のみ
ホームページに書いてある内線番号に
手当たり次第にかけてみると
『もしもし』
あ!つながった!
『そういうのは私の担当じゃありません
朝8時に事務所が開くので、そこにかけて下さい』
う~ん、困った...
SPCAのホームページには
「動物がいなくなったり、見つかったり、
捨てられていたりした場合は
アニマル・コントロールに連絡を」と
デカデカと番号が書いてあった
ここじゃ、どうだろう?と電話をかけてみることに
(続く)