浅野秀弥の未来創案
【加計獣医学部に韓国から留学生】
偏差値維持に苦肉の策?
来春の設置認可が文科省から降りた加計学園の岡山理大獣医学部(愛媛県今治市)に、韓国から約20人を旅費は日本側負担で毎月14万2500円の 奨学金付きで受け入れる計画が存在することが明らかになってきた。在学中の医療費や寮費まで負担してくれるそうで至れり尽くせりだ。
日本の学生の多くは利子付きの奨学金を受け、返済のために在校中は日々バイトに明け暮れ、卒業後も借金返済に追われる実態が問題視されている。その中で国際交流の一環とはいえ、うらやましく感じる日本人学生も多かろう。
安倍総理の唱える“岩盤規制突破特区”の考え方によると、国内の獣医学部は全国で国公立、私立を併せてもわずか16大学しかない。その上での総定 員は全て足してもわずか930人という狭き門。うち国立大は東大から北海道大、鹿児島大など10カ所。公立の大阪府大を併せても計11カ所。いずれもセン ター入試で85%以上の得点が必要な超難関だ。同じく私大の酪農学園大、北里大、麻布大、日大、日本獣医生科大は、大半が定員120人程度で偏差値60く らい必要な難関校だ。そこに加わる定員160人の岡山理大は非常に大きな存在となってくる。
理大各学部の偏差値はとてもこれらのレベルには及ばない。しかも、11月まで認可が延ばされこのままでは国内受験生数確保も厳しく、結果的に入学 者レベルの維持が困難になってくる。そこで「文科省管轄外の韓国から優秀な留学生を迎え入れて、将来の獣医師国家試験合格者を確保しよう」との思惑が見え 隠れするといえば言い過ぎだろうか?
受け入れ側行政サイドは、用地提供をはじめ鉦(かね)や太鼓で大学誘致実現に懸命だった。開校による地元活性化を期待したのだろうが、もし本当に 思うような学生が集まらないと、市民の受け止め方は次第に落胆へと変わる。ましてや今後も学部維持のために、さまざまな費用が税金の中から次々出て行くは ずだ。関係者が本当に辛酸をなめるのは、実はこれからなのだと覚悟しておいた方がよい。