教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

朝丘雪路さんが患ったアルツハイマー型認知症 患者数増には「歯」も関係する?

2018年05月20日 17時12分34秒 | 健康・病気

 

11:49

 

 

女優の朝丘雪路さん(c)朝日新聞社

(AERA dot.)

 輝かしい昭和の時代を築いた女優がまた一人、この世を去った。

 

 女優で歌手の朝丘雪路さんが4月27日に死去していたことが19日、わかった。アルツハイマー型認知症を患い、療養していたという。82歳だった。

 

 1960年代後半に、深夜の生放送の草分け的情報番組「11PM」のアシスタント役を務めた朝丘さん。司会の大橋巨泉さんとの軽妙な掛け合いは話題となり、なかでも大橋さんがからかって命名した「ボインちゃん」は、当時の流行語にもなった。その後も女優やバラエティ番組などで幅広く活躍。夫で俳優の津川雅彦さんとのおしどり夫婦ぶりは有名で、おっとりしたキャラながら美しい立ち居振る舞いが広く人気を集めた。

 

 実は、朝丘さんが患っていたアルツハイマー型認知症が誘引する死亡率は、近年、目立っている。厚生労働省「人口動態統計(確定数)の概況」によると、2015年に女性の死亡順位で「アルツハイマー病」が上位10位に初めて入ったのだ。認知症の6割を占めるとされるこの病に特効薬はなく、根本的な治療薬の開発は遅々として進んでいない。

 

 アルツハイマー型の原因は遺伝や日常の生活習慣など複数あるとされる。いまだ完全な解明には至っていないが、週刊朝日ムック『すべてがわかる認知症2017』では、歯周病とアルツハイマー病の関係に着目。ここからは、同ムックから「歯」と「認知症」について解説する。

 

*  *  *

 成人の8割以上がかかっているといわれる歯周病。それが認知症と深くかかわっている可能性も指摘されています。

 

 これまでにも、アルツハイマー型認知症の患者の脳から歯周病菌が見つかるなど、その関連性が指摘されていました。17年5月、日本大学歯学部の落合邦康特任教授らの研究チームは、歯周病とアルツハイマー型認知症との関連性を示唆する、新たな動物実験結果を発表しました。

 

 認知症の中でもっとも多いアルツハイマー型認知症。その原因はまだ完全には解明されていませんが、体内で発生する酸化ストレスによって、細胞や組織が悪影響を受けるのではないかという仮説があります。落合特任教授らのチームは、歯周病の原因菌によってつくられる「酪酸(らくさん)」という物質を健康なラットの歯肉に注射。6時間後に調べると、脳内の各部位で酸化ストレスが上昇し、なかでも記憶をつかさどる「海馬」でのストレスが顕著だったそうです。

 

 また、アルツハイマー型認知症の脳神経細胞内で過剰に増える「タウ」というたんぱく質も通常のラットに比べて42%増加しました。

 

「ラットの歯肉に注射した『酪酸』は、歯周病患者の歯周ポケットで通常の10〜20倍も見つかっています。健康であればポケットにとどまっていても、歯肉の炎症などがあると組織から血管に入り込んで全身をめぐります。それが長期間つづくと脳に悪影響を与える可能性は十分にあります。たかが歯周病と侮らず、できるだけ早く治療しましょう」(落合特任教授)

 

■寝たままかんでも脳は活性化しない

 

 認知症と深くかかわる口の健康。なかでも「よくかむ」ことには大きな注目が集まっています。日本歯科大学教授であり、日本咀嚼学会副理事長でもある志賀博歯科医師はこう説明します。

 

「咀嚼とは、単に歯で『かむ』というだけのことではありません。食べ物をかみ砕き、すりつぶし、だ液と混ぜ合わせてのみ込める状態までまとめる動作です。歯、舌、あごなどが無意識のうちに協調し合うからこそできる複雑な動きなのです」

 

 食べるときの姿勢も意識してほしいと、志賀歯科医師は言います。

 

「ベッドに寝たまま上半身だけ起こして食事をしたときには、座って食べるときほど脳の血流は増えません。介護用ベッドを使っていたとしても、可能な限りいすなどに腰かけ、テーブルに向かって食べるようにしたいものです」

 

 なにを食べたらいいのかも気になるところですが、「特別に意識しなくていい」と志賀歯科医師。

 

「本来、咀嚼は無意識におこなうもの。かむことに意識が向きすぎないほうが自然な食べ方を維持できます」

 

■認知症になっても「自分で食べる」を大切に

 

 もしも認知症やその予備軍(軽度認知障害)であるという診断を受けた場合でも、「よくかむ」「自分で食べる」という行為は非常に大切です。高齢者の歯科医療に詳しい九州大学大学院教授の柏﨑晴彦歯科医師はこう話します。

 

「かむことによる脳の刺激や血流の増加は、認知症の進行を遅らせる効果も期待できます。手や指のこまかな動きも脳を活性化させますから、自分で箸やスプーンを使って食事をし、食後歯みがきするということで、できるだけ長く、普通の生活を維持することが可能になるのではないでしょうか」

 

 しっかりかんで食べるという意味でも義歯の装着は大切ですが、広島大学の調査では、適合した義歯をつけることで認知症の患者の転倒回数が減ることもわかりました。前出の志賀歯科医師はこう説明します。

 

「歯を失い、かみ合わせが悪くなることで全身のバランス感覚も崩れるのです。単に義歯が入っているだけではなく、正しいかみ合わせの義歯をつけることで転倒などによる骨折を防ぎやすくなります」

 

※週刊朝日ムック『すべてがわかる認知症2017』より抜粋

 

(文・神素子/AERA dot.編集部)


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