漫画家の伊藤理佐さんと吉田戦車さんのご夫婦。それぞれの視点からおふたりの娘さんを漫画で描いています。すでにご存じの方が多いでしょう。『おかあさんの扉』と『まんが親』をご案内します。
おかあさんの扉 (オレンジページムック)
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理佐さんは40歳の時に出産、そのとき戦車さんは46歳。ムスメちゃんの名は「あーちゃん」(『おかあさんの扉』)、「にゃーちゃん」(『まんが親』)と似て非なる仮名です。
同じ子どものこと、親子でどこかに行ったというイベントも、見る目、描く手(!)がちがいます。だからおもしろさも倍増。
しかも、やはりプロの漫画家はちがいます。親が子のことを漫画にしたものは、ブログやInstagramを書籍化したものも多数ありますが、こちらは別格(同列に並べられない)
漫画家の親は愛情たっぷりの観察者でもあります。
『おかあさんの扉』には「おとうさんの扉」という戦車さんの、
『まんが親』には理佐さんの「伊藤の言い分」というコラムがあります。
戦車さんの言い分(タイトルちがう)はこんなかんじ。
伊藤理佐が描く「オットの人」はどれくらい自分か、と考えると、本人的には40%ぐらいではないかと感じている。
マンガとしてはおもしろいが、自分なんか見たくない、という暗い気持ちがちらりと顔を出す。
妻とはいえ他人にシビアな目で切りとられた自分は見たくない、という臆病な気持ちがある。
とはいえ、伊藤コミックエッセイの重要な登場動物に「ニャコとクロ」がいるが、私も、そして娘もあのネコたちの仲間だ、と思うとけっこう幸せな気分になるのも事実なのだが。 (おとうさんの扉①より)
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漫画でもエッセイでも、描かれていることが自分とその家族にまつわる話であっても、それはノンフィクションとはちがうということですよね。
たとえ事実に忠実であったとしても、作者の目を通じて描くので、同じ出来事でも感じ方、表現の仕方はそれぞれ、というわけです。
あーちゃん(にゃーちゃん)にしてみれば、両親が漫画家で、自分の子ども時代が描かれているというのは、とても素敵な財産だな、と読者の立場から思います。たくさんの読者が親戚のおばちゃん状態。「あらぁ、大きくなったわねぇ」と、会うたび言われるみたいなことを(リアルにあるかどうはは別として)、どう感じるかはわかりませんが
『まんが親』全5巻、『おかあさんの扉』既刊6巻まで、ずらり並べてみました
『おかあさんの扉』はうれしいことに、雑誌オレンジページでまだまだ続いています。
オレンジページ 2017年 5/29号増刊 [雑誌]
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こちらは5月28日号増刊に掲載のよりぬきおかあさんの扉。
楽しい
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