tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

9月の企業物価指数(速報)昨年9月比3.0%上昇

2017年10月12日 22時27分35秒 | 経済
9月の企業物価指数(速報)昨年9月比3.0%上昇
 今日発表された「企業物価指数」は、対前年同月比、つまり昨年9がに比べて3.0%上昇して、8年11か月ぶりの上昇率、リーマンショックの直前以来の高さになったとのことです。

 消費者物価指数は消費者が買う財やサービスの価格の統計で政府(総務省)が調べていますが、企業物価指数というのは企業間で取引されるもの(財のみ:サービスは無し)の価格を示す統計で日銀が調べています。

但し、政府や日銀がインフレ目標にしているのは消費者物価ですから、企業物価が上がっても喜ばないでしょうが、庶民は、企業物価が上がれば、いずれは消費財にも波及して、消費者物価も上がって来るのではないかと心配にもなります。 

 実は、企業物価が9月に急に3%上がったのではなくて、8月には2.9%(前年同月比)上がっています。(3.0%でないと記事にならないのでしょうか)
 昨年の企業物価指数は、対前年度期比でずっと下がっていました。ところが今年に入って上がり始め、1月0.5%、4月からは2%台、9月に至って3%に乗りました。

 日銀は何が上がったか調べています。主因は資源価格の上昇で、特に石油・天然ガスなどのエネルギー関係、それに希少性の高い非鉄金属の輸入価格が上がっています。

 対前年同期の値上がり率の高いものは
石油・石炭製品 13.7%、非鉄金属19.3%、鉄鋼11.8%、電力・ガス等(企業向け)10.7%、などで、これらの影響でしょうか、スクラップ類が44.3%の値上がりです(廃品回収、多いですね)。

 興味を引くのは、石油・石炭製品は13.7%の値上がりですが、化学製品は3.3%、プラスチック製品は-0.1%と、消費者に近づくほど、値上がり率が低くなることです。
 
 輸入物価を見ますと、石油・石炭天然ガスは26%上昇、金属製品は26.8%の上昇(いずれも対前年同期比)ですが、日本国内での加工が進む段階で価格上昇率は次第に低下しているのです。

 多分、日本国内の生産性が高い、裏返せばコストが低い、あるいは、高いと売れないので利益を削る、のどちらかでしょう。前者であって欲しいですね。
 粗原材料の値上がりが21.2%、中間財は5.9%、最終財は1.5%という分類も出されています。

 消費者の手に渡る時は、これにサービス料の部分が加わり、これは殆ど人件費ですから、価格の上昇は更に低くなるのが現状です。

 昨年は景気が足踏みで企業物価も低迷でしたが、今年に入っての上昇は、世界経済の回復による資源価格の上昇に加えて、日本経済自体の回復による、価格水準の回復という面もあるように思われます。
 企業の強気が、生産性上昇を呼び、それに見合う賃金の安定上昇が実現し、将来不安の解消、消費の活発化という好循環につながって欲しいものです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿