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消費者物価は超安定、経済政策に生かせ

2018年07月20日 16時54分34秒 | 経済
消費者物価は超安定、経済政策に生かせ
 6月の消費者物価が発表になりました。マスコミ報道では、0.8%上昇で18か月連続上昇を強調、物価上昇が1年半も続いている(この数字は生鮮食品を除く総合指数の対前年同月上昇率です)という点に力点を置いているようです。

 確かに消費者物価はほぼコンスタントに上昇を続けています。しかし、未曽有の求人難といわれるほど経済は活況を呈しながら、上がったといっても、インフレ率が年率0.8%と1%に満たない上昇で推移しているというのは、歴史的に見ても消費者物価は超安定というのが現実ではないでしょうか。

 アメリカのFRB(中央銀行)がなぜ物価が上がらないのか解らないといい、日銀は2%のインフレ目標を結局放棄しましたし、まともな経済状態を維持している国々ではインフレの様相はなく、その中でも日本は最も物価の安定している国になっています。

 しかし、経済運営の衝に当たる人たちは矢張り多少のインフレの方が経済運勢がしやすいという事でしょう。FRBも2%インフレ目標を置き、日銀もそれに倣いました。
 アメリカは何とか2%を超えてきました。しかしインフレ嫌いのドイツは1%は越えましたが2%には届きませんし、日本は1%にも届きません。

 財政不如意の政府は借金が多いですからインフレを好むでしょうが、高齢者が増加中、つまり年金生活者が増えていく日本などでは、物価はあまり上がらない方が国民(生活者)にとってはありがたいというのが本音でしょう。

 であってみれば、このインフレの進行しない(消費者物価が上がらない)状態を好機と捉え、かつて言われた「数量景気」、つまり物価は上がらず、財やサービスの生産量が増えて実体経済が活況を呈するという最も健全な状態の成長を求めるのが、今日の情勢に適した経済政策ではないかという発想があっても良いのではないでしょうか。

 現状を、グラフでじっくり見てみましょう。

 ちょっと見にくくて申し訳ありませんが、指摘したかったのは、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」の数字が極めて安定しているという事です。
 生鮮食品は天候などによって乱高下します。エネルギーは海外の市場価格の変動の結果ですから、国内では対抗手段はありません。日本経済として物価安定を維持出来るのは、それらを除いた一番下の数字です。

 この数字は驚くほどの安定ぶりです。消費者・生活者にとっては有難いことです。インフレによって生活に悪影響がないという事は、本当は安心して消費生活を送れるという事でしょう。
 それなのに、今、消費者は、貯蓄に励み、消費を控えるばかりです。これはこのブログで指摘してきていますように、政府の煽る将来不安と、ゼロ金利で貯蓄が利息を生まないという金融政策によるところが大きいのでしょう。

 今の政策を続けても、どうにも明るい未来は見えてきません。アベノミクスは竜頭蛇尾でした。最後はカジノに行き着いて何をしようというのでしょうか。
 国民の不安を払拭できる政策が、今こそ必要で、それは物価の安定を前提に可能になるはずです。
 今の日本には、新しい発想の経済政策が必要なのです。

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