そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

サウジのカタールへの経済制裁は中東の不可逆的対立を拡大するだけである

2017-06-11 | 中東
中東の今日の混乱の根源は、西欧の列強の支配下に置かれ地域を分断され、国家を作らされたことと、石油が豊富に埋蔵されていることである。
国家や民族は均等に発展はしない。中東の民族は血縁で繋がり、西欧の国家としての概念の、国境や法規や税制などは全く異なる歴史と現状にあった。オスマントルコからの解放で、西欧各国が利権を分かち合い、三枚舌と言われるサイクス・ピコ条約で国境を勝手に決定した。そしてその後、世界の金とエネルギーを決定するほどの、石油資源を持つことが、金満国家となり彼らの歴史や理念さえも破壊し今日に至っている。
中東の国家間の対立や宗教的対立や民族的対立を生んだのは、石油利権の争奪と、欧米の力と理念の押し付けに他ならない。

今月7日、サウジアラビアがカタールに対してUAE、バーレーン、エジプト、イエメン、モルジブを引き連れて国交の断絶を行った。同じGCC(湾岸協力機構)の中でも、クェートとオマーンは加わらなかった。サウジのような大国が、陸続きの小国カタールをテロ国家呼ばわりして国交断絶するのは、現在の中東の複雑な政治的、経済的、民族的背景が生んだものである。
サウジ主導のカタール制裁には、直前に大量の経済人などを連れて訪れたトランプの影がある。カタールがISを支援している、ムスリブ同胞団を支援しているという理由であるが、ISの支援は経済的にも思想的にも、アラブの方がよっぽど影響を与えているし、シリアが石油を購入していることは公然の事実である。
カタールは、、サウジに反論せず食料の供給や石油の輸出をイランにお願いした。更には、トルコが急遽カタールへ軍隊を派遣した。これらの裏にはロシアが厳然と存在する。NATOの一員であるトルコ軍の存在で、サウジは手が出せなくなった。
サウジの指導者が若手に一新されたことが、こうした成果が望めないがシーア派に一撃を与えようとした断交に踏み切らせたのである。結局は、ロシアを背景にした何となくシーア派支援の国家と、アラブ支援のスンニー派の形に納まった感がある。シリア内戦の終焉とISの拠点の陥落が迫っていること、それにクルド国家の建設が実現しそうだということも背景にある。更には、イランで起きたテロにサウジの影があり、半島の一国のカタールに拠点をもうければ、イランにとってこの上なく有り難いことである。
皮肉にも、今回のサウジのカタール制裁で最も得をしたのは、イランとトルコの支援を引き出したカタールであるといる。

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