そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

働き方改革の前にすることがたくさんあるはず

2017-02-16 | 福祉社会
電通の入社9が月の新人女性社員が自殺した。長時間の時間外労働が彼女を圧迫したのであろうが、果たしてそれは時間だけのことか際めて疑わしい。一昨日の本ブログの記事を見てもらえばわかるが、酪農家の労働時間はそんなものではない。
この記事を拝借すると、一般的な酪農家は2.4人で年間8078時間働いている。一人当たり3365時間働いている。一日10時間ほど働いていることになる。しかも休日はない。基本的に酪農家に土日も祝日もない。それが嫌で辞めた酪農家もあるが、酪農に喜びを持つ人たちも少なくはない。
自ら命を絶った電通の新人女性社員は、自分で解決できないことが多くあったり大変だったろうが、酪農家ほどの労働時間があったとは思えない。では何が違うのかというと、労働の質でないかと思われる。働いたことが目に前に結果としてあらわれ、それを喜びとして確認できないからである。酪農家は、良い草が獲れたり、期待の子牛が生まれたりと、労働の結果を目のあたりにすることができる職業である。勿論その逆もあり、酪農家は落ち込んだりもする。経営も自らの責任結果としてみることもできる。
翻って、電通の子の無機質な事務所でコンピューターに向かっての作業からは、そうした結果を見ることができないし喜びもない。労働の質の濃淡や喜びや悲しみが実感できないのではないか。しかも上司に命令されて、自らの意思と異なる作業も数多くあったであろう。
この労災認定された女性の事故から私自身を振り返っても見た。最も忙しかった時には、獣医師を15名ほど抱える診療所であったが、病人が出たりしていたのでとても忙しかった。時間外が毎月100時間はあった。みなし時間として計算されているが、実労働時間も変わらない。それが半年も続いた。私は当時所長であったから更に上乗せする作業や実務があったが、多忙であったが労働荷重とは思わなかった。診療に行けば、病牛がいるので治療すると、酪農家は笑顔で応えてくれる。病牛が治ればさらに喜びがある。勿論その逆もある。他の獣医師もそれほど変わらなかった。私たちの仕事の結果は、目も前に確認することができるのである。
大動物の診療は往診しかなく、待つ酪農家も獣医師も結構な時間がかかる。それでも音を上げるようなことがなかったのは、好きな仕事だったこともあるし労働の質もある。組合とは36協定を結んでいて、時間外の対価は支払われてはいた。
働き方改革は重要なことではあるが、現行の労働三法を遵守していっれば何ら問題がない。労働組合すら結成できない、非正規雇用者を山のように生み出す制度を作った政権の責任である。組合にも加入できない、労働者の権利すら持つことができないようにした政府の、小泉・竹中改革こそ問題なのである。
その結果起きた格差を雇用制度に手を付けず進めようとする働き方改革は、日の当たる人たちだけを対象にした改革でしかない。
そしてそれ以前に、特に若者たちが自らの仕事の質を真剣に追及することはさらに重要なことなのである。

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2 コメント

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Unknown (きなこ)
2017-02-16 19:03:31
Unknown (タンケ)
2017-02-16 22:15:38
コイズミもタケナカも万死に値する。なのに、今なお表舞台に登場し、そんな彼らをありがたがる人々もいる。コイズミタケナカ始めそんな人々は一体どんな神経しているのだろう。タケナカなどは派遣法変えた上に派遣企業の親玉やっており、さらにはアメリカ永住権さえ持つという。これは、国難や人々の怒りを買い身が危なくなるとアメリカへトンヅラするためなのか。

自国同胞を塗炭の苦しみに置きながら、良心の呵責などないのだろうかコイズミタケナカらは。「自分さえよければよい。金さえ稼げればそれでよい」というのが、彼らということなのだろう。

まともな指導者のいない国ニホンである。原発事故もやり逃げの原子力マフィアらや関係行政庁の面々である。「ワルもやり逃げすれば怖くない」がニホンということらしい。だが、彼らにはそのうちに必ずや大天罰が下ることだろう。

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