アメリカFOMC利上げを織り込んだフラット35の金利予想
どうも千日です。今日の昼に4月のフラット35の金利の基準になる住宅金融支援機構が発行する機構債の表面利率が発表されました。
前月の0.47%から0.01%マイナスの0.46%です。という事は、以下のように0.01%下がる又は横ばいと予想できますね。
35年の超長期固定金利については、スプレッドが前の月と同じならプラス0.65%で1.11%という所でしょう。(カッコ)内は3月の金利です。
- 15年から20年 1.00%(1.01%)
- 21年から35 年1.11%(1.12%)
これを見てこのように思われる人もいるでしょう。
アメリカが利上げをしたのだから、住宅ローンの金利も上がるでしょう?なのになぜ?
そうとは限らないのです。
いずれにしても来月の3日になれば確定することではありますが、そこのところを分かりやすく解説します。
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フラット35の金利推移と機構債の表面利率の関係
- フラット35金利=機構債の表面利率+住宅金融支援機構のコストと取扱金融機関の利益率
こういう計算式でフラット35の金利は決まります。
まずは、これまでのフラット35の金利と前の月に発表されている表面利率との関係をざっと見てみましょう。
2016年のフラット35金利推移
- 5月1.08%=4月表面0.34%+利益0.74%
- 6月1.10%=5月表面0.36%+利益0.74%
- 英国のEU離脱
- 7月0.93%=6月表面0.23%+利益0.70%
- 8月0.90%=7月表面0.19%+利益0.71%
- 9月1.02%=8月表面0.33%+利益0.69%
- 10月1.06%=9月表面0.37%+利益0.69%
- 11月1.03%=10月表面0.34%+利益0.69%
- 12月1.10%=11月表面0.41%+利益0.69%
- トランプ氏大統領当選
2016年の利益率は英国EU離脱前は0.74%、離脱後は0.7%弱で推移しています。
表面利率にこの利益率を足すとフラット35の金利になるという寸法ですね。
そして最後の最後に大番狂わせのトランプ氏の大統領当選がありました。
2017年のフラット35金利推移
- 1月1.12%=12月表面0.48%+利益0.64%
- 2月1.10%=1月表面0.46%+利益0.64%
- 3月1.12%=2月表面0.47%+利益0.65%
- 4月予想1.11%=3月表面0.46%+利益0.65%
トランプ大統領以前は0.7%だった利益率は0.65%に下がり、今に至っています。4月の予想は3月発表の表面利率に0.65%を足したもの、ということです。
金利推移の分析
利益率が大きく変動しているときには、それぞれ世界レベルの「事件」が絡んでいます。
2016年の6月から7月にかけては英国のEU離脱がありました。皆が不安になり安全投資である国債を買いに走って長期金利が下がったのです。
当時好調だった住宅消費が冷え込まないように、住宅金融支援機構が損を被ってオンする利益を減らしたのですね。
2016年12月から2017年1月にかけてはトランプ氏です。過度な期待によって市場はアメリカのリスク投資に走り、国債を売ったため長期金利が上がったのです。
住宅金融支援機構はこの時も損を被ってオンする利益を減らしました。
これ以外の何も無い月はほぼ前月から横ばいで推移しているのです。
そして、今回のアメリカの利上げは『何も無い』月にあたるのです。
横ばいかも?という予測は特に何もなかった2017年2月から3月にかけて0.01%増加しているからです。利益率は今の水準になる前は0.7%前後でした。
何も無い時には、徐々に従来の水準に戻していこうという意思が働いているのではないかと思うからです。
アメリカの利上げにサプライズは無かった
3月16日の日本時間未明にアメリカの利上げが発表された直後の日銀会合では金融政策の現状維持が賛成多数で決定されました。この現状維持も大多数の市場関係者が予想した通りの流れです。
つまり、
長期金利の指標となる新発10年国債利回りは、アメリカFOMC(アメリカの中央銀行)による利上げが発表される前から利上げを前提とした動きとなっており、その通りに利上げが行われただけのことなんですね。
長期金利の推移を見てみましょう。
イエレン議長の利上げ発言前から上がっていた
今回のアメリカの利上げは、2017年3月3日FRB(アメリカの中央銀行)のイエレン議長が「経済データが予想通りに推移すれば、緩やかな利上げが適切だと判断している」と述べ明確に利上げの可能性を示したのが発端ですが、その前から既に長期金利は上がっています。
むしろ、イエレン議長の発言の後は下がっているんですよね。
FOMCの利上げ決定まで横ばい
そして、FOMCの利上げ決定までは0.09%で横ばいなんです。これは、アメリカの利上げを見越して既に安定している状態だということです。
日銀黒田総裁の会見からわかることは限定的
日銀の黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、物価上昇率が1%に達したからと言って、機械的に長期金利の目標を引き上げる訳じゃない。と明言しています。
これ、どういうことか解説します。
今、日銀は長期金利を0%程度に維持することを目標にして長期金利を操作する金融緩和政策をとっているのです。
これは、金利を低く抑えて景気を良くすることが目的です。そして、その目標というのが物価上昇率2%なのです。
アメリカも利上げしたし、物価上昇率が1%になったらそろそろ利上げを考えるんじゃないですか?
と、こういう感じのことを記者から聞かれて、
『1%になったら』とか、そんな簡単に利上げのタイミングを決められるんだったら誰も苦労しないよ。
と答えているんです。
市場関係者の間では、物価2%というのは非現実的な目標だけど1%位なら好調なアメリカ経済の波及で行くかもしれない。ならば利上げはそれほど遠い話では無くなるよね、という見解が出てきているんです。
数字だけ見ていては失敗する
こういうのって、頭の良い人の悪い癖なんですよね。
数字しか見てないんです。
いくら、物価上昇率が目標に近づいても、それが実を伴うもので無ければ意味が無いです。
利上げはさじ加減が難しいのです。
- 遅ければ、また、利上げが少なければ価格の上昇にブレーキがかからず過度なインフレになる。
- 早すぎると、また、利上げしすぎるとせっかく上向いた景気が減速し、不景気に逆戻り。
少しタイミングと量を間違えば、失敗します。どんなタイミングでどれくらい上げればベストかというのは、やってみないとわからないんですよ。
物価上昇率2%というのはただの数字です。これの解釈の仕方は『まだ遠い』ということだけです。
1%になったら?
この質問は、遠足のおやつは300円までと言う教師に『バナナは入りますか?』と訊く小学生と同じレベルの質問です。
過度におやつを買わせないために定めた金額なんですよね。
算数の得意な子供が大人になり、よりたくさんのお菓子を300円ギリギリまで使って購入する方法に長けるようになっただけだと、千日なんかは思います。
こちら、タイトルからは想像出来ないかもしれませんが参考記事です。
まとめ
ここ最近は住宅金融支援機構の発表は午後3時位だったのですが、今回は早かったです。
つまり、そんなに悩むポイントが無くスンナリ決まったという感じでしょうか。これはアメリカの利上げが既に投資家に織り込まれていたことが要因でしょう。
アメリカの利上げでどうなるか?心配されていた人にとっては良いニュースで良かったです。
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
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