角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#234 「命の選別」・・・厳しいふりして優しい人々。

2018-02-04 06:23:44 | 命―畏れと戦き
(産経新聞1/31大阪6版より)



〈妊娠中の母親の血液から胎児と父親の親子関係をDNA鑑定する「出生前DNA鑑定」を行う業者が、昨年2月時点で少なくとも10社存在することが29日、厚生労働省研究班(研究代表者=高田史男北里大教授)の調査で分かった〉

〈研究班は「母体血による親子鑑定は、誰が親であるかによって命の選別がなされることにつながる」と指摘し、遺伝学的検査の規制の必要性を訴えている〉


いやその、
「胎児と父親の親子関係」を鑑定しなきゃならない状況ってのが、
既に間違っていると思うのだけれども、

ま、今回そこは置くとして・・・


「命の選別」


出生前診断絡みで必ず出てくるフレーズです。

一応、ソレは良くないことだという含みで使っているのでしょうけど、
何だかね、もうすっかり慣れてしまったせいか、とんと響かないんでございます。
少なくともワタクシには。


元来、等しくお腹に宿っている命を
「ならば産みましょう」と「だったら産みません」とに選別する、
の意味なわけで、

後者はつまり、「中絶します」「堕胎します」「殺します」と表現しても間違いでない、
それほど重大な結果を伴う行為です。
(まして「あきらめる」なんて美しい言葉に逃げちゃいけません)


実はこのニュース、
Webの方では1月21日に公開されていて、
そちらでは、

〈研究班は「鑑定技術が生命の選択に関わる領域に進出し、規制を受けないまま事業を展開している」として、規制の必要性を訴えている〉

となってるんですよね。
はてさて、どういう事情なんでしょうか。

*Web産経ニュース:父親が誰かで生まれる前に中絶可能 歯ブラシや吸い殻でOK、男性の同意なく…野放図な「親子鑑定」が危険!
http://www.sankei.com/premium/news/180120/prm1801200020-n1.html


調べてみると、

〈将来的に病気にかかる可能性や太りやすさなどを判定する遺伝子検査ビジネスの実態を調べていた厚生労働省研究班は27日、妊婦の血液に含まれる胎児のDNAから父親を特定する親子鑑定を10社が実施していたなどとする調査結果を発表した〉

〈妊婦の血液で胎児が3種類の染色体の病気かどうか調べる新型出生前検査は、日本医学会が認定した医療機関に限定するなど厳格に運営されている。この親子鑑定は、新型出生前検査と同じ技術を使っていながら、何の規制もない状況。研究班代表の高田史男・北里大教授(臨床遺伝医学)は、「野放図に市場が拡大している」と危機感を示した〉

という記事が、昨年12月28日の段階で出てたりして、
あれあれ、一体この研究の発表ってホントはいつだったの?です。

*YOMIURI ONLINE ヨミドクター:遺伝子検査ビジネス、「妊婦血液で父特定」10社…厚労省研究班調査
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171228-OYTET50011/


ま、そこら辺はね、
そのうち、厚生労働省から調査結果がきちんと出るでしょうから、
どうでも良いと言えばどうでも良いんですが、

使う言葉の端々に、その人なりの倫理観が潜んでたりするので、
会見なのかインタビューなのか分からないけれど、発言の引用は正確にしてほしいですね。
ついでに言えば、安易な見出し付けるのも止めてほしいですわ。


既に手垢の付いた「命の選別」という表現は、最早ヒトに優し過ぎて、
本来、人にとってソレが、言うほど生易しいことではないのだと伝わりません。

現に其処にある命を、普通にしてれば、やがて生まれくる命を、
まだ22週に至ってないという理由だけで(!)、しかも大抵は大人の都合だけで(!!)、
場合によっては殺してしまうのだという重さが、ちっとも伝わってきません。

そんな言葉だけで、何かを言ってる気にならないでほしい。




基本、
暴力行為によるもの(後からセクハラだったっていうのはナシね)、
医学的に母体が危険な状態にあるもの(経済的にっていうのもナシね)、
でない限り、中絶は認めたくない、
というのがワタクシの考えです。

22週に至らないモノは人と認めず、
理由を問わず中絶を認めると言い切るのなら、
それもアリかなとは思います。

ならば、その人でないモノを診断して、
産んだり産まなかったりというその矛盾、欺瞞、傲慢・・・

そんなものは、女性の権利でも何でもない。



と、まあ、
この子は自分の子供だと信じるしかない男性としては、
(いちいちDNA鑑定するのも変だし)ちゃんと産もうよ、って思います。

仮に生物学的に自分の子供でないとしても、
いっそ上手に騙し続けてくれるならソレも良いしね(←ホントか?)。

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

旧優生保護法下での「優生手術」に対する批判の声はかなり大きい。
けれど、同じ「思想」を含んでいるように思える出生前診断とそれに伴う中絶には、人は何故か寛容。
前者は「国が強制した」ことで、後者は「個人が決断した」ことだから?


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