世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●日本から非正規をなくす! 正規の非正規化により実現byABE

2018年02月18日 | 日記

 

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●日本から非正規をなくす! 正規の非正規化により実現byABE

安倍政権は、今国会の最重要課題だとして、「働き方改革国会」と位置づけている。“「裁量労働制」によるワーク・ライフ・バランス”であるとか、「長時間労働の慣行を打ち破る」とか、「同一労働同一賃金」、「働き方に左右されない税制」、“非正規という名をなくす”‥等、さも「働き方改革法案」が、労働者の味方とでも言わんばかりの言い回しで、日経、読売、産経の全国紙に書かせまくった。ニュースバライティーでも、バラ色の働き方に解説が加えられている。

一貫して、「経済保守」の立場を貫いている、安倍晋三とその取りまき連中が、そもそも、労働者の味方になるような法案を提出してくるはずがないのは、「経済保守」と云う立ち位置を理解しておれば、今国会で議論される「働き方改革法案」が、グローバル経済の時代において、国家がとり得る経済保守的な振舞いと云うことだ。つまり、平たく言えば、経団連が儲けやすい日本社会を目指すためのもので、労働者の側に立つ認識はゼロと云うことなのである。

アベノミクス+異次元の金融緩和も、この「経済保守」のイデオロギーが具体化されたもので、大企業を儲けさせろ、いずれは、働く者達にも“おこぼれ”がトリクルダウンするであろう、という論法だ。かりに、トリクルダウンと云う現象が、理論に則して起きていれば、格差社会から、階級社会に変貌しつつある我が国のような現状は起きないわけだ。アメリカは、もっと酷い姿で、階級社会は固定化と増大化を繰り返している。

国境の垣根が、どんどん低くなっていくのが、いわゆるグローバル経済世界なのだが、この流れを徹底的に追求しようと云うのが、日米などのTPPを議論した国々の「経済保守」である。つまり、グローバル経済の中で、成功を修めるためには、“モノ・金”の垣根は取っ払ったのだから、米国がトランプ政権で、移民に歯止めをかけている時代に、“人”の側面に風穴を開けておきたいと云うのが、安倍政権や経団連の心根だろう。

まずは、手始めが「働き方改革」なのだが、日本から非正規をなくすと云う言葉は、裏を返せば、正規を非正規化してしまう、そう云う意味である。手始めが、自国民の労働力を安価に手にすることだが、当然、それだけでは国際競争に打ち勝てないので、次なる仕掛けが必要になる。勘のいい方ならお判りだろうが、最終的には“移民”の開放に行きつくのは必定だ。この辺が、筆者などは、日本会議を含むネトウヨ的思考回路と大きくバッティングするのだが、安倍もネトウヨも、知らずに(騙されて)「働き方改革」を推進しているように思えてならない。

おそらく、グローバル経済世界において、数値上の勝者になろうとするのであれば、安倍が勘違いしながら推進する「働き方改革」は正しい。そして、その流れは、必ず“移民制度”に帰結する。しかし、グローバル経済世界において、数値上の勝者として、少子高齢化を強く抱えた我が国が、米中に敵うはずもない。グローバル経済、そしてそのシステムに依存する「経済保守」な立ち位置は、常に米中の後塵を排する位置づけに甘んじることを意味している。

安倍晋三の頭の中の欧米列強には逆らえぬ「普遍的価値」では、整合性があるのかもしれないが、辺境論としての日本や、アジア人としての日本と云う意味での「普遍的価値」は自ずと異なるものと思考する。安倍の政策は、ことごとく、この長州的負け犬根性の延長線上にある。しかし、あまりにも安倍晋三は、嘘の上に嘘を重ね、どこに本音があったかさえも忘れた馬鹿リスのように、獲物を穴を掘っては埋め、穴をほじくっては、餌がないないと目を泳がせている。働き方改革についての具体的検証は、以下の社説と解説に委ねよう。


 ≪(社説)裁量労働拡大 答弁撤回ではすまぬ  
実際に働いた時間にかかわらず、あらかじめ定められた時間を働いたとみなす裁量労働制の利点を強調してきた安倍首相と加藤厚生労働相が、答弁を撤回しておわびした。根拠とした厚労省の調査データに疑義があると野党に追及されたためだ。
 政権は、最重要課題と位置づける「働き方改革」に裁量労働制の拡大を盛り込む考えだ。今回の事態は、首相らの基本認識にかかわる重要な問題だ。答弁を撤回すれば済む話ではない。
 裁量労働拡大を含む規制緩和に前のめりな姿勢を改め、働く人たちの懸念や不安に丁寧に耳を傾けるべきだ。長時間労働の是正こそが喫緊の課題であるという、改革の原点に立ち返らねばならない。
 問題となったのは1月29日の衆院予算委員会での答弁だ。裁量労働制の拡大は長時間労働を助長し、過労死を増やしかねないと追及する野党議員に、首相は「裁量労働制で働く方の労働時間は、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」と反論した。
 裁量労働で働き方が柔軟になればワーク・ライフ・バランスにも役立つとの認識がある。
 だが、首相が答弁の根拠にした13年の調査は一般的な平均値ではなく、実際の労働時間でもない。比較対象の一般労働者のデータにも様々な不備が見つかり、疑問符がついている。
 同じ頃に労働政策研究・研修機構が行った働く人へのアンケートでは、1カ月間の労働時間の平均は裁量労働制の方が通常の労働より長い傾向にあるとの結果が出ている。
 裁量労働を巡っては、不動産大手の野村不動産で、対象ではない営業業務の社員にも適用していたことが発覚し、是正勧告が出されたばかりだ。
 そうした負の側面には触れず、裁量労働制の拡大が労働者のための改革であるかのような答弁を繰り返す政権の姿勢は不誠実であり、国民を欺くやり方だと言わざるを得ない。
 裁量労働の拡大は、野党が「残業代ゼロ」と批判する高度プロフェッショナル制度の創設とともに、経済界が要望してきた規制緩和策だ。労働側の反対を押し切って政府は15年に国会に法案を提出したが、たなざらしになってきた。
 それを「働き方改革」関連法案の中に紛れこませ、残業時間の上限規制導入など労働側が求める改革と抱き合わせで実現しようとすること自体が問題だ。
 政府は近く法案を国会に出す構えだが、懸念や疑問が強い規制緩和策は切り離すべきだ。
 ≫(朝日新聞2月15日付社説)


 ≪馬脚を現し始めた安倍政権「働き方改革」の正体
ゲスト:上西充子氏(法政大学キャリアデザイン学部教授)
マル激トーク・オン・ディマンド 第880回(2018年2月17日)
安倍政権が目指す「働き方改革」の危険性については、この番組でもかねがね指摘してきた。 (マル激トーク・オン・ディマンド第843回(2017年6月3日)『安倍政権の「働き方改革」が危険な理由』ゲスト:竹信三恵子氏(和光大学現代人間学部教授))
 安倍政権は一貫して労働者を保護するための労働法制の規制緩和を目指してきた。2015年にも「高度プロフェッショナル制度」の導入や「裁量労働制」の拡大などを目指して法案を提出したが、野党から「残業ゼロ法案」と叩かれ、世論の反発を受けるなどしたため、成立を断念している。
 しかし、今国会に提出された「働き方改革」関連法案は、過去に実現を目指しながら挫折してきた労働者保護法制の規制緩和はそのまま踏襲しておきながら、労働側の長年の「悲願」ともいうべき残業時間の上限規制という「アメ」を含んでいるため、過去の「残業ゼロ法案」や「ホワイトカラー・エグゼンプション」のような一方的な規制緩和という批判を巧みにかわすような立て付けになっている。
 実際、安倍首相も今国会を「働き方改革国会」と位置づけた上で、所信表明演説で、「戦後の労働基準法制定以来、70年ぶりの大改革」、「我が国に染みついた長時間労働の慣行を打ち破る」などと大見得を切っている。
 確かに今回一括審議されている8法案の中には、残業時間の上限を設ける労働基準法改正が含まれている。現行の労働基準法にも残業の上限は設けられてはいるが、労使で合意した上で、いわゆる「36(サブロク)協定」を結べば上限を引き上げることができる抜け穴があるほか、サービス残業による長時間労働が常態化していることも否めない。
 しかし、労働法制に詳しい法政大学の上西充子教授は、「上限規制」という言葉に騙されてはならないと警鐘を鳴らす。
 確かに今回の法改正には残業について罰則つきの上限が設けられているが、残業の上限を基本的には月45時間と定めておきながら、例外的に月100時間までの残業が認められ、年間の残業時間の上限も720時間まで認められる。月100時間の残業をするためには、毎日平均して5時間残業することになる。抜け穴が多いとされる現行法でも、残業が年360時間を超える場合には36協定が必要とされていることを考えると、毎日最低でも5時間の残業を前提とするこの上限値で長時間労働の打破と言えるかどうかも、よく考える必要があるだろう。
 しかし、今回の法改正の最大の問題点は「残業時間に上限を設ける」ことで労働側に一定の配慮を見せるかのような体を繕いながら、実際は「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の導入や「裁量労働制」の対象拡大によって、事実上、残業時間の上限自体を無力化させる制度変更が含まれている点だと上西氏は指摘する。高プロや裁量労働は、事実上勤務時間自体に定めがないため、残業が無制限に許容される恐れがある。この対象が拡大されれば、労働基準法上の残業の上限規制など何の意味も持たなくなる。
 しかも、今回、労働組合側は長年の悲願だった「上限規制」が導入されることと引き換えに、事実上の上限規制の抜け穴となる高プロの導入や裁量労働の拡大を含む法改正に同意してしまっている。
 他にも、今回の働き方改革は「同一労働同一賃金」「働き方に左右されない税制」などの文字が並ぶが、その中身は「同一労働同一賃金」の方は非正規雇用者の雇用条件の改善よりも正規雇用者の待遇の低下を、「働き方に左右されない税制」はサラリーマンの所得控除の縮小を意味しているなど、見出しと内実がかみ合わない両義性を含んでいることを、上西氏は指摘する。
 正社員と非正規労働者の待遇に不合理な格差があったり、過労死自殺が後を絶たないような現在の日本の労働環境に改革は必須だ。しかし、その問題意識を逆手に取るような形で、一見労働者の側に立っているかのようなスローガンを掲げながら、実際は労働者の待遇をより厳しいものに変えていこうとする現在の政権のやり方には問題が多い。目くらましのための「アメ」をまぶすことで、その実態を意図的に見えにくくしているようにさえ見える。
 そもそも首相が戦後の大改革と胸を張る「働き方改革」は誰のための改革なのか。今国会の審議で明らかになってきた安倍政権の「働き方改革」の実態と、それが働く者にとってどんな意味を持つのかなどについて、上西氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
 ≫(ビデオニュースドットコム)

http://www.videonews.com/marugeki-talk/880/


≪ 安倍政権の「働き方改革」が危険な理由
ゲスト:竹信三恵子氏 (和光大学現代人間学部教授)
マル激トーク・オン・ディマンド 第843回(2017年6月3日)
「働き方改革」がどこかおかしい。
 「長時間労働の是正」や「非正規という言葉をこの国から一掃する」などと公言する安倍首相の下、新たに設置された働き方改革実現会議で、働き方改革のあり方が議論されてきた。その後、電通の新入社員の過労自殺などもあり、改革に拍車がかかったかに見える。
 確かに、日本の長時間労働は改革が必要だ。日本人の働き方が、なかなか昭和の高度経済成長モデルから抜け出せない中、今や「カロウシ」という言葉は英語でそのまま使われるまでになっている。そうこうしている間に、非正規労働者の比率は4割近くまで増え、正規労働者との賃金格差は拡がる一方だ。労働市場の格差が社会の分断の大きな一因となっていることも明らかだろう。
 しかし、安倍政権が標榜する「働き方改革」には注意が必要だ。なぜならば、これまで労働者の声を代弁する野党が、長時間労働の解消や同一労働・同一賃金などを求めても、経済界の影響を強く受ける過去の自民党政権は一顧だにしてこなかったという歴史があるからだ。特に小泉改革以降の自民党政権では、もっぱら雇用の規制緩和が推進され、現在の格差拡大の要因となっている。
 ポイントは現在の「働き方改革」が、果たして本当に働く人の利益を代弁したものになっているかどうかだ。
 ブラック企業の問題などを働く人の側から取材をしてきた和光大学教授でジャーナリストの竹信三恵子氏は、現在推進されている働き方改革には議論のすり替えがあると指摘する。一見、労働者の利益を代弁しているように見えるが、実際は雇用の規制緩和とセットになっていて、最終的にはむしろ格差を拡げる結果に終わる可能性が大きいというのだ。
 例えば、今年3月28日にまとめられた「働き方改革実行計画」では、残業規制として月100時間未満、2~6カ月の月平均を80時間とした上で、違反企業には罰則を課すことが謳われている。しかし、もしこの数字がそのまま労働基準法に盛り込まれた場合、逆にそこまでなら働かせてよい時間の目安になってしまう恐れがある。そもそも労働時間は現行の労働基準法に定められている1日8時間、1週間40時間が基本のはずだが、上限値を決めることで、かえって全体の労働時間が長くなってしまう可能性さえある。
 同一労働同一賃金にしても、ガイドライン案をみる限り、公正な職務評価の仕組みが確立されていない現状の下では、あまり実効性は期待できそうにない。逆に、それが正社員の給与を下げる言い訳に使われかねないと、竹信氏は危惧する。「多様な正社員」などという理屈で正社員の中にも格差を設ける事で、結果的に正社員全体の給与が引き下げられる恐れがあるというのだ。その結果、企業の思惑通りに働かざるをえない“高拘束の正社員”と、低賃金の非正規の雇用の二極分化がますます進むことになる。
 現在の「働き方改革」は本当に働く人たちのための改革なのか。それが実行に移されると労働市場はどう変わるのか。「正社員消滅」、「ルポ雇用劣化不況」などの著書がある竹信氏と、社会学者宮台真司とジャーナリスト迫田朋子が議論した。
 ≫(ビデオニュースドットコム)

http://www.videonews.com/marugeki-talk/843/

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