世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●嗚呼ああ嗚呼 世界がアベノミクスは失敗の標本と定義づけ 

2016年06月21日 | 日記
シビリアンの戦争――デモクラシーが攻撃的になるとき
クリエーター情報なし
岩波書店


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●嗚呼ああ嗚呼 世界がアベノミクスは失敗の標本と定義づけ 

情けない話題ばかりで厭になる日本と云う国だが、他のお国に、目を転じてみれば、最悪の日本の方が好さそうに見えてしまうのだから、世界、いや、地球が悲鳴を上げているのだろう。漠然と思うだけでなく、具体的に指摘しても良いのだが、日本のネット社会は、政治に関して、ローカル番組の趣が強いので、敢えて話題を、極力国内政治にしている。時折、EUやロシア、中国の話題も振り撒くが、喰いつきが良い話題は、やはり、国内政治だ。ただ、4割以上の人間が、安倍内閣を支持しているとか、“クソノミクス(アベノミクスとも言う)”が、ある程度日本経済に貢献していると評価する人々が、NHKの調査では46%もいるのだから、腰が抜けてしまう。

46%もの国民が、大企業の社員であるわけがないし、累進課税の優遇制度を充分に生かす水準の高額所得者とも思えない。無論、年金受給者の支給額が増えたとか、健康保険の窓口負担額は半額になったとか、ついぞ聞いたことがない。どこをどう見て、大いに評価とか、ある程度評価するなんてご回答が出せるのだろう?俺の頭が狂っているのかと、周囲の人間に聞いて回りたくなる(笑)。NHKを見る限り、内閣支持率は、“冗談ポイ”の47%なのだ。“痘痕もえくぼ”の心境にならない限り、あり得ない世論調査の数値である。しかし、マスメディアが世論調査する限り、似たり寄ったりの調査結果が出てくる。NHKの世論調査が大きく世間と乖離しているとも言い難い。

あまりにもあまりなので、誰か、この世界の七不思議現象を起こさせている、元凶を語ってみたくなる。実際には、「元凶」と名指しできるほど、凶悪犯は存在していない。敢えて指摘するんであれば、経験則で生きていきたい人々の習性、今の世界が変わることを、漠然と怖れる実生活者の弱点があるだろう。そして、生活に追い立てられることにより、この世の仕組みにまで、気が回らない面も検討しなければならない。そこに、垂直統合的な中央集権官僚制がドンと座り、各省庁が其々の省などの益拡張を目指すとなると、実生活者が、それを探り当てるのは容易ではない。

更に、それに輪をかけて酷いのが、マスメディアの存在だ。「社会の木鐸」などと云う言葉は、明治維新以降のマスメディアにおいて、歴史上、実践されることは稀だった。今や、「社会の木鐸」イコール「プロパガンダ・マスメディア」と云う構造になってしまった。“政官財労学”と云う五つの世相を形成する組織が、すべからく“立場主義”に徹した。言論界に、それ相当の大物がいて、世間のご隠居様的立ち位置を持って、中庸の精神で、この世のことを、噛んで含めるような解説をする人物も見当たらない。それらしい装いをする奴はゴマンといるが、どいつもこいつも偽物だ。長谷川幸洋とか古市ナンとか等典型だろう(笑)。

まあ、このような社会構造が出来上がり、世界的に見れば、まだまだ充分に平和で豊かとなると、飢餓に依る革命も、生命財産を守ろうと云う革命も、宗教上の原理主義に反するからという革命も、革命と名のつくものは起きにくいのが現状だ。「革命」と云う言葉が不穏当であれば、「変革」でも良いのだが、それすら悍ましい言葉になっている。垂直統合的な中央集権官僚制と社会主義の“良いとこどり国家”の運命は、おいそれと、方向を変えさせるのは困難なのようだ。敗北的だが、“ゆで蛙”一丁上がりが、行きつく先のように思えてきた。“捨て台詞”ではないが、コラムを書くのも、馬鹿々々しくなる。以下に、世界のIMFやその他諸々から、“クソノミクス(アベノミクスとも言う)”がぼろ糞に言われている事実を、NHK他、テレビ局は報道せよ!


≪ IMF  アベノミクスの目標「達成困難」…報告書
国際通貨基金(IMF)は20日、日本経済に関する報告書を公表した。安倍晋三政権が目指す経済成長や財政健全化の目標は、現状のままでは「期限までには達成困難」と指摘。外国人労働者の受け入れなど構造改革の着実な実施を求めた。
 IMFは報告書で「アベノミクスは当初成功を収めた。しかし、景気回復は失速した」とした。高齢化や人口減で国内市場が縮小しているほか、賃上げが十分波及していない点を問題視し、「労働市場の改革と所得政策が重視されるべきだ」として、外国人労働者の受け入れや賃上げなどを提案した。
 また、首相が消費税増税を再延期したことについて、東京都内で記者会見したリプトンIMF筆頭副専務理事は「(増税で経済が)収縮してしまう」と理解を示す一方、「今後の確実な実施が肝要」と強調。財政再建に道筋をつけるため、毎年0.5〜1%の幅で少なくとも15%まで引き上げるべきだと訴えた。 ≫【毎日新聞:小倉祥徳】

上記、IMFの記事は、IMFの本質論を抜きに解釈してしまうと、日本の良さをすべて捨て、安倍晋三が口癖のように語る「国際社会」、「普遍的価値」と合致するが、それは、日本人に、欧米人になりなさい。英語を公用語にしなさい。アメリカのような移民国家になりなさい。第一の債権国なのだから、世界の金融に貢献しなさい。開かれた多民族国家なりなさい。まあ、極論で解釈すれば、そう言っている(笑)。そして、徹底して開かれた国を目指し、社会主義的色彩の強い社会保障制度等々見直さなければならないし、消費税は15~20%を目指すべきと諭している。半分は、IMFの説教強盗的言説だ。

今夜の目玉引用文は、勝見貴弘氏が「Japan Times(日英併記)」を緊急和訳してくれた労作を紹介する。題名は「アベノミクスが失敗した理由」である。勝見氏は、訳者あとがきで、以下のように言っている。同氏のあとがきに続き、ジャパン・タイムスの記事を続けて紹介しておく。

 ≪【緊急和訳】アベノミクスが失敗した理由 |Japan Times(日英併記) ―訳者あとがき
実は最初にこのオプエドを読んだとき、和訳のタイトルは『ジャパンタイムズのオプエド記事がアベノミクスをオワコンと酷評』としようと思った。実際、どう読んでもそういう内容なのだが、まあそれではバイアスがあり過ぎるかと思い、原題をそのまま訳すことにした。
しかしコラムのエッセンスは、 「アベノミクスはオワコン」で間違いないと思う。 これまで『エコノミスト』や『フィナンシャルタイムズ』等がたびたび、当初の評価を翻してアベノミクスを叩いてきたが、ここまで辛辣なのは初めてお目にかかった。
著者はBarron's Asiaというアジア投資情報誌のエクゼクティブエディターだという。つまり「投資観点」からのアベノミクス批判といっていいのだろう。 経済や株取引にまったく疎い私にはこのバロンズの価値は全くわからないのだが、WSJ日本語版が専用ページを設けているくらいだからそれなりの信頼性はあるのだろうということは、今回の辛辣なアベノミクス批判は重大ということだ。
そのバロンズのサイトで著者のページを探したら、あった。どうやらこの4/1付の会員向け記事をジャパンタイムズ(JT)はオプエドとして掲載したらしい。これで、バロンズの記事が突如JTに掲載された経緯はわかった。
執筆記事一覧を見ていると、このペセックという記者はアベノミクスについてずっと追い続けてきた記者のようだ。どうりで、日本の政情をよく把握している。よもや海外誌で「保育園落ちた日本死ね」の英訳を見るとは思わなかった。
匿名の主婦さん、あなたはもう世界の有名人ですよ。 「女性の輝く社会」を目指す安倍政治のスローガンの空虚さも、ペセック記者はよくわかっているようだった。
つまり、投資情報誌の編集責任者の立場にある人間が、ウーマノミクスの虚構を看破しているのだ。
さて、そんな観点から投資情報が流れると日本株はどうなるだろうか。 ペ セック記者ははっきりと"con"(ペテン)と書いているのだが、日本国民が感じる以上に、投資情報誌の人間がアベノミクスを「ペテン」だと思っているということは、投資界隈ではアベノミクスの化けの皮はとっくに剥がれているということだ。
これではたしかに、G7では「恥をかく」だけだろう。 も う一つ、ペセック記者が記事を通じて使っていた気になる言葉があった。"ruse"(策略)という言葉だ。彼にいわせれば、TPP加盟も「策略」の一環な のだという。
はて、誰を相手に策略をめぐらしているのだろう。他でもない私たち国民だ。経済に疎い私でもアベノミクスの虚構はわかっていた。 ク ルーグマン教授が『現代ビジネス』(注:『日刊ゲンダイ』は株式会社日刊現代のブランド。『現代ビジネス』は講談社のブランドです)で語ったように、アベ ノミクスは理論上は模範的な政策であるが、結局絵に描いた餅で、市場・消費者という生きた要素に左右されるため計算に狂いが生じると脆い。
ク ルーグマン教授が先月22日の『国際金融経済分析会合』で語ったように、アベノミクス三本の矢の二本目の矢は実は未だ「放たれていない」。つまり、理論上 であっても、二本目の矢が放たれていないならアベノミクスは少なくとも「機能不全」あるいは「不完全燃焼」な状態にある。 に もかかわらず、安倍政権はまず「新三本の矢」を打ち出し、更に、緊急経済対策として新たにもう3本の矢も打ち出すという。最初の三本の矢を打ち終わらない うちに、未完成品を世に出してからパッチで文字通りつぎはきする某大手OSのごとく、補完品を都度出していくということだ。
でも「失敗」は断固として認めない。 製品、完成した政策として打ち出したものに、後から前の製品が未完品でしたということを認めずに、次から次に新製品を打ち出す。まさにペテン商法である。
そんな安倍政権のruse(策略)は、生きた市場の原理により脆くも崩れ去った。それをクルーグマンも、ペセックも認めろと言っている。
できることがない訳ではない。それは、ペセック記者も認めている。単に過 ちを認め、軌道修正すればよいだけだ。だが、安倍政策チームの誰ひとりとして、これを行おうとしない。
政府の政策担当が一蓮托生で責任をとるのはいいが、 無能な政府の失敗のしわよせを国民が受けるのは勘弁してほしい。
私が当初、この記事を読み始めて感じたとお り、ペセック記者のような投資界隈の住人は、すでにアベノミクスは「オワコン」であると、もう見限っているのだろう。怖いのは、日本の企業もそうであるならば、では労働者は大企業やその下請けの中小でないかぎり、ペテンの博打の利益を享受できなくなる。
そうなるともう、泣き面に蜂だ。
結局、安倍政権の壮大なペテンの最大の犠牲者は、労働者であり、消費者であり、家庭であり、学生であり、そしてそんなアベノミクス後の荒んだ世界で子どもを育てなければいけない母親であり、その子どもなのだろう。まったくやりきれないものだ。  ≫(勝見貴弘氏facebook)


 【緊急和訳】アベノミクスが失敗した理由 |Japan Times(日英併記)FB版
【 2016年4月1日、3月22日の国際金融分析会合に伴うポール・クルーグマン、ジョセフ・スティグリッツ両教授の訪日に加え、クルーグマン教授が会合の議事録を公開したのを受け、投資情報専門誌『バロンズ』アジア版エグゼクティブエディターが同名の記事を会員専用記事として掲載した。4月4日、ジャパンタイムズが内容を若干変更してオプエドとして同じ記事を掲載。以下Web版でこれを発見して急きょ和訳した。】

アベノミクスが失敗した理由 ウィリアム・ペセック("Barron’s Asia"エクゼクティブエディター) Japan Times オピニオン 2016.04.04 Abenomics failure explained by William Pesek Apr 4, 2016

先日東京を訪問した二人のノーベル賞受賞者は、安倍晋三首相にこう訴えた。 「デフレに苦しめられている国民に増税を課すなんて常軌を逸したことはやめてください」
In recent Tokyo visits, two Nobel laureates pleaded with Shinzo Abe: Please don’t be crazy enough to raise taxes on your deflation-plagued nation.

クルーグマンやスティグリッツが実際に説明したのは、なぜ首相の経済政策がここまで劇的な失敗を迎えたのか、そして、首相の顧問らが、将来にわたって日本に何の益ももたらさないドグマにしがみつくことで、失敗をダメ押ししてしまっていることだった。
What Paul Krugman and Joseph Stiglitz really did was explain why the prime minister’s economics program has flopped so spectacularly, and how Abe’s team is doubling down on failure by clinging to dogma that has no place in Japan’s present or future.

景気刺激策さえうまくいけば、80年代の日本の栄光を取り戻すことができる――アベノミクスがこのように一部の報道で今も健在する課題であるかのように扱われるのは、まさに安倍の熱心な"営業努力"の賜物だろう。だがペテンはペテンに過ぎない。
It’s testament to Abe’s salesmanship that some media still speak of Abenomics as a going concern — just one solid stimulus from restoring Japan’s 1980s greatness. But a con is a con.

安倍の策略に最初のほころびが現れたのは、2014年4月。政権が消費税を5%から8%に引き上げた時だった。国の巨大な負債をなんとか抑制することが重要だった。それは理解できる。しかし、そんな"些細な動き"一つでも国の成長の芽を摘んでしまうことがわかった時点で、安倍はこれを重く受け止め、大局を見つめて軌道修正を図るべきだった。
The first real crack in Abe’s ruse came in April 2014, when his government raised the consumption tax to 8 percent from 5 percent. Sure, getting a handle on the nation’s gargantuan public debt is plenty important, but that such a modest step killed growth prospects should’ve been signal enough that Abe needed to think bigger and recalibrate policies.

ところが安倍は、クルーグマンやスティグリッツから経済学のイロハを学ぶことになる。
Amazingly, Krugman and Stiglitz had to spend their time with Abe trying to teach Economics 101.

どうやら安倍には、アメリカの大恐慌時代にフーバー大統領が後世に遺した「間の悪い緊縮財政」の教訓は伝わっていなかったようだ。来年さらに消費税を2%引き上げることに固執するのは、「日本株式会社」をさらに委縮させ、賃金の上昇率も低下させるだろう。
Didn’t Herbert Hoover, America’s Depression-era leader, teach posterity enough about ill-timed fiscal tightening? Insisting on a further 2 percentage points of sales tax next year is just pushing Japan Inc. toward more austerity and fewer wage increases.

この後退的な税をめぐる劇的な展開は、まさにアベノミクスの最大の欠点を突いている。それは、想像力の欠如だ。安倍の政策チームは、金融緩和、財政拡大と規制緩和という三本の矢により、現金を溜め込んでいる企業に賃金の増大を促そうとした。これにより消費が拡大し、景気の好循環が起きて経済が再生し、インフレが発生し、企業活動が活性化して、G7で日本政府首脳は胸を張って報告できる状況が現出している筈だった。
This retrograde tax drama exposes Abenomics’ biggest flaw: a lack of imagination. With its three arrows — monetary stimulus, fiscal pump priming and deregulation — Abe’s team aimed to goad cash-rich companies into fattening paychecks. That would boost consumption, triggering a virtuous cycle of economic revival, inflation, greater entrepreneurship and more swagger when Japanese officials walked into a Group of Seven meeting.

ところが、安倍政権のイノベイティブなパワーを取り戻そうとする策略には、まさにイノベイティブな思考が欠けていた。たとえば、日本の国債がこれ以上格下げされないように、成長に影響しない分野で増税するとか。たばこ税を三倍増しにして、日本をたばこ天国でなくすとか。スティグリッツが奨励する炭素税なんかはどうだろう。相続税を上げれば、格差を是正できる。急騰する2020東京五輪の予算は無論のこと、無用の長物でしかない公共事業費も見直すべきだろう。それから、そろそろ高級官僚もエコノミーでフライトしてもいい頃だろう。
But Tokyo’s plan to regain its innovative mojo lacks, well, innovation. To save Japan from another credit downgrade, why not hike taxes in places that won’t deaden growth? Why not triple tobacco levies and turn Japan into less of a puffer’s paradise? How about a carbon tax, something Stiglitz favors? A hike in inheritance taxes, meanwhile, would reduce inequality. A review of white-elephant public works projects is in order, to say nothing of a tighter lid on runaway budgets for the 2020 Tokyo Olympics. And, what, government bureaucrats can’t fly economy class now and again?

アベノミクスには。現実を直視する力に欠けるという問題が常につきまとった。日本が患っている症状(デフレ圧力)の治癒を図ろうとする一方で、その根本原因(将来への圧倒的な不安)の治癒を怠ってきた。だから、日銀の前代未聞の造幣努力も、家庭ではなくヘッジファンドを潤すだけに終わった。だから、「日本版シリコンバレー」を造り起業ブームを発生させるという目論見も不発に終わった。だから、外資はこぞって日本に投資しようとしない(「シャープ」を買収した鴻海を除いて)。だから、三重県で来月行われるG7サミットで日本政府首脳は、胸を張るよりも恥をかくことになる。
Abenomics has long had an intellectual-honesty problem. It sought to treat the symptoms of what ails Japan (deflationary pressures) and not the underlying illness (a complete lack of confidence in the future). That’s why the Bank of Japan’s unprecedented yen-printing program enriched hedge funds, not households. It’s why pledges to create a Japanese Silicon Valley and unleash a startup boom amounted to swamp gas. It’s why, with the exception of Foxconn Technology buying Sharp, foreign buyers aren’t rushing to Japan. And it’s why the upcoming May G-7 meeting in Mie Prefecture will engender more embarrassment than swagger for Japanese officials.

安倍のチームが大変な労力と時間をかけた環太平洋連携協定(TPP)も策略の一部だった。クルーグマンが昨年5月22日のニューヨークタイムズのコラムに書いたように、「自由貿易のメリットなどというものは、ほとんどすべて実現している」のであるから。さらにクルーグマンは、オバマ大統領が推進する貿易協定がその実、「貿易協定」ではないことを看破していた。すでに低い関税がいくらかさらに下がるだけで、協定の真の目的は知的財産権(製薬の特許料や映画の著作権等)の強化にあり、「企業と国の紛争解決のルールを変えることにある」と。
The Trans-Pacific Partnership on which Abe’s team spent so much time and energy is part of the ruse. As Krugman wrote in a New York Times column last May 22: “Whatever you may say about the benefits of free trade, most of those benefits have already been realized.” Besides, he argued that U.S. President Barack Obama’s trade deal isn’t really about trade. Some already low tariffs would come down, but the main thrust of the proposed deal involves strengthening intellectual property rights — things like drug patents and movie copyrights — and changing the way companies and countries settle disputes.”

企業が「祭り」といえるほどの恩恵を被るこの協定では、ソニーやトヨタなどの大企業の収益を押し上げるかもしれないが、「将来の不安」がつきまとうならば、積極的な賃上げはしないだろう。安倍は関税の撤廃を徹底して進めるべきであり、企業を助成金漬けにしている場合ではない。
This corporate land grab would boost profits at Sony and Toyota, but what does it matter if they lack confidence in the future to hike wages? Abe should be cutting trade tariffs across the board, not piling on the corporate welfare.

女性を「希望の星」として担ぎ上げるのも、安倍のペテンの特徴だ。1億2600万人の半数を占める”未活用”の人材を「輝かせる」という安倍のスローガンは、父権社会の日本に一石を投じる政権のセールスポイントとなった。2020年までには女性が役員の3割を占めるという目標もそうだ。
Abe’s con also cast women in a starring role. Making the underutilized half of a 126 million-person population “shine” made for a great talking point in patriarchal Japan. So was setting a goal of women holding 30 percent of management positions by 2020.

ところが、安倍の内閣はその模範を示しているとは言い難い。内閣の枢要なポジションは男性が占め、女性は格下のポジションが得られないでいる。政府全体も2020年目標に15年は遅れを取っている。霞が関では、女性は上級管理力はおろか中級管理職でもわずか6%しか占めていないのが実情だ。
Too bad Abe hasn’t led by example. In his Cabinet, women get only the lesser Cabinet posts. What’s more, the government is running at least 15 years behind schedule on that 30 percent pipe dream. Women hold just 6 percent of junior supervisory jobs in the bureaucracy, never mind top ones.

日本に蔓延するセクシズムの文化は安倍以前の時代からの問題だが、1955年以降、安倍の率いる自民党は2回しか政権を降ろされていない。ならば、女性のエンパワメント政策が進んでいないのは、自民党の責任ということになる。その一因は、人口が減少し続けていることと、それに伴って子どもをつくろうという [女性の] 意欲が減退していることにある。
While Japan’s sexism woes predate Abe, his Liberal Democratic Party has held power with only two brief interruptions since 1955. You’d think it would’ve gotten around to empowering women. That failure is partly why the population is shrinking along with the will to have more babies.

安倍の自民党がまったく理解しようとしないのは、多くの賢明で野心的な女性が [結婚して] 子どもをつくらないことを選択するのは、「女は家庭を守るもの」という [古臭い] 考え方を奨励する現体制への反発があるからだということだ。
What Abe’s LDP has never understood is that for many smart and ambitious women, delaying childbirth is a form of protest against an establishment that favors them at home keeping house.

最近、「保育園落ちた日本死ね!!!」と題したある主婦のブログが大量に拡散され、安倍を窮地に陥れた。政府は慌てて、家庭と仕事のワークライフバランスを保つために必要な基本的な施策を用意しはじめた。
In recent days, a blog post gone viral from a mother titled “I couldn’t get day care, die Japan!” pushed Abe on his back foot. His government is finally scrambling to provide women with the basic ingredients to balance family and career.

「子育て支援」が新たな三本の矢の一つとして矢筒に加えられたため、国債に関する懸念が再浮上してきた。つまり、2017年の税引き上げを実現する圧力が強まったということだ。安倍としては面子を保つためにも延期はしたくない。しかし毎日新聞が先日の社説で述べたように、「仮にどうしても増税できない状況だというのなら、アベノミクスの失敗を認めるのが先 」だろう。
As Abe pledges “child-rearing support” as one of three new arrows to his quiver, concern over the national debt are returning to the fore. That means pressure to stick to the 2017 tax hike. Abe is also loath to delay it for fear of losing face. As the Mainichi Shimbum wrote in a recent editorial: “If Abe is adamant that the current state of affairs do not allow for a tax hike, then he must first admit that Abenomics has failed.”

悲惨なのは、安倍自身が国会での圧倒的な優位や、高い支持率や、稀にしか得られないチャンスをすべて無駄にしてきたことだ。過去39か月の間に、労働市場の緩和や事業立ち上げ(?)の規制を緩和し、関税障壁を撤廃し、企業の島国文化を矯正していれば、成長は加速していたかもしれなかった。会社経営陣は賃上げをする余裕を持っていたかもしれなかった。国債の信用格付も回復していたかもしれなかった。
The real tragedy is that Abe squandered solid Diet majorities, high public approval ratings and a rare window of opportunity. If his team had spent the last 39 months loosening labor markets, cutting red tape for startups, lowering trade barriers and shaking up an insular corporate culture, growth might be accelerating — giving executives more space to raise wages and convincing credit-rating companies Tokyo can manage its finances.

しかし安倍は、過去25年間ほとんど賃上げを経験していない家庭に税の負担を強いることに重点を置いた。安倍の円安政策の最大の恩恵を被ったトヨタにしてみても、先週木曜に迎えた期末決算では2兆円の収益を出す見込みがありながら、月給は1500円しか上げない。
Instead, the focus is on hiking taxes on households that have barely had a raise in 25 years. Take Toyota, one of the main beneficiaries of Abe’s weak-yen policy. It’s expecting to make about ¥2 trillion in the fiscal year that ended Thursday, and yet Toyota is raising monthly pay a whopping ¥1,500.

経済政策の策定には、自ら「ヒポクラテスの誓い」を立てるくらいの矜持が必要だ。2014年に増税に踏み切り、これをまた行うというのであれば、日本の将来への不安はまさに「いまそこにある危機」として現出するだろう。
 Economic policymaking must include its own Hippocratic Oath. By hiking taxes in 2014, and threatening to do so again, Japan is doing clear and present danger to confidence.

アベノミクスの自爆を認めるために、二人ものノーベル賞受賞者を呼ぶ必要はなかった。 自分の鏡を見つめ直せば済む話だったのだから。
Tokyo shouldn’t need a couple of Nobel winners, just a look in the mirror, to explain why Abenomics bombed.

*東京で活動するウィリアム・ペセック(William Pesek)は、主にアジア経済に関する記事を執筆する、投資情報専門誌『バロンズアジア』のエグゼクティブエディター。 http://www.barrons.com/asia Based in Tokyo, William Pesek is executive editor of Barron’s Asia and writes on Asian economics. www.barronsasia.com  ≫(勝見貴弘氏facebookより引用掲載)

https://www.facebook.com/notes/%E5%8B%9D%E8%A6%8B-%E8%B2%B4%E5%BC%98/%E7%B7%8A%E6%80%A5%E5%92%8C%E8%A8%B3%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%8C%E5%A4%B1%E6%95%97%E3%81%97%E3%81%9F%E7%90%86%E7%94%B1-japan-times%E6%97%A5%E8%8B%B1%E4%BD%B5%E8%A8%98fb%E7%89%88/966379090082502


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2 コメント

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Unknown ( 武尊)
2016-06-21 12:48:41
官僚はエコノミーと鏡を見つめ直せ、がキモですね。
特別会計改革と自己改革。
両方とも出来ないから、迷走している訳で。
国民の内投票に「行ける」余裕のある人間も意識改革しなきゃいけないんですが、ドップリ利権に浸かってるんでねェ、変える気なしですわ。
保育園落ちた人も、おにぎり食べて死にたかった人も選挙に行ってる暇ない。当日は寝て翌日以降に備えるんで精一杯、、。
財務官僚はそれでも「国民を甘やかしてはいけない」と宣う国(怒)
革命しか残る道無し状態かも(笑)
Unknown (こういう事でしょ?)
2016-06-21 20:59:41
世論調査の数値である。 ×
世論操作の数値である。 ○

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