世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●内閣支持率急落後の政局 総辞職なのか、解散総選挙なのか

2018年04月22日 | 日記
断罪~政権の強権支配と霞が関の堕落を撃つ 次世代への日本再建論~
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●内閣支持率急落後の政局 総辞職なのか、解散総選挙なのか

安倍首相の訪米は、与党内では、一定の評価を得ているらしいのだが、どこに、そのような評価すべき要素があるのか、筆者には見当もつかない。米朝会談時に、拉致問題も必ずテーブルに乗せると云うリップサービスに近いトランプ大統領の言葉を真に受けるのは早計すぎる。勿論、なにもしないとは言わないが、箇条書きの要望の一節に、書き足される程度の扱いで、何も解決してくる、と言ったわけではない。言うだけなら、アントニオ猪木氏でも出来る範囲の話に過ぎぬ。

安倍首相は、トランプ大統領に対して、TPPへの参加を促したが、「TPPは好かん、FTAが好きだ」とトランプに即座に言われ、嗚呼、そうですかと応えるのが精一杯だった。同等互恵の貿易関係を望むと云うことは、今後は、保護貿易主義で行きましょうと言われたのと同じことで、藪蛇の典型になってしまった。しかし、安倍の頭に、独立国の主権意識があったならば、「FTAで同等互恵の貿易関係も良いでしょう、しかし、それならば、日米地位協定も見直し、ドイツやイタリア並みに同等互恵に修正しましょう。」そのくらいの抵抗はすべきではないのか。しかし、唯々諾々、早速FTAでと同意した。

黒田日銀に異次元の金融緩和をさせて、マネーを倍に増やし、株価をつり上げ、円安為替誘導を行い、輸出製造業を後押ししてきた政策は、半ば頓挫した。なぜなら、円安政策で輸出製造業を後押しし続ける代りに、何かを米国から輸入しなければならなくなるのだから、国家経済的にはプラスマイナスゼロの世界だ。マイナスの多くは国民の税金で賄われ、プラスの利益は企業の内部留保になるのだから、今以上に、国民にとっては踏んだり蹴ったりの日米FTAになるのは必定だ。

つまり、今回の安倍訪米は、気のせい程度のプラスと、確実なマイナスを約束してきたようなものだ。トランプは保護貿易だと言い、安倍は自由貿易だと言い、二人は握手し肩を叩き合って、そうだそうだと言ったようなもので、二人とも何も判ってはいない。そうなると、やはり、すべては内政の問題に限定される。モリカケ問題もさることながら、いま最もホットな政局は、福田事務次官のセクハラ問題に対する、麻生財務相の社会的センスの欠如問題と云うことになる。“総理、カップヌードルの値段知っていますか?「400円?」”とヘドモド答弁した通り、この人の社会的センスは、折り紙つきに悪い。

世間を知らないのは安倍も似た者同士だが、吉田と岸では格が違うのだが、麻生太郎は何故か安倍晋三の後塵を常に排しているのは、なぜなのだろう?ひとつには、人当たりの悪い麻生と、人当たりのいい安倍と云う対比が可能だ。助けてやりたくなる安倍、足を引っ張りたくなる麻生と云う対比も可能だ。当選回数では、麻生の13回に、安倍の9回だ。選挙区は麻生が福岡、安倍が山口だ。安倍は神輿になりやすいが、麻生はなり難い。親分肌の麻生と、ボンボン肌の安倍という対比だ。酒席などを共にすると、安倍の人懐っこい性格は同席者を和ますが、麻生は威張りたがる。

結局、吉田の孫と云うだけが取り柄の麻生に対して、安倍の方がポピュラーな人気があるようだ。若い自分の顔つきは、安倍が70点、麻生が40点と云うところか。最近の、とどめは、16年10月の鳩山邦夫氏の死去による福岡6区の衆議院補欠選挙で、麻生・古賀陣営対菅官房長官陣営の死闘で、菅が推した鳩山二郎氏が当選、菅・麻生対決は菅に軍配が上がった。このことで、麻生の永田町での力は決定的に削がれたと言われている。

上記のような事情で、第一次安倍政権のように、麻生が安倍からの禅譲を受ける可能性はないわけで、キングメーカー的存在以上になれない状況になっている。安倍自民では、山口県同郷の高村が死なない限り、副総裁の名誉職も望めない。麻生にしてみれば、安倍内閣が続く限り、菅に一矢を報いることも出来ず、後塵を排して続けるのは既定路線だ。実質麻生派を立ち上げているが、第二派閥というものの、急ごしらえで、結束力に欠ける。まあ、キングメーカー的地位と派閥から人事で優遇という範囲だ。

正直、此処ここに至って、漸く辞任では、あまりインパクトもないので、安倍政権内での一蓮托生の後に、勝機を見出そうとしている可能性はある。徹底的に安倍内閣で粘り、強がりと、憎まれ口を叩き、世論への鈍感さを露呈して、あわよくば、安倍内閣の早期退陣を、サポートしようと企んでいるかもしれない。このように考えると、麻生がみずから辞任する案は消える。では、安倍や菅が、麻生を切るだけの勇気があるかと云う問題だが、現状ではドミノ倒しが怖くてそれも出来ない。

ここに来て、財務省の大失態の連続は、当の財務大臣麻生太郎にとって、菅らを自滅させる千載一遇のチャンスともなっている。そもそも、もう麻生の内閣総理大臣の目はないわけだから、フリーハンドのキングメーカーになれるチャンスが、自らの任命責任やナンセンスな判断で転がりこんできたのだから、意外に麻生はご機嫌かもしれない。

仮に、巷で言われているように、内閣支持率の急落が、安倍内閣の総辞職だけだった場合、麻生の立場は派閥力学上優位だ。解散総選挙になった場合は、案外あっさりと、自民党下野の可能性もあるので、安倍自民は短絡的に解散には飛びつけない可能性がある。当然、憲法改正は遥か彼方に吹き飛んでしまう。さて、永田町の流れは一寸先は闇、どうなるのか酷く愉しみだ。毎日新聞は社説で、以下のようにまっとうな見方をしている。筆者の考えは、遊びすぎかもしれないが、まぁブロガー的でいいだろう。


≪混乱極める財務省 政治家が責任を取る時だ
 森友学園への国有地売却と関連文書の改ざん問題で大揺れになる中、財務省の福田淳一事務次官がセクハラ発言問題で辞任を表明した。
 税と予算を担当する強大官庁の混乱は収まる気配がない。しかもこうした時こそ麻生太郎財務相ら政治家が自ら収拾に乗り出すべきなのに、対応は後手後手に回っている。
 なぜ、こんな事態に陥っているのか。やはり「政と官」双方が自らの保身に走り、責任を取ろうとしないからだろう。
 セクハラ問題では、テレビ朝日が、被害を受けたのは同社の女性社員だったと発表し、週刊誌報道の内容を認めた。ところが福田氏はその後も「セクハラに当たらない」と否定し、報道で騒ぎになって仕事にならないから辞めると言わんばかりの説明を繰り返している。
 財務省は被害女性に名乗り出るよう呼びかけるというお門違いの対応に出て火に油を注いだ。麻生氏もなお福田氏をかばっているようだ。
 野党は麻生氏の辞任を求めて、国会審議を拒否している。政治全体が今、混乱の極みにある。
 麻生氏は改ざん問題の調査を終えて自ら決着をつけた段階での辞任を考えているのかもしれない。そこには辞任後も自民党内で発言力を保ちたいとの狙いが透けて見える。
 しかし森友問題では財務省が学園側にうその口裏合わせをしようと要請していたことなど新事実が次々と発覚し、信用は既に失墜している。麻生氏の下での改ざん問題の調査に国民はどこまで納得するだろうか。
 佐川宣寿氏の後任の国税庁長官も決まらない異常事態である。泥沼を抜け出すためには早急に人心一新を図る必要がある。
 一方、安倍晋三首相は福田氏の早期辞任を望んでいたというが、対応は鈍かった。秋の自民党総裁選で協力を求めるため麻生氏には遠慮しているのだろうか。麻生氏が辞任すれば、次は首相の責任論につながるのも避けたいのだろう。そんな政治的思惑を優先する姿勢が逆に政権の統率力を鈍らせているように見える。
 首相は「行政のトップとして一つ一つの問題に責任を持って全容を解明し、ウミを出し切る」と語った。そのウミは「政と官」双方にたまっていると言うべきである。
 ≫(毎日新聞018年4月21日付社説)

 

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