おばばの独り言 from Another World

なんかのご縁で中国の福建省へ。
そして今度はデカン高原の小都市へ。
そして日本に帰って、今はきまぐれな野菜作り!

毎日 トゥルゥ語と、カンナダ語と、ヒンディー語と、英語と、日本語

2016-06-04 20:50:23 | インド


私の勤めている事務所は総勢20人ぐらいだが、使われているという言葉は、トゥルゥ語、カンナダ語、ヒンディー語(ウルドゥ語)、英語、そして日本語の5つだ。悲しいかな、私はトゥルゥ語だか、カンナダ語だか、ヒンディー語だか、聞いても分からない。どれも同じに聞こえる異国の音だ。

トゥルゥ語は、この会社に入って、お互いマンガロールで育ったことがわかったというL君とN君が、二人で話すときに使う。マンガロールではこの言葉が話されているという。

カンナダ語は、ここカルナータカ州の公用語で、ここの子どもたちは学校に入ってから習うが、入る前から知っているそうだ。事務所ではほとんどの人が話せるので、これが使われていることが多いらしい。

ヒンディー語は、インドの国語で学校で教えられる。ここカルナータカ州で育った人でも、読み書きはできるらしいが、その習熟度は人によって違うようだ。D君は、自分のヒンディー語は"Not full(完璧ではない)"と言っていた。

北部から来て、ここではたったひとりのヒンディー語母語話者のB君がつぶやくのを聞いたことがある。「あの人はカルナータカ出身なのに、完璧に近い発音でヒンディー語を話す。どうしてだろう。」つまり、インド国民の多くの人がヒンディー語を話すが、母語でない人は、うまい人もいれば、そうでない人もいるということだろう。


英語は旧宗主国イギリスの言葉で、敵性語(?)のはずだが、公用語として広く使われているという。ヒンディー語を国語にすると、母語話者が有利になるというので反発が強く、英語も公用語にされたと読んだ覚えがある。ガンジーも演説するとき、ヒンディー語ではなく、英語でしたという。

かくて、インドでは北ではヒンディー語が優勢、南では英語がよく通じるそうである。よく通じるとはいっても、各人の母語によってか、彼らの話す「英語」は、始めから英語に聞こえて、わたしにもよく分かるものもあれば、最後まで英語だったと気がつかないのもある。
スペルで"R"だと必ず「ルッ」と巻き舌にする人もいて、初めは聞いていて目が(耳が?)回るようだった。"circle"を「シルクル」とか「ツィルクル」、"party"を「パルティー」とかいうのである。

またスペル通りに発音して、"ou"をすべて「オウ」と読む人も多い。"now"は「のう」、"out"は「オウト」、"noun"は「ノウン」、"allow"は「アロウ」など。

いつぞやは、授業中、夏の食べ物の話になって、「ククンバル」を食べるかと聞かれて、「ククンバル?、食べたことがない。」と答えてひどく驚かれた。「ククンバル」は"cucumber きゅうり"のことだったのだ。確かに、「ククンバル」と読めるなあ。「ああ、cucumber(キューカンバー) ね。」とつぶやいたら、一番年上のR君が聞きとがめて、持っていたスマホで調べて、私の発音の方がセイトウな英語の発音だと気がついたようだ。
それで、「先生、僕たちに、日本語だけではなく、英語の発音も教えてください。」と頼んできた。教えてあげたいけど、私は"cucumber"以外は英語の発音にはあまり自信がないのよね。

日本語は、昨年の8月に私が来てから、日本語の授業中以外でも使われ始めた。もちろん社員たちの日本語はたどたどしいカタコトだが、いったん日本語で話し始めたら、最後まで日本語で通そうとする。こういう姿勢が「話せる人」を作り上げるのだと、いつも感心している。


この5つの言葉がとびかうわが事務所だ。たとえば、L君の場合、
同郷のN君とはトゥルゥ語、
B君とT君と私を除いた他の社員とはカンナダ語、
北部出身のB君とはヒンディー語か英語、
ケララ州出身で、カンナダ語がわからなく、ヒンディー語も話さないT君とは英語、
私とは英語か日本語となる。
なぜかわからないが、支店長とは英語だそうだ。支店長はカルナータカ州出身でカンナダ語を話すのにである。
たまにやる全員参加の朝礼は、みんなの共通語の英語でやる。

たぶん、この5つの言葉が全部完璧に読み書きできるというのではないのだろう。あいさつや買い物には使える程度から、ちょっとした交渉ごとぐらいならこなせる、口でけんかしても負けない、完璧な公用文書が書けるなど、それぞれの習熟度は違っているのだろう。が、毎日、相手によって、5つぐらいの言葉を使い分けて暮らしているわがイケメン生徒たちに感心しきりの「せんせい」である。


日本語だけで誰とでも話せて、学校でも、職場でも、ご近所でも生活できる日本の状況は、母語以外の言葉の習得に脳みそを使わなくてもいいだけ有利なのか。それとも、他のことばを使う自然な機会を奪われていて、不利といえるのか。




よかったら、クリックしてください。

インド(海外生活・情報) ブログランキングへ


よかったらこちらも
にほんブログ村 海外生活ブログ インド情報へにほんブログ村にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へにほんブログ村にほんブログ村 シニア日記ブログ 女性シニアへにほんブログ村

最新の画像もっと見る

コメントを投稿