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 朝晩など本格的に肌寒くなってきた昨今、営業として隙間風が吹く工場に常駐していた頃は、昼夜を問わずコンビニのおでんで温もりを得ていたのを思い出す。オーダーは大根、卵、ロールキャベツをスタメンとし、ソーセージ巻と三角形のコンニャクを気分でセレクトしていた。先日、久々に食べたら八丁味噌やゆず胡椒といった薬味の充実に驚いた。

 今回はその流れで、おでんをテーマに書きたくて、“酒肴人”という思い出食堂の
派生本を取り出す、いわゆる酒飲みの物語群である。そして、出来る限りしみじみ…という視点で読んでみると、井上眞改先生の「吉田類の思い出酒場」にビビッと来てしまったので、取り上げさせて頂く。

 酒場放浪記を元に描かれている本作、基本的な展開はTVと同じであるが、
漫画はやや温かいタッチが特徴的で、処々に街や店の背景についての考察を散りばめている。裏道や路地といった言葉が好きな人には、その世界観に心を奪われる。ただ本当に素晴らしいのは、居酒屋というステージで類さんが誰しもと友人になってしまう呑兵衛的哲学だと思う。

 そもそも酒場詩人という職業にはどうやったら就けるのか。放浪記を書けるくらい
熟達した、云わば【酒と肴のマイスター】のような存在なのか、或いは流浪の先々で黄昏(たそがれ)ることが出来る人なのかなと、適当に考えてみる。一つの道を究めた先に居るのは将来の自分だなんて、そんな理想を体現しているからこその生き方なのだろうか。


<発行日>
 201399

<発行所>

 少年画報社


≪コンビニのおでん≫

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