レントゲン写真を見て
医師が観察するところは他にもあります。
臼蓋の形態が正常であるかどうかを判断するには
2つの条件を満たす必要があります。
【条件1】
大腿骨の骨頭をどれくらい臼蓋が覆っているか?
分かりやすく言えば、体重を支える骨盤の屋根の面積が
どれくらいあるかと言うことです。
これを見極めるのには2つの方法があります。
1つめは、骨頭臼蓋指数(こっとうきゅうがいしすう)
と言うもので、大腿骨頭の横径の何%を、
臼蓋が覆っているかどうかということで
屋根の部分の被りが浅いか深いかを百分率で表しています。
レントゲン写真上で、Aの長さとHの長さを測り
次の計算式に当てはめて指数を割り出します。
骨頭臼蓋指数(%)=(A÷H)×100
日本人の正常値は、約80%と言われています。
2つめは、CE角(しーいーかく)と呼ばれるもので
大腿骨頭の中心と、臼蓋縁(屋根の部分の縁)の成す角度を
レントゲン写真上で測ります。
成人の正常値は、25°以上なので、この数値より低く
数値が小さいほど、臼蓋形成不全が大きいということになります。
骨頭が変形して、球体を保っていない場合は
中心が分かりづらいので、測るのが難しくなります。
【条件2】
臼蓋の外側の縁が、大腿骨頭を包み込むように
外側かつ下側に向いているかどうかの
角度を、レントゲン上で測ります。
専門用語でいうと、臼蓋外側縁傾斜角と言います。
包み込むような形でなくても、少なくとも水平であるかどうかを
チェックします。
この角度がマイナスになるほど、骨盤の被りが浅い ので
骨頭が外れやすく変形が重篤になりやすいと言えます。
条件1、条件2とも重要ですが
体重を支える部分の角度を重視するため
より条件2の方がわかりやすいかと考えます。
レントゲン写真からわかることその1 で示した
軟骨のすり減り加減、骨嚢胞の有無の状態と併せて
変形性股関節症の病期
前関節症期・初期・進行期・末期の4つの病期に
分類されることになります。
この病期の判定には、痛みの有無や強さは関係ありません。
なぜなら、変形の度合いと痛みは比例しないからです。
たとえ病期が初期であっても痛みがひどい方も居れば
末期でも無痛の方が居られるからです。
あくまでも変形の度合いで、分類されます。
各病期のお話は別項でお話します。