最高のアジア料理はここにあり 〜満腹編〜 | たっくのブログ

最高のアジア料理はここにあり 〜満腹編〜

前々回→最高のアジア料理はここにあり ~味覚編~

前回→
最高のアジア料理はここにあり ~厨房編~


続きます。



アジア風カルパッチョが出てきた。
魚は伊勢湾沖で取れた赤鯵(だったかな?)という珍しい魚だ。
それを5つの薬味と3つのソースで絡めていただく。

世の中には名前は知らなくても美味い魚が山ほどある。
まさかここに来て地元の魚をいただくとは思いもしなかった。
確かに鯵は三重県、和歌山県でよく取れる。

スーパーに行けば年がら年中売り出されているし、魚の干物いえば鯵というくらい地元に根付いている。
北海道にいた頃も鯵は売っていたし、私は何度も食べたことがあるが道民にとって魚の干物といえばホッケになるだろう。


今、私が住む東海地方と北海道の食文化は全然違うものだと言ってもいい。
味噌汁は赤味噌がベースになり、トンカツ、うどんも赤味噌ベースになる。
この地域の人たちはとにかく焼き肉とうなぎが大好きであり、国道1号線に並ぶ飲食店は常に満杯状態だ。

よく聞く話で、名古屋や三重の人たちは濃い味を好むと言われている。
私の食事を食べる寮生たちも「近藤さんは薄味ですよね。」という。


確かに印象としてこの地域の人たちが濃い味を好む感じはあるが、一つ勘違いをしているのではないか?と思った。
それは食べている本人たちも気がついていないような勘違いである。


この地方の人たちが濃い味を好むと言われているのは、食べている料理のジャンルの話である。
先ほど述べたような赤味噌、うなぎ、焼肉、などさっぱりと言うよりはガツンとくるような料理である。
この「ガツンとくる」と「さっぱり」は味付けとして対照的にはならない。
つまりは、こちらで言う「濃い味」というのは塩やコショウ、醤油を多くかけることではないということだ。
ましてや味噌汁に使う味噌を他の地方よりも多く使うことでもない。


うなぎにもさっぱりした味付けはあるし、味噌煮込みうどんにもあっさりした味付けはある。


これを濃い味というイメージとしてこの地域の住民たちが捉えてしまっている気がする。
むしろ濃い味といえば寒い地域の東北などに多くあり、塩漬けした魚などは東海から関西の人たちは食べることもできないだろう。私の住んでいた札幌でも幼い頃、しょっぱい鮭が夕食に出ていたものだ。あまりにもしょっぱすぎるので1日で食べきれない。それを冷蔵庫で保管し、また次の朝食へと流れていく。たった一切れの鮭を食べるのに丸二日間かかるほど味が濃いのだ。


こうして濃い味の勘違いはあると思うのだが、ただ一つこの食文化を象徴する理由が存在する。
それは、全体的に見てこの地方の人たちは大雑把であるということだ。
いい意味でいえば細かいことは気にしないという風に言えるが、これが料理の話になると作る側も食べる側も細かいことは気にしないというもので成り立っているのだ。


つまり極端に言えば、あのお店のうなぎが美味しいのではなく、うなぎが美味しいから食べるのだ。
名古屋はとんかつに味噌をかけて食べるのだから「つけてみそかけてみそ」という容器に入った商品を購入するのだ。


もちろん全ての人に当てはまるわけではないが、こういった商品が地域のスーパーに必ず並んでいるということはそういう人が多いということだろう。もちろん私がいる寮の人たちもそれに当てはまる。


繊細さという面では足りない人が多いと感じる。
それとは対照的にアジア料理でありながら繊細さを出しているのはアマカラのこーちゃんである。





揚げ春巻きにサニーレタス、大葉、ミント、パクチー、バジルを包んで食べる。
中には小さなエビや挽き肉のようなものがぎゅっと詰まっているのに、口どけは軽い。
ほろほろっとほぐれていくような食感でありながらもジューシーさを欠かさない逸品である。


こーちゃんが大雑把な人ならばこうはならないだろうと思う。


本人の言葉ではテキトーと言いながらも感覚はテキトーではない。
そもそも「テキトー」という言葉は大雑把な意味で使われるものではなく、「適当」である。

辞書で調べてみればわかるが、ある条件、要求、目的などにうまく当てはまること。ふさわしいこと。叶っていることと記されているのだ。まさにこれはアマカラの料理と言えよう。




「お腹いっぱい?」
また、厨房からこーちゃんが顔を出した。
「腹何分目くらい?」

「え~っと。アノ…7分目くらいです。」
結構食べた気もするが美味しい料理はいくら食べても美味しい。
むしろこのフルコースの幸せをここで終わりたくないという願望に近かった気がする。

クスッと笑ったこーちゃんはまた次の料理へと取掛るべく動きに入った。



「焼き鳥食べてないよね。食べる?」
「食べます!!」





アジアの焼き鳥「サティ」である。
鶏肉を下味に漬け込んで焼くため、肉自体は柔らかく仕上がる。

私がよく作っていた鳥にんにくに似ているが、それはにんにくと醤油がベースとなっているため、このサティのスイートチリとピーナッツバターのほんのり甘さを感じる串とは異なる。





自家製水餃子も登場した。
皮から手作りしているし、もちもち食感を追求しているのも伝わる。
そして一緒についてくるラー油がまた美味い。

なんだこれは?とラー油だけを口に含んでみるのだが、それはさすがに辛いのだ。
でも、もう少しラー油を感じたいと思ってもう一度挑戦してみるのだが、やっぱりさすがに辛いのだ。
ヤケドしちゃうような恋である。


私はこのラー油に恋したため、こーちゃんが使うレシピ本を私も購入した。
まだ、作っていないがどこかのタイミングを見計らい作ってみようとおもう。





最後はデザートで締めくくる。
唐辛子やチリソースで最初は辛かった口の中が焼き鳥から水餃子、そしてこのココナッツを使ったデザートにて甘く仕上がる。それを言葉にすれば「からぁぁあまぁぁい。」である。


アメとムチとも言うべきか、アジアには辛い料理と甘い果物やデザートが仲良く共存している。
個性の強い奴もいれば、優しい人もいて、暑かったと思えば、スコールが降る。
このAMAKARAフルコースもそんなアジアを旅したような充実感に包まれた。


私のお腹は満たされた。
大満足の太鼓判を押された気分である。


厨房にいるこーちゃんに親指を立てて「Good!」と声を出した。
後でこのサムズアップの親指を立てるポーズを調べてみると、アジアの一部地域ではわいせつな表現であると書かれていた。気をつけようと思った。





この後、店が閉店し私たちはこーちゃんと夜中まで色々なことを話した。
お土産に買っていった日本酒の四合瓶を一人で飲み干したこーちゃんとの話はかなり深く、このブログでは書くような内容ではなかったが、私はとても良い話ができたと思っている。


また行きます。









1日1回クリックしていただけると励みになります。ブログランキングをポチッとお願いします。
三重県 ブログランキングへ