ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

日本人を応援しなきゃだめですか―白鵬とロジャー・フェデラー

2017-02-01 23:53:42 | スポーツ

1月22日(日)大相撲で稀勢の里が事実上横綱昇格を決める(のちに昇格)千秋楽、白鵬を破り、文句なしの初場所優勝を飾りました。日本出身横綱の誕生は、19年ぶりとか。国技とされている相撲ですから、相撲界やファンが沸き立つのは当然のことかもしれません。

同じ日、私はNHKではなく、WOWOWを観ていました。テニスの錦織フェデラー戦です。2つ前のエントリーから想像がつくと思いますが、当然のようにフェデラーの勝利を願っていました。この期間、ほとんど情報番組を観ていないので(環境ビデオのようにWOWOW流しっぱなしゆえ)、よく知りませんが、戦前は相撲だけでなくテニスも相当取り上げられていたようです。錦織選手が勝つだろうという論調で。

それはいいんです、ここは日本のうえ、35歳のフェデラーはケガでの休養明け。私もさらにその1週間後に、まさか優勝するなんて、そのときは夢にも思っていなかったですから。

結局、フェデラーは勝ったわけですが、その後のスポーツ系のニュースや情報番組は、稀勢の里一色になりました。もともと観戦スポーツとしてはマイナーなテニスと国技の大相撲では、ニュースバリューは後者が勝ります。だからそれもかまわないのですが、稀勢の里にはしゃぐ相撲関係者やマスコミの様子を見て、ふと思ったことがあります。

「白鵬をもっとリスペクトしたら?」「稀勢の里も大変だなあ」

19年間も日本出身横綱が誕生しなかったということは、その間綱を守り、相撲人気を支えてきたのは、外国出身力士たちでしょう。しかも決して相撲界は順風満帆ではなかった。八百長や暴力問題で逮捕者も出し、人気のあった過去の大横綱や大関が何人も若くしてこの世を去りました。そんな環境のなか、品位がないだの取組がどうのだの、ダーティーな相撲界に言われたくないわっと心の中で思っていたかどうか知りませんが、そんな批判も浴びながら勝ち続けてきたのです。しかも国際スポーツと違い、日本国内限定ですから逃げ場もない。

それが今後は一方的にヒール役となりかねない空気を感じます。稀勢の里も若くして横綱になったわけじゃなく、今後長く安定した成績が残せるのかも不透明です。しかし大相撲の横綱は成績を著しく落とした時点で、引退を余儀なくされる。王者の座を退いてもみずから望めば頑張れ、奇跡の復活を後押しするファンやスポンサーの力が強いテニスとは違います。

テニスの話でいえば、錦織選手が成長するまで、特に男子は松岡修造以来、グランドスラム本戦に出場できる選手すらほとんどいない時代が続きました。その間、有料放送に加入しGS観戦を続けてきたのは、フェデラーだけではありませんが、ナダルやその一世代前のサフィンやロディックなど外国人人気選手の熱心なサポーターたちです。

確かに、個人競技とはいえ、自国民を応援したい人が圧倒的に多いのはわかります。でもメディアは数の論理だけではかれない価値を伝え、発信していかなければ、いつまで経ってもスポーツは文化となりません。

おめでとうございます。稀勢の里、ロジャー。そして白鵬には、これからも頑張ってほしいです。

 



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