「ノンアル」っていえば、「ノンアルコール飲料」の略称ですよね。
当たり前のように使っていますが、
「のんある」は、サントリーホールディング㈱が、指定商品「清涼飲料、果実飲料」で商標登録しています。
(ノンアルコール飲料は、概ね「清涼飲料」に含まれます。)
商標「のんある」が、この指定商品で商標登録されているのは、やや不思議な気もします。
おそらく以下のようなことかもしれません。
あくまで推測ですが。
・この商標は2002年に出願され、2003年に商標登録されていますが、当時まだ「ノンアル」という言葉が一般化していなかった?
・カタカナの「ノンアル」でなく、平仮名の「のんある」だから?
ただ、確実にそういう傾向があると言えるのは、
「言葉を省略すると、一般的のようでいても商標登録されることがある」ことです。
「ノンアル」は、正式(?)には「ノンアルコール飲料」だと思いますが、さすがに「ノンアルコール飲料」は商標登録できないと考えられますが、その略称であれば商標登録される可能性もあると。
なので、省略した言葉は、意外と商標登録されているかもしれないので要注意です。
実は、この「のんある」商標に黙っちゃいなかった(?)のがサッポロホールディングス㈱。
「★ ノンアル」という「星のマーク」と「ノンアル」のカタカナを組み合わせた商標を2015年に出願して2016年に商標登録しています。
指定商品は「アルコール分を含まないビール風味の清涼飲料、その他の清涼飲料」です。
「のんある」と「★ ノンアル」は、読み方が共通し類似商標ということで、普通なら後願の「★ ノンアル」は商標登録できなそうですが、特許庁は両商標は非類似と判断したことになります。
この特許庁の判断の背景には、サッポロの商標の「ノンアル」の部分は一般的な名称なので、サントリーの「のんある」商標との比較において考慮しなかったとの推測が働きます(あくまで推測)。
この推測が正しければ、もはや「ノンアル」は、この指定商品の分野では一般的な名称であるとの特許庁の判断を引き出したサッポロの「★ ノンアル」の商標登録は、サントリーの「のんある」の登録商標の効力を低減させた一撃と言えます。
こういう商標登録のせめぎ合いというのもあるんですね。
弁理士事務所LABRADOR(ホームページ)
弁理士 宮下桂輔