本誌でも触れたが、フォトセッションでの羽生の弾けっぷりも非常に印象深かった。このフォトセッションは、クリケット・クラブの中庭を利用して各社が個別で撮影できる貴重な機会。あらかじめ「ウチはここで撮っていいですか」「それなら、ウチはこっちで」とカメラマン同士で背景がかぶらないように調整し、1社ずつ順番に撮影するものだ。個別インタビューのみで撮影をしなかった社もあり、私たち「フィギュアスケート・マガジン」は9社中4番目だった。
そこでのやり取りは以下の通り。
山口 羽生選手、こちらに立ってもらっていいですか。少しだけ体を斜めにして、特に表情はつくらなくていいので、じっとカメラを見るような…。はい、ではお願いします!
羽生 わかりました!(黙って記者の両手を握り、笑顔でカメラの方向を向く)
山口 ちょ! ちょ! あれ? 何?
毛受 あはははは。いい記念になるやないですか。じゃあ、まず1枚、いきまーす。
ヒジョーに羨ましすぎて身悶えしちゃうわ~💕
山口 いえ、あの…羽生選手、時間ないんで…え? え?
羽生 (絶対に手を離さないぞという感じでさらに力を入れ、笑顔でカメラを見続ける)
山口 いや、あの…ホントに時間ないんで! ちゃんとやりましょ、ね? お願いだから!
羽生 (このくらいで勘弁したるわという感じで手を離す。でも、ちょっとあやしい目線)
山口 どうしたのかなーその目は。どうしたのかなー。
羽生 (今度は1秒ごとに表情を変えまくる)
羽生 (このくらいで勘弁したるわという感じで、ぐっと鋭い目線に)
毛受 はい、このシーンOKです。じゃあ、そこのイスによっかかる感じで…そう! そのまま 何枚かいきます(カシャカシャカシャとシャッターを切りまくる)。はい、OKです!
※ここでタイムアップ
羽生 ありがとうございます! すみません、短い時間で。ありがとうございました!(スタコラサッサと次の社が待つ場所へ走っていく)
私たちの後に5社が撮影を控えていたが、羽生と親しいカメラマンの「どうしたの、今日は?」「うはー、この写真使えねーわ!」という苦笑交じりの声が聞こえてくる。他の社が撮影している時は、他の社は見ないという決めごとがあり、詳しい様子はわからなかったが…。こまったちゃんなのか、羽生結弦…。