ちばえこ日和

日本初の博士(公共学)という学位を持つ大学発ベンチャー「千葉エコ・エネルギー株式会社」の代表が、自然エネルギーのことから地域活性化まで様々な話題をお届けします。

再エネ業界ニュース:三重県が太陽光発電施設の適正導入に係るガイドラインを策定 - 出力50kW以上の全ての設備を対象

少し前の話になりますが、三重県が「太陽光発電施設の適正導入に係るガイドライン」を策定、公表しました。

三重県と言えば景観保全の観点から太陽光発電事業に対する規制を整備したことで知られますが、今回のガイドラインはその点も含めつつ、改正FIT法による国のガイドラインを下地として県独自の規定を定めたものになっています。

www.pref.mie.lg.jp

設置場所に関する規定

ガイドライン中には様々な定めがありますが、一例として「設置するのに適当でない区域」と「設置するのに十分な検討や調整が必要な区域」が示されています。
例えば、自然公園法の特別保護地区~第3種特別地域は「設置するのに適当でない区域」、普通地域は「設置するのに十分な検討や調整が必要な区域」などとされているほか、保安林や農用地区域、甲種・第1種農地は「設置するのに適当でない区域」、第2種や第3種農地は「設置するのに十分な検討や調整が必要な区域」としています。

県及び市町との協議

ガイドラインに該当する発電事業を計画する場合、事業者は県並びに市町に対して所定の事業計画書を作成した上で協議・提出を行うこととしています。

設計、施工、保守運用管理などは国のガイドラインに準拠していますが、関係法令などに準拠した手続きの協議や、地元住民とのコミュニケーションを図ることなどは県及び市町の役割として明記されており、必要な相談・助言・指導を行うこととなる形です。

 

太陽光発電事業において地域との摩擦を回避し、また自然環境・生態系・景観保全等をどのように図るかについては地方自治体単位で試行錯誤が続いているところですが、FIT法の下でこれまで都道府県や市町村は独自の条例を定めながら個別に対応を図ってきています。

今回の三重県の事例はガイドラインという形になり、直ちに事業者の計画を変更させ得るような強制性を持つものではありませんが、野放図と言えるほどに制約なく太陽光発電設備の設置が進んで来た中で今後の新規事業に一定の影響を与える可能性はあるでしょう。

一方で、既に運転を開始している多数の発電所に対してどう向き合っていくかは、改正FIT法で一定の網がかけられたとは言え、各地域共通の課題として残っていくことになりそうです。