かつて、うちの娘が数時間ほど行方不明になったことがある。

そうとう探し回ったがまったくわからないものである。
警察にも連絡したが、彼らとて同じだ、わからないことはわからない。

結局、裏町に住んでいた女の子に連れられて戻ってきた。
うちの娘の服がびしょぬれになったので乾かしていたのだという。


裏通り。この人通りのなさは、昔とまったく違ってしまった。田舎で生活はもうできにくい。人々は大型店に買い物に行き、八百屋も近くにはない。この手前にガラス屋があって、先日、割れたガラスを持って行って切ってもらった。その老う主人が、もう誰もいなくなったと言っていた。

その女の子は不良の(この言葉がぴったりの若い男である)男が若い女に産ませた子で、おばあさんとあばら家に住んでいた。
近 所の人々が、なぜあんな女の子と遊ばせるのか、と非難していたらしいが、私は差別意識がなく、その子に、誰にも買ってもらえないだろうと思って、数千円の 人形を、うちの娘と遊んでくれるお礼にと、買ってやったくらいだったが、幼い娘を水辺に連れて行ったことは許せなかった。
近くの川は見かけによらず、犠牲者が2人も出たくらい、危険なのだ。
翌日、その女の子がうちの娘を誘いに来たとき、「君は(娘をあんな目にあわせたのだから)もうだめだ」と追い返してしまった。

諭せば危険なところに連れて行くことはもうなかったかもしれないが、人の行動の癖はなかなか直らないものなので、安全のためには仕方がなかった。

なお、その子はふつうに成長して、いまはちゃんと就職もしているそうである。


<近日中の運勢>
何事にも随えば無難である。反抗してはいけないし、強い意見を口にしてもいけない。はいと言って姿勢正しくして承知するのがよい。さらに決まりにはきちんと従わなくてはならない。

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