一斉に!
一斉にだ! 何事が起きたのか!?
何千匹ものねずみが天井板一枚の上を、右往左往の猛ダッシュで駆け廻っている。
少し近いといえば、そんな感じだろうか。
まるで何々のよう、とか、こんな感じだ、とか。
本当は何に例えても当たらない。
例えようがないのだ。
あえて言うなら、なんだろう・・・ ?
次元が違う恐怖。
生まれて初めての体感だった。
だから、どう表せばいいのかわからなかった。
ザワザワザワ!!!!!! と体中に駆け巡ったものの正体は・・。
当たっていようがいまいが、感覚として一番ピタッときたのが、次元 が違う!という言葉だった。
術前説明にはなかった事実。 手術して分かったこと。
わたしの乳がんはリンパ節に転移していた。
あれは、Dr:Gにそのことの説明を受けた夜のことだった。
わたしの人生には終わりがある・・
死が最も現実的に、あらゆる方向から急激に、または、じりじりと迫ってきた夜だった。
がんがわかって考えたこと、わたしは凛としていたかった。
その思いは一挙に打ち消され、自分が一旦砕けていく気さえした。
そして、なんだかとっても焦った。
何かしないと! なにができる! 世の中に最後の貢献するとしたらどんなこと?
でも、時間がない・・・
恐怖、不安、焦り、どうせ・・・、
この手の感情や思いが影のように付きまとう、そんな時期があった。
病院の消灯後の時間は、待ってましたとばかりにわたしの心を魔物たちが占領しに来る。
乳がんとわかってからこれまで、特に一年目などに感じたこと、思ったことを
いつかちょっとでも書いていきたいと思っていた。
気まぐれなシリーズものとでもしょう。