邦題は『ウィスキーと2人の花嫁』。ダサい。
拙者だったら、原題を直訳して『ウィスキーがいっぱい』とするところだ。
映画好き、洋酒好きとして見逃すことのできない作品だった。
正直申し上げて、あまり面白くない。
実話が基になっているし、古いオリジナルもある。
スコットランドの小さな島が舞台。
第二次大戦下、英国国内のウィスキー配給が止まり、島にサケが亡くなったとき、アメリカに向けて輸出するためのウィスキーを満載した貨物船が島近海で座礁。
島民は、船に積まれたウィスキーを持ち出す…と云うか、救い出す。サケは飲んでナンボで、海の藻屑などもってのほかだ。
その船には、いったいどんなウィスキーが詰まれていたのかが、個人的には最大の関心事である。
つまり第二次大戦下に、どんなサケが飲まれていたのかということであり、映画を観ながら、船から引き揚げたその箱を早く開けろ、そして瓶を取り出せ、封を切れ、一杯飲め、と思っていた。
しかし。
この映画に登場するウィスキーはフェイクなのだ。画面に映るウィスキーのボトルは、偽物で、映画のために偽造された瓶とラベルなのである。
いかなる理由があるか知らないが、赦し難いことである。
かの時代のことだから、ウィスキーはブレンデッドであろう。作中、唯一ウィスキーの固有名詞が台詞で云われる(ハイランド・ブルーだったかな?)が、そんなサケは存在しない。
だからウィスキーを求めてこの映画を観た拙者は、すこしがっかりした。テーマであるべきウィスキーが、小道具になってしまっているのだ。
史実では、座礁した貨物船に積まれていたウィスキーは、バランタイン、ジョニーウォーカー、ホワイトホースなどであったと伝えられる。