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ドラミングは死闘の調べ

2017-03-23 06:30:03 | 日記
自然を理解するとは
 
 トルルル、意外に近い場所からドラミングの音が聞こえます。
住宅地のすぐ隣なのに、森林公園に一歩足を踏み入れた途端に自然の
真っただ中にいる気分です。
 この雰囲気が最高だね、呑気にそんな事を思いながら歩いています。
でも自然の営みってそれ程軽い物なの?
固定観念に凝り固まった私の頭には、時々新鮮な空気を送り込む必要
があります。

 毎週木曜日はウォーキングの途中で見かけた野鳥を取り上げています。
今週は キツツキ科 アオゲラ属 アオゲラ です。 

 キツツキの仲間が樹に穴を掘る理由は様々です。
縄張りを主張する為、エサを探す為、巣穴を作る為、ねぐらを確保
する為。
 穴だらけにされた痛々しい木肌を見ると、ここまでやってしまったら
害鳥でしょう、そうも思えます。
しかし樹にとっては、キツツキの仲間は食害から守ってくれるありがたい
存在。
 例えばある観察者によると、アオゲラの仲間は1日に2000匹
ものアリを捕食するそうです。
アリも好物ですが、もっと食べるのはテッポウムシなどの幼虫。

 虫が入り込んだ樹を叩くと微妙に音が異なります。
アオゲラはそれを聞き分けて、樹皮の奥に潜んでいる虫の場所を正確
に把握します。
そしてくちばしで直径5mm程の穴を開けると、長い舌を差し込みます。
 この舌には逆さに向いたトゲがあり、それで虫をひっかけて引きずり
出します。
舌の中には柔らかい骨があり、普段は頭蓋骨をぐるっと囲むように収納
されています。
これが緩衝材の役目をして、1秒間に20回も叩きつける激しい衝撃を
緩めてくれています。


 通称テッポウムシとは、カミキリムやキクイムシの幼虫です。
日本には700種が分布していますが、その内の約100種類は樹を
食い荒らす害虫です。
 樹皮の中に産み付けられた卵から孵化した幼虫は、1年から2年を
そこで過ごして数ミリから15cm程の大きさに成長します。
その間はひたすら木質部分を食べ続けるので、1匹のカミキリムシが
1本の木を枯れ死させる事もあります。

 森の中で聞く軽快なドラミングの音は心地がよい物です。
黄緑色の羽根に包まれた体はヒヨドリよりも一回り大きくて、幹に爪
を掛けてドラミングしている姿は見応えがあります。
アオゲラは冬の森で見られる愛すべき鳥です。
 しかし視点をテッポウムシに変えて見れば、これ程恐ろしい怪物は
他にはいないでしょう。
アオゲラが凄まじい勢いで樹を叩いている瞬間、そのくちばしの先では
生きるか死ぬかの戦いが繰り広げられているのです。
 私の頭は、森の中の自然の営みを上辺だけ見て満足している凝り
固まった塊です。
時にはアオゲラに突かれて、風穴を開けてもらう必要があります。

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