キャベツ　ザクザク　

鉄板焼き用　100グラム　×20

キャベツ　トントン

焼きそば用　150グラム　×20

キャベツ　タ　タ　タ　タ

お好み焼き用　150グラム　×20

粗みじんは　スタッカートで

　　　　　　　　　　　　　　　　　かんらん
ずっしり　重たい甘藍を

刻んで　それぞれ　

小分けにしてゆく

最後の袋は　120グラム

何とも　微妙な この数字

どうしたものかと思いあぐね
　　　　　　　　　　　　　よそ
アバウトに　他所から

補おうとする私に

彼女は　全部　袋を開いて

残りを きちんと等分して　

足さなければと　主張する


なるほど

お客さんに出すんだからね

多い少ないがあるのは　まずいね

でも　お好み焼きの中のキャベツだよ!？

約束の時間を　延ばして

これで完了という時に・・・


わかりました

今月で　この作業所を卒業し

憧れてた　動物セラピーの

仕事を目指すと

言ってた彼女とは

今日が最後の日になるから

彼女の思いを　受け入れよう


 
握手で別れて

ガタゴトと

帰りの電車に揺られながら

彼女の生真面目が

彼女自身を窮屈に　

しんどくさせてしまわないよう

少しばかり　案じながら
　
　　　　　　　　　かす
他から掠め取って充たそうとした

私の振る舞いと

残りを分け与えようとした彼女の思いに

ハタと気づいた・・・








大丈夫だよ

きっと　あなたは　なれるはず

分け隔てなく　動物たちに

愛を注ぐセラピストに